2009/07/11

ディア・ドクター

ディア・ドクター

西川美和監督・脚本・原作。笑福亭鶴瓶。瑛太。余貴美子。井川遥。香川照之。八千草薫。

山間の小さな村のただ一人の医師、伊野が失踪した。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。やがて刑事が二人やってきて彼の身辺を洗い始める――。失踪の2か月前、東京の医大を出たばかりの研修医・相馬が村にやってくる。看護師の朱美と3人での診察の日々。そんなある日、一人暮らしの未亡人、かづ子が倒れたとの一報が入る……。

『蛇イチゴ』『ゆれる』の西川美和監督が、笑福亭鶴瓶を主演に迎え、僻地医療や高齢化など現代の世相に切り込んだ人間ドラマの秀作だ。本作で映画初主演を務めた「日本で一番顔を知られた男」笑福亭鶴瓶が演じるのは、無医村に赴任した医師。村人から全幅の信頼を集めながらも、謎に満ちた彼の素性――。その医師の失踪をきっかけに浮かび上がる彼の行動と人物像を軸にした心理劇が展開される。『アヒルと鴨のコインロッカー』の瑛太をはじめ、八千草薫、余貴美子など、若手やベテランともに実力のあるキャストが集結した。前2作同様、“善”と“悪”の両極では決して語れない人間の複雑な内面を描くことに定評のある西川監督の脚本が秀逸だ。(goo映画より)

ディア・ドクター

このブログは極めて限定的な世界なので、一応備忘として書いておけば、本作は「日本にせ医者物語」である。一人の「にせ医者」を通じて、日本社会の持つ怪しげなグレーなあり方を浮かび上がらせる。そこには、断定的な見方はなく、矛盾を矛盾として引き受ける覚悟のようなものを感じさせる秀作である。

西川監督の前作「ゆれる」は兄弟の心の「揺れ」を描いたが、本作は人間関係というよりも、社会の「揺れ」を見つめているといえようか。

それにしてもキャストが豪華である。おなじみの香川照之は薬品メーカーのプロパーを卒倒するほど見事に演じている。井川遥は「トウキョウソナタ」でもなかなかのピアノ教師を演じていたが、今回は母親と疎遠な女医をしっかりと演じている。そして、母親役の八千草薫さまは年を重ねられてますます凛とした色気を感じさせてくださいます。あと主役の鶴瓶、瑛太、余貴美子のトリオは漫才顔負けの息のあった掛け合いを続けてくれる。最初から「にせ医者」はバレバレなのであるが、そこに観念=制度と現実の歪みを、しっかりとしたエピソードで照らし出すところが西川監督の力量というものであろうか。


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2009/06/28

蟹工船

蟹工船
山村聡監督・脚本・主演。小林多喜二原作。 日高澄子。森雅之。森川信。中原早苗。平田未喜三。

昭和初年のある春。折からの大不況にあぶれた鉱夫、農夫、労働者上りの雑夫たちを乗せた蟹工船博光丸は、ベーリング海の漁場めざして函館港を後にした。連日吹きすさぶ嵐に船酔いし、不潔な生活から続出する病人たちに、蟹工船の浅こと監督の浅川を中心とする幹部らはむりやり作業を強制する。浅川の冷酷さはSOSを打ちつづける僚船をも漁場に急ぐため無視し、カムサッカの漁場では突風警報をおかして川崎船を操業させ、多数の遭難者を出した。連日の酷使についに倒れた「学生上り」は偽病人としてボイラーに縛りあげられ、反抗した雑夫平太は撲殺された。低下の一途を辿る生産高にあせったた浅川は、拳銃で漁夫らの反抗をおさえ、ソ連領海への侵入を企てる。その上、過労で病死した青年の体を、すげなくつめたい海に沈めた無情さに、漸く怒り心頭に発した漁夫たちは、ついに就業を拒んだ。代表たちは監督に要求書をつきつけ、拳銃で威脅しようとする彼を、叩きのめした。が、翌朝、浅川らの連絡で駈けつけた駆逐艦「初風」から、武装した一隊の水兵が工船に乗り
うつり、暴動代表者の拘引をはじめる。彼らを奪還しようと騒ぐ漁夫たちは、包囲した水兵らの銃弾に次々、のけぞり倒れた。(goo映画より)

1953年の作品をDVD上映の劇場で見た。昨今話題の「蟹工船」をそんなブームと無縁なところでリアルに描いている。音楽が伊福部昭というのも懐かしいし、撮影が宮島義勇、仲沢半次郎だそうだ。中沢半次郎はあまり存知あげないが、その方面ではすごい仕事をしている。宮島義勇は60年代末の学生反乱を描いた「怒りをうたえ」で私のような者にもよく知られている。

「蟹工船」は多様な主体による群衆劇だ。いやあ、プロレタリア文学、すごいな、とあらためて感じました。

でも、なんか足らんよなあ。うまく言えないけれど。組織と人間かなあ。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破/つづき

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

今回の「エヴァ・破」で印象に残ったことの補足である。

まず、アスカの名前が変わったこと。これまでは「惣流・アスカ・ラングレー」であったのが、「式波・アスカ・ラングレー」と変わった。新登場のマキは「真希波・マリ・イラストリアス」だそうだ。

つまり、碇シンジを取り巻く女の子たちは「綾波レイ」を含め、みな「波」つながりになったわけだ。エヴァにおける一種の「ことだま」(言葉遊び)的なものがあるのかもしれない。

クライマックスの音楽が妙に古いということだ。フォーク歌手、森山良子の歌でヒットした「今日の日はさようなら」、それに、フォークグループ赤い鳥の歌った「翼をください」が流れる。

一方の「いつまでも絶えることなく友達でいよう」「空を飛ぶ鳥のように自由に生きる」、他方の「願い事がかなうならば翼がほしい」「悲しみのない自由な空へ」という歌詞。空を飛ぶ鳥に重ね合わせて、現実のむごさと友情と、自由への渇望を表している。

メッセージ・ソングがこんなにストレートに使われていいのだろうか。

もっとも「序」から使われている宇多田ヒカルの「BEAUTIFUL WORLD」というのも結構なメッセージであるけれど。

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2009/06/27

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
庵野秀明原作・脚本・総監督。摩砂雪 、鶴巻和哉監督。声:緒方恵美。林原めぐみ。宮村優子。坂本真綾。三石琴乃。山口由里子。山寺宏一。

汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗ることで、自ら戦うことを選んだ碇シンジ。大きな運命を託された14歳の少年の物語は、未知の領域へ突入する…。綾波レイと人気を二分するヒロイン、アスカがエヴァンゲリオン2号機に乗って参戦。加えて魅惑の新ヒロインが登場する。謎の生命体“使徒”とEVAシリーズの戦いは新エヴァンゲリオンの参加で、さらに激しくエスカレートしていく。スクリーンに続々と展開する、誰も見たことのないバトルシーン。驚異のスペクタクルの興奮は、未知の物語へとつながっていく。

あえてTVシリーズと同じ出発点からスタートしてみせた新EVA伝説。第2ステージからは、大きくポイントが切りかわっていく。そこから見えてくる全4部作の真の姿とは、はたして何なのだろうか?新キャラ・新エヴァなどの斬新な要素だけではなく、未知の展開に対応したデジタル時代のエヴァ映像も「破」の大きなみどころである。物語・映像の両面から、「序」で再構築されたはずのあらゆる事象は土台を失っていったん倒壊し、新劇場版は混沌の中から《未来》に向けて刷新されていく。それはまさにエヴァだけが可能とする行先不明の《ライブ感覚》。いま、大転換のための幕があがる。押し寄せる戦慄の感覚。それはまさに「破」なのである!(作品資料より)=goo映画より

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破


待望のエヴァ第二部の公開である。朝一番は起きられず、スガイで10時55分からの二番上映を見る。さすがに、会場は前列を除き、まずまず埋まっている。若い人が多いが年代層が広いのは、この作品の人気の息の長さか。

期待にたがわぬ内容である。特に、「序」はこれまでのテレビアニメをリフレインしていたのだが、「破」は新しい物語へと展開している。アスカの役割が変わり、新たなチルドレンの女子が加わり、そしてシンジとレイの関係はより濃密になってきている。

画像も格段に美しく、ダイナミックになった。サードインパクトとカオル君はもう間近まで来ている。そして、「序」「破」と来たら、次は「急」と思いきや、「Q」となって見事に肩透かしを食らわす予告編もなかなかである。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破


人類補完計画、サードインパクトと大きく広げられた風呂敷は、果たして最後にまたしても自意識の物語に終わってしまうのかどうか。とても気になる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破


上映後にはお決まりのグッズコーナーにものすごい人だかりである。当然ながら、パンフ、メモ帳、携帯グッズなどを購入してしまった。

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2009/06/14

レスラー ありがとうミッキー・ローク&三沢光晴

レスラー
ダーレン・アロノフスキー監督。ミッキー・ローク。マリサ・トメイ。エヴァン・レイチェル・ウッド。

“ザ・ラム”のニックネームで知られ、かつては人気を極めたものの今では落ち目でドサ廻りの興業に出場しているレスラー、ランディは、ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、医者から引退を勧告されてしまう。馴染みのストリッパー・キャシディに打ち明けると、家族に連絡するように勧められる。長らく会ってない娘・ステファニーに会いにいくが、案の定、冷たくあしらわれてしまって…。(goo映画より)

「プロレス三沢選手が死亡 広島、試合中に頭部強打」
http://www.47news.jp/news/2009/06/post_20090614075958.html

プロレスラーの三沢光晴が亡くなったという報道を読んだ朝、ミッキー・ロークの「レスラー」を見た。いい映画だった。泣けた。不器用だけど、体を張って生きてこそ男だねって。思った。

そりゃ、人は死に場所を選べるわけじゃない。戦争で手柄を立てて英雄になろうとしたって、味方の流れ弾で死ぬこともあるだろうさ。自分の戦場がどこにあるかなんてわからないものさ。死が生の切断である以上、パーフェクトなんてないぜ。

だから、すべては結果論だ。三沢光晴の死は悔しいけれど、でも、リングに生きた男、三沢光晴らしい気もする。このミッキー・ロークの「レスラー」を見ていて、そんな思いがずしんと腹の底に落ちていく。

おじさん、まだやっているのか、って言われてしまう。もう、後ろに下がって見ていればいいさ。あんた、落ち目だぜ。そんな外野席の冷笑なんか、犬に食われろだ。おれはおれの道を行く。あんたはだめだぜ、って言えるのは神様なんかじゃなくファンだけだ。

生き急いだのだから、そのツケは自分の体で払うしかない。そんな当たり前のことがわかるまで、かたぎに戻ろうとしたこともあるさ。大切な家族を大事にしなかった。好きな人に、気持ちをうまく伝えられなかった。でも、おれはおれ。老いと死がそこまで来ているにしても、逃げやしない。コーナーポストの最上段からおれは飛ぶ。ジャンピング・ヘッド・ドロップ!

ありがとう、三沢光晴。君のリングの上での美しすぎるほど動きは本当に輝いていた。君のファイトは弱い心に負けるな、って伝わっていたぜ。君の魂はいつまでも僕らを鼓舞させてくれる。悔しいのはそれを思い出しながらしか語れないことだ。

レスラー

ミッキー・ローク。君のランディはなんと多くのことを考えさせてくれることか。文句なく、君のスピリットに感謝だ。

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ターミネーター4

ターミネーター4
マックG監督。ジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス脚本・原案。クリスチャン・ベイル。サム・ワーシントン。アントン・イェルチン。ムーン・ブラッドグッド。

時は2018年。核戦争で荒廃した世界は、人工知能搭載のスーパーコンピューター“スカイネット”に支配されていた。生き残った人々は抵抗軍を組織し、機械との最後の戦いに備えていた。部隊のリーダーであるジョン・コナーは、“スカイネット”がやがて自分の父親となるカイル・リースの命を狙っていると知り、彼を探し始める。一方、ターミネーターがさまよう荒野をたくましく生き抜く少年カイルは、核戦争のことも、今が何年かさえもわからない屈強な男・マーカスと出会う。(goo映画より)

ターミネーター4

やはり、ターミネーターはジェームズ・キャメロンが監督した第2作までで、十分だったのではないか、と感じる。

人間の作り出した機械が意志を持ち、人間に敵対すること。機械と戦うことで、人間は人間の感情や優しさを再発見すること。弁証法が対立物が相互浸透を教えるように、機械にもまた人間と同じような優しさが生まれること。そうした人間と機械の変化があるならば、未来は変えられること。

ターミネーターという映画が示してくれるのはそうした世界観だろう。それは第2作までで完璧に描き尽くしている。だから、新たに生まれるウ゛ァリアントやスピンアウト・ムービーはなんだか商業的な余剰のように思えてしまうのだ。

本作におけるターミネーターは超越的な強さを持つ個性的な敵役ではない。主役はターミネーターとは明らかに異質の改造人間なのだ。だから、チップを頭に埋められていようと、人間そのものなのだ。スカイネットの基地で、カイルやジョンを襲うターミネーターがシュワルツェネッガーの画像合成というのはなんだかなあ、である。

もちろん、十分面白いことは間違いない。でも、初めて見た人間とターミネーター、そしてターミネーター対ターミネーターの息詰まる戦いの緊張感は過去のものである。

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2009/05/17

天使と悪魔

ロン・ハワード監督。トム・ハンクス。ユアン・マクレガー。アイェレット・ゾラー。

ハーヴァード大学の宗教象徴学の権威であるロバート・ラングドン教授は、歴史上最も謎に包まれた秘密結社・イルミナティの復活の証拠を発見し、彼らが最大の敵とみなすカトリック教会=ヴァチカンに致命的な脅威が迫っていることを知る。イルミナティの計画が密かに進行していることを突き止めたラングドンはローマに飛び、400年の歴史を持つ古代のシンボル=暗号をたどりながらヴァチカンを救う唯一の手掛りを探っていく…。(作品資料より)(goo映画より)

天使と悪魔

イルミナティは光明結社であり、フリーメーソンとともに世界的に有名な陰謀的組織である。本作ではガリレオ・ガリレイの地動説から始まり、ローマ教会によって弾圧された科学者がイルミナティに結集し、その末裔たちがローマ・カトリックの総本山バチカンを攻撃するという物語になっている。

トム・ハンクスは象徴学者としてイルミナティの秘事を解き明かしつつ、バチカンを「反物質」によって爆破しようとする犯行を未然に防ごうとする。だが、どうだろうか。トム・ハンクスが謎解きをするのだが、犯行は一足さきを進んでしまう。

天使と悪魔

しかもだ。4人の誘拐された枢機卿はほとんど(水攻めの1人だけが間に合う)が殺されてしまう。おまけに、ネタばれになるとまずいが、実行犯は真犯人に殺され、本当はイルミナティの敵であるはずの味方まで肝心のところで誤って警察が殺してしまう。

これは大失態である。もちろん、最後にひょんなことから陰謀の立案者を見いだすが、結果的にその犯人すら死なせてしまう。

というわけで、探偵映画的にはトム・ハンクスのラングドン教授は役に立っていない。困った映画である。

ローマ教会の持つダークなイメージはしっかり表現されており、10億の民がひれ伏す宗教組織の持つ怖さは半端ではない。いかなるものであれ、権力は醜いという暗喩を感じた。

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2009/05/11

リリィ、はちみつ色の秘密

リリィ、はちみつ色の秘密
ジーナ・プリンス=バイスウッド監督・脚本。スー・モンク・キッド原作。ダコタ・ファニング 、ジェニファー・ハドソン 、アリシア・キーズ 、クイーン・ラティファ 、ソフィー・オコネドー。

1964年の夏、14歳のリリィは幼い頃に自分のせいで死んだ母の愛を確かめたくて、父T・レイに黙って旅に出る。制定されたばかりの公民権法の甲斐もなく白人の嫌がらせを受け怪我をした挙げ句警察に連行された黒人家政婦のロザリンを助け出し、向かった先は母に縁のある町ティブロン。そこで2人はボートライト三姉妹と出会う。長女のオーガストは養蜂家で、黒い聖母像のラベルのはちみつを作っていた。

ひたすら愛されたいと願う少女が、知的で独立心に富んだ女性たちの優しさに包まれ、たくましく成長して行くひと夏を描いた感動の物語。生きていれば決して消えることのない深い悲しみがあることを知り、その上で自分を許すことも学ぶ主人公リリィを天才子役ダコタ・ファニングが繊細に演じ、さらにジェニファー・ハドソン、アリシア・キーズらアカデミー賞やグラミー賞に名を連ねる多才な実力派女優陣が見事なアンサンブルを見せる。中でも、養蜂家オーガスト役を好演するクィーン・ラティファの包容力は抜群だ。原作はスー・モンク・キッドの世界的な同名ベストセラー小説。製作陣にはウィル・スミス夫妻も参加している。(goo映画より)

リリィ、はちみつ色の秘密

天才子役のダコタちゃんに、「ドリームガールズ」で主役のビヨンセを食ったジャニファー・ハドソン。この2人が出ているということで、地味そうな映画であるが、期待して観た。

ダコタちゃんは、なかなかに美少女に成長しつつあった。愛を乞う子どもの神経質な感じも巧みに演じていた。子役の持つ塀の上を歩いているようなスリリングさはまだ抜けていないだろうが、このペースで大きくなると、そこそこの大物(と言っても、今だってスゴイのだが)になりそうな感じである。

黒人差別が依然として厳しい時代の中で、自らに誇りを持ち、生きていく黒人ファミリーの姿がよくも悪しくもアメリカ的である。それにひきかえ、白人男はダメだ。すぐ色で差別しようとするから、底の浅さがわかってしまう。ダコタちゃんの父親(ポール・ベタニー)が一応、内面を持つ唯一に近い存在であるが、失うことにおびえているところにリアルさがあるが、悪い人じゃないのに殻を破れないのだ。

自然とふれあい、あるいは優しい人たち(今回は黒人養蜂家)に出会うことで、人は自らの傷をいやして成長する、と言ってしまうと単純すぎるが、ミツバチを扱うシーンを含めとても、愛情の伝わる一本であった。

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2009/05/02

スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$<br />
 ミリオネア

ダニー・ボイル監督。サイモン・ビューフォイ脚本。デーブ・パテル。アニル・カプール。フリーダ・ピント。イルファーン・カーン。

インドのスラム出身の少年ジャマールは人気番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、あと1問で2000万ルピーを手にできるところまできた。しかし、これを面白く思わない番組のホストは警察に連絡。彼はズルをして正答を得ていたとされ、詐欺容疑で逮捕されてしまう。ジャマールは警察署での警官の厳しい尋問に対し、正答を知ることになった自分の過去を話し始める。そこには1人の少女を追い続けた彼の人生の物語があるのだった…。

発祥地イギリスはもちろん、日本など世界中でローカライズされ人気となっている「クイズ$ミリオネア」。難問の続くこのクイズ番組で最後の1問までたどり着いたスラム出身の少年ジャマールは、いかにしてその答えを知ることになったのか? 彼自身が過去を振り返ってその理由を話す中で、一途にある少女を思い続けた少年の人生が浮き彫りになっていく。ジャマール、彼の求める少女ラティカ、そしてジャマールの兄サリームの三人が紡ぐ物語は、純愛や欲望といったものが絡み合い非常にドラマチック。インドを中心に撮影された映像は生命力と疾走感にあふれ、観る者をグイグイと引き込む。最後の瞬間まで決して目が離せない傑作が誕生した。(goo映画より)

スラムドッグ$<br />
 ミリオネア

ダニー・ボイル監督と言えば、「トレインスポッティング」。そして、アジアへと転戦した「ザ・ビーチ」(ラリったレオ様が踏ん張ったが、ちょっと失敗だった)か。今回はタイじゃなく、インドである。「トレスポ」が帝国主義本国のルンプロ青年の愛の姿を描いたとすれば、本作では植民地国のスラムドッグの愛を描いてみせた。そして、明らかに-麻薬をやっていないこともあるが-ぶれることなく愛を貫いて、感動的である。

もちろん、これは夢物語であるが、見ていてなんとか、青年ジャマールになんとか夢を叶えてほしいと、観客も、そして映画の中のテレビ観衆も、願わずにはいられないのだ。
 
インドのボンベイがムンバイとなり、新興工業都市として発展していく姿も、宗教対立も、アメリカ人の拝金&人権主義もしっかり描いている。テレビショウを素材にしつつも、骨太なのだ。カメラワークもいい。スラムのマチを這うように少年が走り、それを遠くから撮ると、貧しい民衆の存在がとてつもない広がりのように映る。そして、青年が建設中のビルから見たとき、スラムはなんとも無機質な都市ビルへと潰されている。
  
ラストも感動だが、その後のエンディングロールに飛び出すインド映画のお約束のダンス(ミュージカル)も批評的である。脚本が「フル・モンティ」のサイモン・ビューフォイだそうだが、実にうまい。

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2009/04/26

グラン・トリノ

グラン・トリノ
クリント・イーストウッド。ビー・バン。アーニー・ハー。クリストファー・カーリー。コリー・ハードリクト。ブライアン・ヘーリー。

朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーはフォード社を退職し、妻も亡くなりマンネリ化した生活を送っている。彼の妻はウォルトに懺悔することを望んでいたが、頑固な彼は牧師の勧めも断る。そんな時、近所のアジア系移民のギャングがウォルトの隣に住むおとなしい少年タオにウォルトの所有する1972年製グラン・トリノを盗ませようとする。タオに銃を向けるウォルトだが、この出会いがこの二人のこれからの人生を変えていく…。

『チェンジリング』からほとんど間を空けずに公開されるイーストウッド監督作。『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりに主演も兼ねた。朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤する姿を描く。アメリカに暮らす少数民族を温かな眼差しで見つめた物語が胸を打つ。西部劇や刑事ドラマで築き上げた、“男イーストウッド”のヒロイズムが詰まった人間ドラマだ。主人公と友情を育む少年タオ役のビー・バン、彼の姉役のアーニー・ハーなどほとんど無名の役者を起用しているにも関わらず、どんな端役までも行き届いたきめ細かな演出がイーストウッドの真骨頂だ。(goo映画より)

グラン

クリント・イーストウッド。やるなあ。良い作品だとは噂に聞いていたが、本当に感動的な作品だ。

「アメリカ」の可能性の中心をこんなにも見事にとらえてみせるとは。びっくりした。もちろん、主人公のコワルスキーはポーランド系の白人のアメリカ人だ。差別意識も偏見もいっぱい持っている。戦争で人も殺した。だけど、そんな頑固な偏見の塊が、ふれ合いの中で、変わっていく。理念じゃない、現実から変わるしかない、という見事な指針の提示である。多人種多民族国家アメリカという溶鉱炉の熱量をエネルギーに転化して見せた。アメリカはダメだけど、それでも最先端であることだけは間違いない。

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2009/04/19

レッドクリフPart2 未来への最終決戦

ジョン・ウー監督・脚本。トニー・レオン。金城武。チャン・フォンイー。チャン・チェン。ビッキー・チャオ。中村獅童。

大軍を率いて赤壁へ進行してきた曹操軍。曹操は疫病で死んだ自軍兵を対岸の孫権・劉備連合軍の元へ船で流し、連合軍に疫病を蔓延させる。これが原因で劉備軍は撤退、だが諸葛孔明だけは赤壁に残った。そんな中、孫権軍司令官・周瑜と孔明はお互いの首をかけての謀略を展開、周瑜は曹操軍2武将の謀殺、孔明は3日で10万本の矢の収集に成功する。やがて曹操軍に潜伏していた孫尚香が帰還、決戦へ向けて本格的な準備が始まり……。

三国志史上最も有名な合戦「赤壁の戦い」を映画化した『レッドクリフ』の後編。前作は戦いに至るまでの経緯や人間ドラマが中心となったが、今作ではいよいよ本格的な戦闘が展開される。期待の合戦シーンはダイナミックかつ大迫力。ジョン・ウー監督の作品らしく戦場では火計による爆発が多発し、そんな中で猛将たちが一騎当千の活躍を見せる。前半の周瑜と孔明による知謀の競い合いも見ごたえがあって面白い。一方ドラマ面では前作同様、周瑜と孔明をその中心に置きつつも、周瑜の妻・小喬や孫尚香ら女性陣がアクセントを加えている。オリジナル要素を加えつつ、壮大なスケールの作品に仕上がった。(goo映画より)

レッドクリフPart2<br />
 未来への最終決戦

「レッドクリフ」の期待の後編は期待に違わぬ出来映えであった。

とにかく、すごいわ。見ていると、疲れてくるほど、戦闘シーンは激しいが、それでもバラエティーに富んでいて飽きさせない。中国は昔から優れた哲学思想(世界観)があり、智慧のある軍師がいて、勇猛な英雄がいて、大量の兵器があり兵士がいるのだから、それは毛沢東じゃないが、持久戦になったら、周辺国はかなわないはずだ、と思わされた。

戦争映画かというと、肝心のところでは、絶世の美女がおいしいところをしっかりと持って行くし、なかなかしゃれた仕上がりでもある。

そして、戦争に勝者はいない、という結語も当たり前のようで重い。

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劇場版クレヨンしんちゃん

劇場版クレヨンしんちゃん
「クレヨンしんちゃん オタケベ!カスカベ野生王国」。

臼井儀人原作。しぎのあきら監督。声・矢島晶子。ならはしみき。藤原啓治。

恒例であるが、初日ということで、体調はすこぶる悪いのだが、東宝公楽へと出かけていった。

作品はなかなか皮肉たっぷりに、現在の「エコエコ」社会の風潮を批判して見せている。人間がいるから地球は汚れちゃうというのは至極もっともであるが、だからといって、人間をみんな動物にしちゃえばいい、というのはアフリカゾウもびっくりである。

エコ教祖と戦うのは、もちろん野原一家であるが、なぞのわがまま美女ビクトリアがアメ車で疾走するわ、爆弾を破裂させるわ、で大活躍する。この美女の正体こそ、今回の作品の肝であるが、なんだかなあ。

しんちゃんも野生化するが、意外に小さい。ひまわりは逆というのも面白い。野原ファミリーの団結力、愛の賛歌は相変わらずである。

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2009/03/15

ダウト−あるカトリック学校で−

ダウト−あるカトリック学校で−

ジョン・パトリック・シャンリィ監督・原作戯曲・脚本。メリル・ストリープ。フィリップ・シーモア・ホフマン。エイミー・アダムス。ビオラ・デイビス。

1964年のニューヨーク。ブロンクスにあるカトリック学校セント・ニコラス・スクールでは、校長のシスター・アロイシスが厳格な指導を信条に日々職務を果たしていた。一方、生徒の人気を集めるフリン神父は、ストイックな因習を排し進歩的で開かれた教会を目指していた。しかし、唯一の黒人生徒ドナルドと不適切な関係にあるのではないかという疑惑が持ち上がり、シスター・アロイシスによる執拗な追及が始まるのだった…。

ケネディ大統領暗殺や公民権運動の拡大など激動の時を迎えた米国において、戒律の厳しいカトリック教会にも確実に変革の波が押し寄せていた。そんな中、旧来の価値観に固執する修道女を主人公にした本作は、ジョン・パトリック・シャンリィ監督がトニー賞とピュリッツァー賞に輝く自身の舞台劇を映画化したもの。人は確信が持てないときどうするかをテーマに、人種問題も織り交ぜて緊張感溢れる人間ドラマが展開する。通算15回目のアカデミー賞ノミネートを勝ち得たメリル・ストリープ対フィリップ・シーモア・ホフマンの激烈な舌戦に加え、黒人生徒の母を切実に演じるヴィオラ・デイヴィスの登場シーンも特筆すべき見せ場だ。(goo映画より)

ダウト−あるカトリック学校で−

舞台劇の映画化らしく、主演二人の息詰まる応酬が見どころか。「疑い」が生じると、それを徹底的に糾弾せずに済まないのが、神学的である。一方、その疑いに対しては、説教を持って答えるのも同じ意味で神学的である。なんだか、見ていて鬱陶しくなるのは、この世界のどこかに存在する「曖昧さ」や「両義性」に対する潔癖さと打算の相克であるからである。

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2009/03/14

ヤッターマン

ヤッターマン
三池崇史監督。櫻井翔。深田恭子。福田沙紀。生瀬勝久。ケンドーコバヤシ。阿部サダヲ。岡本杏理。

高田玩具店の1人息子のガンちゃんは、父親の開発途中のヤッターワンを完成させ、ガールフレンドの愛ちゃんと共にヤッターマン1号、2号としてドロンボー一味と戦っていた。ある日、考古学者の海江田博士の一人娘、翔子からドクロストーンを探しに行ったまま行方不明になっている博士を探し出して欲しいと頼まれる。ヤッターマンに変身したガンちゃんと愛ちゃんはヤッターワンを出動させ、一路、博士のいるオジプトへ向かう!

1977年に「タイムボカン」シリーズ第2弾として放送された国民的人気アニメ、「ヤッターマン」がまさかの実写映画化。天才発明家少年のガンちゃんとガールフレンドの愛ちゃんが最強タッグを組み、ドクロストーンをめぐりドロンボー一味と戦う。遊びに徹して作られたアニメだけに、映画化は難しいと言われていたが、最新CGを駆使し、オリジナルのイメージを全く損なわないヤッターマンが完成した。ケンダマジック、シビレステッキ、メカの素など、涙が出るくらい懐かしいメカや、「今週のハイライト」「説明しよう」「今週のビックリドッキリメカ、発進!」などなど、お約束のフレーズも使われている。原作で育った世代も大満足の仕上がり。(goo映画より)

やあ、面白かった。

ヤッターマン

原作漫画の軽いノリ、そして、三池監督の変態マニアぶりが見事にコラボレーションとなって、老若男女が楽しめる作品になっている。映画館は結構なにぎわいで、後ろや前にいるガキん子軍団はラストの予告編に釣られて「また見たいね」などと騒いでおりました。

映画のテーマは愛であるのも楽しい。ドロンジョとヤッターマン1号の弾みのキスシーンをメーンに、登場人物それぞれが恋心を募らせている。「ヤッターマンは私の大切なものを盗んでいきました」みたいなせりふを聞いて、思わず名作「ルパン三世カリオストロの城」(だったかな)の銭形のおっさんのせりふを思い出してしまいましたがな。

スター櫻井翔はスマート感をうまく出しておりました。コスプレ・セクシーの深田恭子はアンバランスな印象がかえってある種の非現実的な美女の好演につながっていましたな。まあ、一番ノリノリなのは、生瀬勝久か。あのアホで一直線な子分ぶりは助演男優賞に決定です。

ヤッターマン

「ブタもおだてりゃ木に登る」というような人気フレーズもしっかり押さえており、三池監督はさすがでござる。

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2009/03/08

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

中村義洋監督。海堂尊原作。竹内結子。阿部寛。堺雅人。羽田美智子。山本太郎。高嶋政伸。貫地谷しほり。尾美としのり。中林大樹。林泰文。佐野史郎。玉山鉄二。野際陽子。平泉成。國村隼。

東城大学付属病院の窓際医師・田口は「チーム・バチスタ事件」を解決した功績で院内の倫理委員会長になってしまっていた。そんな彼女の元に、“ジェネラル・ルージュ”と呼ばれる救命救急の速水センター長と医療メーカーの癒着を告発する文書が届く。それと時を同じくして告発された医療メーカーの支店長が院内で自殺。田口は院長の命で院内を密かに探ることになる。そこに骨折した厚生労働省の役人・白鳥が運ばれてきて……。

『チーム・バチスタの栄光』に続く、海堂尊原作の“田口・白鳥シリーズ”映画化第2弾。“ジェネラル・ルージュ”(血まみれ将軍)と呼ばれる救命救急センター長・速水にかけられた殺人と収賄の疑惑を、田口と白鳥の凸凹コンビが探っていく。その中で描き出されるのは、社会問題としてもしばしば取り上げられる救命救急の厳しい現状だ。だからといってお堅い映画ではなく、竹内結子の演じる田口と阿部寛の演じる白鳥のやりとりなど、コミカルな演出もふんだんに盛り込まれ、物語のテンポも抜群。そして後半には畳み掛けるようなシビれる展開が待っている。エンターテイメントとして楽しめ、かつ心にメッセージを強く残す傑作医療ミステリーだ。(goo映画より)

第1作の「チーム・バチスタ」よりもグンと面白くなっている。テンポの良さ、緩急のシリアス部分とユーモアのリズムがすこぶる良い。事件自体はなんだか中途半端すぎるが、それ以上に、医療現場の諸相を巧みに描き出している。前作の連続医療殺人の結末が尻すぼみだったのに比べ、最後まで、良い波に乗って盛り上がっていた。

ジェネラル・ルージュの凱旋

厚労省官僚役の阿部寛とダメ精神科医役の竹内結子のコンビ。そのデコボコぶりはとってもいいが、このコンビって、そうだ、「トリック」の日本科学技術大学物理学教授・上田次郎役の阿部寛と、自称天才マジシャン・山田奈緒子役の仲間由紀恵の弥次喜多ぶりを彷彿させ、なんだか二番煎じみたいなのだ。抜けているけど、頼れる兄貴分として阿部寛が見事にはまっているのだな。いいね、大きすぎる阿部ちゃん。

「ジェネラル・ルージュ」の堺雅人。「壁男」なんかを見たときには線の細い役者だなあと思ったが、本作を見ると、線の細さがある種の異能の鋭さを感じさせ、良い演技だなあ、と思ったものだ。

文句なしに、オススメ映画である。

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2009/02/23

よくわからん!米アカデミー賞

第81回米アカデミー賞が日本時間23日、発表された。ダニー・ボイル監督の『スラムドッグ$ミリオネア』が8部門を獲得。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』が3部門で続いた。日本からノミネートの『おくりびと』が外国語映画賞、『つみきのいえ』が短編アニメ賞を受賞した。各メディアの伝える情報を整理すると、各受賞は次のとおり。

■作品賞『スラムドッグ$ミリオネア』
■監督賞 ダニー・ボイル監督『スラムドッグ$ミリオネア』
■主演男優賞 ショーン・ペン『ミルク』
■主演女優賞 ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』
◎助演男優賞 ヒース・レジャー『ダークナイト』
■助演女優賞 ペネロペ・クルス『それでも恋するバルセロナ』
◎外国語映画賞 『おくりびと』
◎長編アニメ賞 『ウォーリー』
■ドキュメンタリー長編賞 『マン・オン・ワイヤー』(原題)
■ドキュメンタリー短編賞 『スマイル・ピンキ』(原題)
■脚本賞 『ミルク』
■脚色賞 『スラムドッグ$ミリオネア』
■撮影賞 『スラムドッグ$ミリオネア』
■編集賞 『スラムドッグ$ミリオネア』
◎美術賞 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
■衣装デザイン賞『ある公爵夫人の生涯』
■作曲賞 『スラムドッグ$ミリオネア』
■歌曲賞 『スラムドッグ$ミリオネア』
■録音賞(音響賞) 『スラムドッグ$ミリオネア』
◎音響編集賞 『ダークナイト』
◎メークアップ賞 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
◎視覚効果賞 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
■短編実写賞 『トイランド』(英題)
■短編アニメ賞『つみきのいえ』

■は未見、◎は既見である。

「おくりびと」の勝利に終わった外国語作品だが、全般にどうだったのか。ノミネートを見ると、「バーダー・マインホフ」は西ドイツ赤軍指導者の物語、「戦場でワルツを」はイスラエルのレバノン侵攻兵士の物語、「レヴァンシェ」はウィーンの復讐と贖罪の物語、「クラス」はパリの中学校の子どものドキュメンタリー風作品。いずれも未見だが、粗筋を見て、政治的な傾向作品を除外すると、「おくりびと」の対抗は少なかったように思えた。

個人的には「ベンジャミン・バトン」でブラッド・ピットが主演男優賞、「チェンジリング」でアンジェリーナ・ジョリーが主演女優賞を取れば、なんという幸せな夫婦だろうか、と夢想した。ブラピの場合は特殊メークが多かったのが少しハンディとは思ったが。

いずれにしろ、「スラムドッグ$ミリオネア」にしても、日本公開直前の作品なので、よくわからんのだ。言ってみれば、あくまで米国のアカデミー「ショー」なのだなあ、と思う。

あえて言えば、今はなきヒース・レジャーが「ダークナイト」で助演男優賞をもらっていることに共感できた。

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2009/02/22

ハルフウェイ

ハルフウェイ

北川悦吏子監督・脚本。北乃きい。岡田将生。溝端淳平。仲里依紗。成宮寛貴。白石美帆。大沢たかお。

近づいただけで倒れそうなくらい大好きな片思いの相手シュウに、ある日突然「つきあってください」と告白され舞い上がるヒロ。2人は北海道の同じ高校に通う受験を控えた3年生だ。楽しい日々が続く中でシュウにはどうしても言い出せないことがあった。それは早稲田大学進学を目指していること。地元の大学志望のヒロはその事実を知ると、「東京に行くつもりなのに、なぜコクったの? 無責任だよ」と責めるのだった。

あ、『Love Letter』だ。坂道を自転車で並走する若い恋人たちの姿に、本作のプロデューサー岩井俊二の名作のワンシーンが甦る。北乃きい、岡田将生という旬の若手俳優を起用し、気恥ずかしいほどの恋模様を描くのは、脚本家として「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」など数々の恋愛ドラマでヒットを放ってきた北川悦吏子、これが初の映画監督作品である。さらに主題歌を『リリィ・シュシュのすべて』のSalyu、音楽監督を初の映画プロデューサーも兼ねた小林武史が担い、まさに“チーム岩井”の全面サポートを得て完成した北川ワールド。かわいくて真っ直ぐな“恋”は大人にもちょっと懐かしい。(goo映画より)

ハルフウェイ


なんちゃって、北乃きい、である。十代の女の子のオーラをみなぎらせている。美少女スター。その北乃きいを前面に出したアイドル映画である。

もっとも、監督と脚本が北川悦吏子というのが不安要素であったが、案の定の作品になってしまっている。何がどうかというと、感受性をナチュラルに描こうとして、ドツボにはまっている感じしかないのだ。「生」っぽい姿を描きたいのだろうが、その「生」っぽさが、普通の芝居的なものよりも、妙にうそっぽいのだ。本当は作り物の芝居をぐるりと廻ってみせるのが、監督の自負だったのだろうが、どうもうまくいっていない。

そして、「halfway」を「ハルフウェイ」と読んでしまう中途半端さが、作品そのものも、halfwayにしてしまっている。攻め切れていない。

もちろん、北乃きいはいい。光っているぞ。そして、自転車のシーンは期待したとおりの爽快感を生み出している。それだけで、この映画は30点くらい稼ぎ出している。あと、50点は北乃きいの存在感であるけど。

ハルフウェイ

映画は道内でロケされた。石狩の高校などだそうだが、南小樽の駅も出る。北海道らしさは出ているのか出ていないのか。ちょっと評価しずらい。

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2009/02/21

チェンジリング

チェンジリング

クリント・イーストウッド監督。アンジェリーナ・ジョリー 。ジョン・マルコヴィッチ。ジェフリー・ドノヴァン。コルム・フィオール。ジェイソン・バトラー・ハーナー。

1928年。ロサンゼルスの郊外で息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン。だがある日突然、家で留守番をしていたウォルターが失踪。誘拐か家出か分からないまま、行方不明の状態が続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5ヶ月後、息子が発見されたとの報せを聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た見知らぬ少年だった。

老境の域に達してなお、自身の最高傑作を塗り替えている感さえあるクリント・イーストウッド監督の“硫黄島”二部作に続く本作は、誘拐された息子の生還を祈る母親の闘いを描くサスペンスドラマ。平凡な主婦が、子供の行方をつきとめたい一心で腐敗した警察権力に立ち向かい、真実を求めて闘い続ける姿を寡黙なタッチで描き出している。ヒロインを演じるのはアンジェリーナ・ジョリー。華麗なアクションを披露したかと思えば重厚なドラマに出演と、多彩なキャリアを誇る彼女の集大成とも思える熱演ぶりに注目だ。また、綿密に時代考証されたセット、脇役の俳優一人ひとりまで行き届いたイーストウッド流の演出を体感できる一本といえよう。(goo映画より)

チェンジリング


いい映画だ。息子を思う母の愛の深さを徹底的に描き出した。一方で、腐敗した警察組織が犯す非常識な権力犯罪の怖さを見事に浮かび上がらせた。

そして、子供を狙った動機もあきらかでない連続誘拐殺人事件。その犯人の狂気と、神への確信にもとづく教会のある種の正義への不気味なほどの明快さ。それら対照的なことどもが、行きつ戻りつ、居心地の悪さのように繰り返される。

イーストウッドはすごい。ある意味、もっと短絡的に描ける権力犯罪と凶悪犯罪の犠牲者の物語を不屈の愛の物語として導き出した。その力量は半端じゃないと、あらためてみせつけてくれる。

アンジェリーナ・ジョリーはいつもの快活な姿を封印して、耐えながら屈しない女を演じている。赤い口紅がいささか、濃すぎるが。

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2009/02/20

第32回日本アカデミー賞決まる

第32回日本アカデミー賞決まる


いつも「なんじゃあ、こりゃ」という日本アカデミー賞だ。いわば、とんでも映画賞的で、自分としては高い評価を与えられる賞ではないのであまり期待していないが、今回はガチガチな本命当確となった。

■最優秀助演女優賞
余 貴美子(「おくりびと」)
◎帯広に子どもを残して葬儀屋に勤めている訳あり中年女の役でした。それが自然体でとってもよかった。

■最優秀助演男優賞
山崎努(「おくりびと」)
◎いい演技でした。死と生の架け橋のような仕事をしながら、それでも白子をうまそうに食う業の深さを本当に見事に演じていた。すごいなあ。

■最優秀主演女優賞
木村多江(「ぐるりのこと」)
▽話題作だったが、これは見逃してしまった。なーんも言えない。ちょっとミステリアスな女優さんで、ちょっと地味なのに、獲れるんだ。
▽「おくりびと」の広末涼子。相変わらず可愛らしかったが、達者な役者が廻りにそろっていただけに、損をしている。

■最優秀主演男優賞
本木雅弘(「おくりびと」)
◎まあ、本命中の大本命だから仕方がない。余貴美子、山崎努が受賞して、モックンがもらわないわけにはいかんということか。なんか、大物俳優の風格が出て来ちゃったあたりが、ものすごく嫌なんだけどなあ。
▽個人的には「パコと魔法の絵本」の役所広司なんかもアホらしくて、歌舞伎役者のようでよかった。

■最優秀監督賞
「おくりびと」(滝田洋二郎監督)

■最優秀作品賞
「おくりびと」
滝田洋二郎監督。小山薫堂脚本。本木雅弘。広末涼子。余貴美子。吉行和子。笹野高史。山崎努。

■最優秀外国作品賞
「ダークナイト」

■最優秀アニメーション作品賞
「崖の上のポニョ」

▽「トウキョウソナタ」黒沢清監督。香川照之。小泉今日子。役所広司。井川遥。
日本アカデミー賞には縁なしのようだ。

今回の司会の樹木希林。昨年に比べると、普通のおばさんでした。

◇      ◇
ちなみに、1年前の2008年2月16日のブログでは次のように書いている。

「困った! 日本アカデミー賞」

第31回日本アカデミー賞が15日発表された。それによると、以下の通りだ。
■第31回日本アカデミー賞一覧(○は観賞済み、×は未観賞)
×最優秀作品賞「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
○最優秀アニメーション作品賞 「鉄コン筋クリート」
×最優秀監督賞   松岡 錠司「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
×最優秀脚本賞   松尾 スズキ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
×最優秀主演男優賞 吉岡 秀隆「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
×最優秀主演女優賞 樹木 希林「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
×最優秀助演男優賞 小林 薫「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
○最優秀助演女優賞 もたい まさこ「それでもボクはやってない」
×最優秀音楽賞   大島 ミチル「眉山 -びざん-」
×最優秀撮影賞   蔦井 孝洋「眉山 -びざん-」
×最優秀照明賞   疋田 ヨシタケ「眉山 -びざん-」
○最優秀美術賞   部谷 京子「それでもボクはやってない」
×最優秀録音賞   鶴巻 仁「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
○最優秀編集賞   菊池 純一「それでもボクはやってない」
○最優秀外国作品賞「硫黄島からの手紙」
○話題賞  (作品部門) 「キサラギ」
×     (俳優部門) 新垣 結衣 <対象作品>「恋空」

いやあ、びっくりした。だってさ、「取りあえず、見なくていいや」と遠慮した作品がずらっとトップに並んでしまった。困ったねえ。日本アカデミー賞。

たとえば、吉岡秀隆君の同じ作品で2度の受賞って、どうよ。ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーとか、マトリックスのネロのキアヌ・リーブスが連続して主演男優賞ってのは、ありえねー、気がするのよね。いいんだろうか、日本映画。

甘酸っぱい郷愁と権力批判の問題提起。どっちってことはないけれど。「それでもボクはやってない」は助演女優賞もたいまさこ、でアリバイ的に一人入り、あとは裏方が名を連ねているだけ。なんだか、無視したわけじゃないよ、って一番安全パイに上がらせた印象だな。周防正行さん、すごくよかったよ。って私が賞をやれるわけじゃないが。

テレビでちょっと見たが、樹木希林。相変わらず、すごくいい。反骨だね。(この部分、昨年のブログの再掲です)

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2009/02/15

永遠のこどもたち

永遠のこどもたち

ファン・アントニオ・パヨナ監督。ペレン・ルエダ。フェルナンド・カヨ。ロジェール・プリンセブ。ジェラルディン・チャップリン。ギレルモ・デル・トロ製作。

子ども時代を過ごした海辺の孤児院に30年ぶりにラウラが戻ってくる。閉鎖されて久しい古い屋敷を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建する計画だ。気がかりなのは、難病を抱えた7歳の息子シモンが空想の友だちに夢中になっていることだったが、怪しげな老女ベニグナの突然の訪問がラウラの不安を一層掻き立てる。そして、子どもたちを集めたパーティの最中にシモンは忽然と姿を消してしまう。

これはホラーであり、サスペンスであり、何よりも我が子を思う母の狂おしいほどの愛を描いた物語だ。ダークファンタジーの傑作『パンズ・ラビリンス』の鬼才ギレルモ・デル・トロが、新鋭J・A・バヨナ監督の才能と、セルシオ・G・サンチェスの脚本に惚れ込んで製作を買って出ただけあって、タイトルバックから張り巡らされた伏線の緻密さはもちろん、古い屋敷や美しい砂浜に続く洞窟などもミステリアスな展開に拍車を掛け、質の高い仕上がりになっている。本国スペインで大ヒットを記録し、08年のゴヤ賞では7部門を受賞。ハビエル・バルデム主演『海を飛ぶ夢』で好演が光ったベレン・ルエダがヒロインを熱演。(goo映画より)

永遠のこどもたち

幽霊映画である。なかなか出てこない。それは見る者が幽霊なんてインチキさ、と思っているからである。ところが、とどのつまりどうしょうもないところまで追いつめられて、やっと出てくる。見えなくても信じようとするからだ。

なぜ信じるか、というと、母の子(といっても本当は養子だが)を思う思いがまったく揺らいでいないからだ。

母は孤児院出身、子どもはHIVの陽性だ。ともにトラウマめいたものを持っている。母は子どもに元気で生きて大きくなって、と願っているが、子どもは自分が命が長くないこと、自分は母の本当の子ではないことを知っている。

とすれば、母は生きる側に希望を見いだすか、いつまでも一緒にいる側に心の安寧を見いだすかである。当然ながら、子どもが長く生きられないとすれば、いつまでも一緒にいる側に進むだろう。つまり、そこは「永遠の子どもたち」の世界である。

幽霊物語の底にあるのは親子の愛の揺らぎのなさである。幽霊に息子は連れられて行ったようで、本当は母が一緒に行くことを強いたのかもしれない。どこかで母自身の母胎回帰、幼児期への回帰の物語のようでもある。

スティグマを持った子どもに覆面をさせる、いわば「エレファントマン」的な映像=冥界へのメタファー=は多くはないが、心が痛む。

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2009/02/14

ララピポ

ララピポ

宮野雅之監督。成宮寛貴。村上知子。中村ゆり。吉村崇。濱田マリ。奥田英朗原作。中島哲也脚本。

風俗スカウトマンの栗野は女に声をかけ、囲った女を部屋に連れ帰っては一晩中セックスの相手をする日々。そんな栗野の階下の住人・杉山は、栗野の女のあえぎ声でオナニーをするのが日課だった。ある夜杉山は声優志望の太った女・小百合と出会い、久々のセックスにハマる。しかし小百合はデブ専の裏DVD販売を生業としており、杉山との情事も隠し撮りしているのだった……。

風俗専門スカウトマン、売れない対人恐怖症のフリーター、アニメ声優志望のデブ専AV女優、風俗の世界へと堕ちていく元OL、カラオケボックスでバイトするSFオタク青年、そしてゴミ屋敷の主の淫乱主婦と、いずれ劣らぬダメ人間たち。そんな彼らのダメな生活ぶりをポップに描き出した群像劇がこの作品だ。都会の底辺でしたたかに生きる登場人物たちの姿はこっけいだが、どこか愛しい。成宮寛貴は風俗スカウトマンをキザな演技で表現。その他森三中の村上知子や平成ノブシコブシの吉村崇、大人計画の皆川猿時など個性的な出演者が顔を揃えた。原作は奥田英朗の同名小説。監督の宮野雅之は本作が長編デビュー作となる。(goo映画より)

デブのフリーター。風俗へ墜ちていくデパガ。SFオタク。風俗スカウト。ゴミ屋敷の淫乱主婦。田舎出の声優志望のデブ専女性。そんなダメ人間たちが繰り広げるハートフルなポップなドラマだ。もちろん、ハートが温まるのは最後の瞬間で、崩れていき破たんする人間関係に心は寒くなる。それでも、人間捨てたもんじゃないぜ、という楽天主義が作品の根底にある。そこがいい。笑いどころも満載で、見終わったらハッピー気分になる。

ララピポ

精神科医・伊良部シリーズの奥田英朗、それに「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也らしい外連(けれん)があふれている。ただ者じゃない2人らしい作品だ。

売れっ子の成宮寛貴はホストさながらのスカウトを生き生きと演じて、ちょっぴり後光が射している。デブ専女優の村上知子も面白い。やさしさを巧みに裏ビデオにして商売するしたたかな生き方にちょっぴり希望を感じさせる。

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2009/02/08

ベンジャミン・バトン  数奇な人生

ベンジャミン・バトン
ベンジャミン・バトン
デビッド・フィンチャー監督。エリック・ロス脚本。ブラッド・ピット。ケイト・ブランシェット。ティルダ・スウィントン。

1920年代にF・スコット・フィッツジェラルドが執筆した、80代で生まれ、そこから若返っていくひとりの男の姿を描いた短編の映画化作品。普通の人々と同じく彼にも時の流れを止めることはできない。ニューオーリンズを舞台に、1918年の第一次世界大戦から21世紀に至るまでの、ベンジャミンの誰とも違う人生の旅路を描く。

主人公、ベンジャミンが触れ合う人々や場所、愛する人との出会いと別れ、人生の喜び、死の悲しみ、そして時を超えて続くものを描きあげた、一生に一本、心に残る愛の詰まった感動巨編。出演はブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン。監督は時代を代表する監督のひとりになったデビッド・フィンチャー。(作品資料より)(goo映画より)

人生は分からない。老いて死ぬか、老いて生まれるか。長く生きるか、短くしか生きられないか。それはさまざまだ。

いろいろな人間がいるけれど、みんな孤独を抱えている。孤独の正体はみんな自分しか生きられないからだ。

でも、人は出会う。出会うことで何かが生まれるのではないか。

永遠なんてない。でも、ある。

そんな問いを続けているような映画である。ブラッド・ピットは今はちょっとデブすぎだが、若い姿はとてもいい。ケイト・ブランシェットは若い姿もいいが、とても老け役がいい。

まあ、語り口は「フォレスト・ガンプ」かな。でも、長さを感じさせず面白かった。

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2009/02/07

英国王給仕人に乾杯!

英国王給仕人に乾杯!
英国王給仕人に乾杯!
イジー・メンツェル監督。ボフミル・フラバル原作。イヴァンン・バルネフ。オルドジフ・カイゼル。ユリア・イェンチ。

ヤンは、1963年ごろ、共産主義体制下のプラハで出獄し、ズデーテン地方の山中に向かい、廃屋でビールのジョッキを発見する…。ヤンの人生は給仕人の人生だった。田舎町のホテルのレストランでのビール注ぎの見習いから、高級娼館“チホタ荘”に、そしてプラハ最高の美しさを誇るホテル・パリで給仕の修行をする、古き良き時代。しかし1938年、ヒトラーのズデーテン侵攻でチェコスロヴァキアはドイツに占領され、その時、ヤンは自分よりも小さいズデーテンのドイツ人女性リーザに恋をしてしまう…。

『スイート・スイート・ビレッジ』『つながれたヒバリ』でおなじみのチェコの素晴らしい映画作家イジー・メンツェル監督作。軽やかな語り口と甘美な映像美で、小さな人間ヤンを主人公に小国チェコの激動の20世紀現代史を展開する。主演ヤンは二人一役で、若いヤンをブルガリア俳優のイヴァン・バルネフ、老ヤンをチェコ俳優のオルドジフ・カイゼルが演じる。ヤンが恋に落ちるズデーテンの小さなドイツ女性リーザはユリア・イェンチ。“英国王給仕人”の給仕長にはスロヴァキアの名優マルチン・フバ。(作品資料より)(goo映画より)

傑作だ。チェコという小さな国の運命を、小さな給仕人ヤン・ジーチェ(子どもという意味だそうだ)に重ね合わせて描き出した。しかも、政治がいかに残酷かを示す。ナチス・ドイツの拡大主義はもちろん許せないが、共存して暮らしているマージナルな世界を消滅させてしまうことをある意味で鋭く批判している。主人公を小さな男に、そして愛した女性をさらに小さな国境地帯のドイツ人女性とした視点が素晴らしい。そしてエスプリというか、皮肉というかユーモアもいっぱいだ。

映画の楽しみは、通奏低音に添えて、わんさかと出てくる美女達である。とにかくパラダイスの娼婦に始まり、ホテル・パリとチホタ荘の接待婦、そしてナチスの優生思想下での天真爛漫なゲルマン娘たちが、どれもみな美人なのだ。とりわけだれとでも寝たと言うことで国境地帯に追いやられてきたチョコレート工場の女は素晴らしい。いずれにしろ人間性の追求と同時に、その官能性の高さでも本編は傑作である。

映画のタイトルはホテル・パリにいる英国王の給仕をしたという反ナチスを貫いた反骨の給仕長に対して敬意を表している。主人公はエチオピア皇帝から勲章をもらったことを誇りにしているのだが。コインをばらまくことで人間の本性を試す主人公、その主人公にお金の大切さを教え、監獄列車で収容所に送られていくユダヤ人行商などエピソードも印象的だ。さらに、物語を刑務所から15年ぶりに出てきて国境地帯で働く老主人公の回想の形で進めていることで、批評的になった。そこは流刑囚の場所であり、スターリニズムの過酷さも示している。ラストの幻の乾杯シーンは人生への悔いを対象化して見事である。

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2009/02/06

2008年映画の人気度

日本映画製作者連盟は1月29日に2008年の全国映画概況を発表した。
http://www.eiren.org/toukei/index.html
興行収入の総額は約1948億4000万円。日本映画は過去最高の1158億6000万円(前年比22・4%増)、外国映画は789億8000万円(同23・9%減)だったという。

以下、ランキングである。頭にある○は観賞、×未観賞。
【邦画】
○ 1.崖の上のポニョ       155.0億円  東宝
× 2.花より男子ファイナル    77.5億円  東宝
× 3.容疑者Xの献身       49.2億円  東宝
× 4.劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール
    ギラティナと氷空<そら>の花束シェイミ
                  48.0億円  東宝
○ 5.相棒 -劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティ
    マラソン          44.4億円  東映
○ 6.20世紀少年 第1章    39.5億円  東宝
○ 7.ザ・マジックアワー     39.2億円  東宝
× 8.映画ドラえもん のび太と緑の巨人伝
                  33.7億円  東宝
× 9.マリと子犬の物語      31.8億円  東宝
○ 10.L change the WorLd
                  31.0億円  WB
○ 11.おくりびと         30.5億円  松竹

【洋画】
○ 1.インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国
                  57.1億円  パラマウント
○ 2.レッドクリフPart1   50.5億円  東宝東和/エイベックス
○ 3.アイ・アム・レジェンド   43.1億円  WB
○ 4.ライラの冒険 黄金の羅針盤 37.5億円  松竹/GAGA
○ 5.ハンコック         31.0億円  SPE
○ 6.ナルニア国物語/第2章 カスピアン王子の角笛
                  30.0億円  Disney
○ 7.魔法にかけられて      29.1億円  Disney
○ 8.ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記
                  25.8億円  Disney
○ 9.ウォンテッド        25.0億円  東宝東和
× 10.アース           24.0億円  GAGA
○ 11.ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
                  22.0億円  東宝東和
                
個人的には、どうしてこんなに邦画が見られているか、驚く。あえて、嫌味を言うなら「ガキ、恐るべし」というところか。「ポニョ」のエナジーは別に論ずべきかもしれないが、ちょっとなあ、という結果である。

お子ちゃま映画とはいえ、徹底的な毒と愛を持つPTAには批判される戦う天然児、「映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者」は邦画23位、12.3億円というのが、象徴的である。

洋画でもバットマン映画じゃないらしい「ダークナイト」が16位、16.0億円だそうだ。この当たりが一つの目安かもしれない。

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2009/02/01

20世紀少年 第2章 最後の希望

20世紀少年第2章最後の希望
20世紀少年第2章最後の希望
堤幸彦監督。浦沢直樹原作・脚本・監修。豊川悦司。常盤貴子。平愛梨。香川照之。ユースケ・サンタマリア。藤木直人。唐沢寿明。

西暦2015年。2000年に起こった「血の大晦日」は、ケンヂたちが行ったものとされ、それを阻止した“ともだち”は世界の救世主として崇められていた。ケンヂの姪、カンナは高校生に成長し、学校で習う「血の大晦日」に憤りを感じていた。そんなカンナは学校で問題児扱いされ、「ともだちランド」に送られることに。それは、社会のルールからはみ出した人間を洗脳する施設だった。

浦沢直樹原作の人気コミックの映画化第2章。第1章で登場したケンヂの姉が残した娘、カンナが主人公となる。ケンヂが姿を消してから、ユキジに育てられたカンナは、「血の大晦日」の真相を知っているため、“ともだち”に洗脳された社会に反発していた。そして、「ともだちランド」で「よげんの書」の謎を解くカギを見つける…。唐沢寿明、豊川悦司らに代わり、ストーリーを引っ張るのは、カンナ役の平愛梨。少年マンガのヒロインらしいキュートでタフな少女を凛とした表情で演じている。その他、古田新太、手塚とおる、ARATA、小松政夫など、脇にも個性的なキャストが配されているのも見逃せない。監督は、第1章から手がけている堤幸彦。(goo映画より)


第1作を見たこともあって、物語の世界観のようなものがようやく見えてきた。「ともだち」は「ともだち」でない者には「絶交」をする。子どもである。世の中はそんな二分法では動かないことを知っている。それが大人の世界である。もっとも、アングロ・アメリカは最近は同じことを言っているから、子どもの論理は絵空事ではない。

怖いのは細菌兵器を子どもが手にして、世界の征服だの滅亡だの、覚えたての空想を現実化しようとすることだ。

「ともだち」ワールドは20世紀のカリカチュアである。今回は万国博覧会だ。三波春夫の「こんにちはこんにちは」のうたごえが、古田新太によって変奏再現される。岡本太郎の太陽の塔も縄文のパワーならぬ「ともだち」印となる。いやあ、確かに万博に行くか行かないかは、当時の子ども達には大きなテーマだったろう。それがスティグマになるのかどうか。

今回の主役は唐沢ではなく、姪の遠藤カンナ役の平愛梨だ。ボーイッシュでキュートな少女の役を熱演している。でも、残念ながら、ビビビとは来なかった。とにかく今回も豪華絢爛なキャストで、ぜいたくである。これだけ役者を使えば、3部作くらいにしなければ、元はとれないのだろうか。

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2009/01/25

感染列島

感染列島
瀬々敬久監督・脚本。妻夫木聡。檀れい。佐藤浩市。藤竜也。国仲涼子。池脇千鶴。

正月明け、市立病院に務める松岡剛の元に1人の急患が運ばれてきた。新型インフルエンザに類似する症状だがワクチンが通用せず、患者は死亡。やがて同僚の安藤医師や他の患者に感染が広がり、病院はパニックになってしまう。WHOのメディカルオフィサーで松岡の元恋人・小林栄子が事態の収拾と調査に乗り出し、松岡も彼女と共に戦うことを決意するが、感染は日本全国に広がってしまい……。

有効な治療法のないウイルス感染症が広まった日本をリアルにシミュレートしながら、ウイルスと戦う人々の姿を克明に描き出した作品。感染患者が多数搬送され修羅場と化した医療現場で、自らの体力と精神を削りながら治療を続ける医師たち。そして感染症にかかってしまった患者たち。彼らが必死になって“今、できること”を模索し、実行する姿には胸を打たれる。その中心にいて、苦しい事態の中で感情を揺さぶられる医師を妻夫木聡と檀れいが熱演。そんな心を動かす物語の一方、作品の中で進んでいく感染被害の状況には、背筋の寒い思いをするはず。パンデミックの脅威について、大きな警鐘を鳴らす作品だ。(goo映画より)

新型でなくとも、インフルエンザが怖い今日この頃。正体不明の感染症のダメージを想像するだけで頭の中はパニックである。で、本作、そのパニック感を大変うまく伝えている。

病院は戦場だな、という感じがひしひしと浮かび上がってくる。人を救うということは命の選別である。そのリアリズムがいい。救急救命センターのスタッフにはちょっとなれないと思った。

さて、よくできた映画だが、謎のウイルスはどうも正体不明のままである。ワクチンが本当に間に合ったのかどうか。つまり、感染症に人間が勝った印象がどうも薄いのだ。ウイルスが「このくらいでやめてやるか。人間がいなくなると、オレたちも困るもんね」ていう感じが残る。私的には結構不安である。

東京の病院をやめた妻夫木聡先生の新しい職場が北海道北部の酪農地帯の診療所というのもオチとしては今ひとつの感じがしたね。

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2009/01/24

悪夢探偵2

悪夢探偵2
塚本晋也監督。松田龍平。三浦由衣。韓英恵。市川実和子。光石研。

他人の夢の中に入る能力を持った京一は、悪夢探偵と呼ばれていた。彼の新たな依頼者は、雪絵という少女。ちょっとしたイタズラのつもりで、体育館に閉じ込めた同級生の夕子が、その日から不登校となり、雪絵の夢に現れるようになったというのだった。「本当に悪いと思うんだったら、会って謝ればいい」と突き放す京一。しかし、その日から雪絵の周りに事件が起き始める…。

全世界30カ国で公開され、絶賛された『悪夢探偵』の続編が登場。その名を“世界のツカモト”へと一気に押し上げた塚本晋也が監督、脚本を手がける。自分の意思とは反して、人の夢の中に入る能力を持ってしまった京一は、悪夢にうなされて眠れない女子高生の依頼を受ける。思春期の少女たちの交友関係に巻き込まれ、ウンザリする京一だったが、やがて母に愛情を求める雪絵に自分を重ねていくように。出演は松田龍平、三浦由衣、韓英恵、内田春菊、光石研、市川実和子ら。ドラマが続き、映画出演は久しぶりとなる松田龍平の一皮向けた演技に注目。オーディションで選ばれた三浦由衣も、新人離れした独特な存在感を放ち、今後期待出来そうだ。(goo映画より)

前作に続いて「いやだ、いやだ」という主人公のボヤキが聞こえてくる。しかも、本作では、マザコンモードが全開だ。怖いというより、疲れる。自分探しの物語だ。世界との違和を感じることに耐えられない人間が生きるのは大変なことだ。

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2009/01/19

007 慰めの報酬

007  慰めの報酬
007  慰めの報酬
マーク・フォースター監督。ダニエル・クレイグ。オルガ・キュリレンコ。マチュー・アマルリック。

初めて愛した女・ヴェスパーを失ったジェームズ・ボンドは、ヴェスパーを操っていたミスター・ホワイトを尋問し、背後にいる組織の存在を知る。早速捜査のためにハイチへと跳び、知り合った美女カミーユを通じて、組織の幹部であるグリーンに接近。環境関連会社のCEOを務める男だが、裏ではボリビアの政府転覆と天然資源の支配を目論んでいるのだった。ボンドは復讐心を胸に秘めながら、グリーンの計画阻止に動くが……。

『007/カジノ・ロワイヤル』に続くダニエル・クレイグ版007の第2弾。前作で初めて愛した女性・ヴェスパーを喪ってしまったジェームズ・ボンドが、復讐心に駆られながらも任務に臨み、巨大な犯罪組織と対決する姿を描いていく。ダニエル・クレイグは前作同様、ジェームズ・ボンドを人間味たっぷりに表現。またアクションでも身体を張ったファイトシーンなどを披露している。本作のボンドガールを務めたオルガ・キュリレンコは、タフでどこか謎めいた魅力を持つカミーユを鋭く演じた。監督は『チョコレート』のマーク・フォースター。人間ドラマを描くことに定評のある彼が、クレイグ版ボンドの魅力をより一層引き立てている。(goo映画より)

スピーディーな展開の上、アクションも力が入るし、ハードボイルドである。ボンドガールてんこ盛りだった過去シリーズと隔世の感がある。

でも、昔は東西冷戦のハザマでスパイたちは活躍した。しかし、時間を現代に翻案した時、スパイの敵はなんだか曖昧だ。アルカイーダのようなテロリストでは荷が重すぎるから、敵は今ひとつ志の弱い相手なのは気のせいか。

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2009/01/02

ワールド・オブ・ライズ

ワールド・オブ・ライズ
リドリー・スコット監督。デイビッド・イグネイシアス原作。レオナルド・ディカプリオ。ラッセル・クロウ。マーク・ストロング。ゴルシフテ・ファラハニ。

ロジャー・フェリスはCIAで最高の腕を誇るスパイ。世界中の戦場で常に死と隣り合わせの彼の任務を決めるのは、遠く離れた安全な場所で、時には子供の世話をしながら命令を下すベテラン局員エド・ホフマン。彼らの目的は、地球規模の破壊を含む爆破テロ組織のリーダーを捕まえること。正体不明のその男を罠にかけるには、味方すらも欺く完璧な嘘をつかなければならない。世界を救うのは、いったい誰のどんな嘘なのか…?

息もつけない頭脳戦と、一瞬先も読めない熱き戦いを描くアクション・エンタテインメント。監督は、『グラディエーター』『アメリカン・ギャングスター』のリドリー・スコット。原作は、ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デイビッド・イグネイシアスがCIA工作員を描いた2007年の小説「ボディ・オブ・ライズ」。(作品資料より)(goo映画より)

ほとんどノンストップで事件が続いていく。いかにもリドリー・スコットらしい迫力満点の映像が素晴らしい。とはいえ、解放感のない重苦しい映画だ。

中東を淵源に世界中に広がっているテロリズム。米国帝国主義とイスラム原理主義の戦いは底なしの泥沼だ。レオ様は米国CIAの現地エージェント、太ったラッセル・クロウはCIA本部の中東担当だ。戦いの最前線の工作員の姿は映画が現実なのか、現実が映画以上なのかわからないほどにリアルだ。しかも、恐ろしい。協力者というスパイを使っての情報合戦、テロリストグループのでっち上げ、拷問と死の日常化、宇宙衛星からの監視と盗聴、盗撮の横行。出口のない報復の連鎖には、なんだか、気が滅入ってくる。

米国サイドからの映画でありながら、米国は美化されていない。なにしろ、CIAの幹部は家族と団らんを楽しみながら、冷酷な指示を出していく。現地の犠牲者に礼を尽くさない。協力者は臆病なテロリストくずれでしかないのだ。そして、当事者の利害よりも米国の利害が作戦を含めたすべてに優先する。中東にかかわりながら、中東が好きな奴なんかいないさ、という感覚だ。そういえば、「ブラックホーク・ダウン」もソマリア内戦が米国には手に余る姿を描いていた。

レオ様はずいぶん男らしい役者となっている。尊大な米国を体現するラッセル・クロウに対して、米国であろうが中東であろうが、生きる場所(人を愛する心)は変わらない、ということを最後に主張する。個人としてはそれが精一杯の正義か。だが、戦いの構図に変わりはない。映画の終わりは、現実においてはエピソードでしかないままだ。

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2009/01/01

小森生活向上クラブ

小森生活向上クラブ
片嶋一貴監督。室積光原作。古田新太。栗山千明。忍成修吾。有森也実。佐野史郎。豊原功輔。

小森正一は、やる気のない新人社員に手を焼く中間管理職。食欲不振と不眠症に悩みながらも改善する気力もなく、うつろな毎日を繰り返している。ある日、電車の中で痴漢の冤罪をなすりつける常習犯の女たちに怒りが爆発し、ホームに突き落として殺してしまう。その日から小森は一変して活力がみなぎり、職場でも部下から尊敬の眼差しを向けられる。悪を退治する快感に目覚めた小森は、拳銃を入手し、次のターゲットを探し始めた。

「コイツがいなれば世の中はよくなるのに」と言われる社会の迷惑な面々を次々と成敗!サラリーマンの妄想を気持ちよく叶えてくれる、室積光原作の「小森生活向上クラブ」が映画化。大手商社勤務の小森課長は、通勤電車で見かけたムカつくOLをホームに突き落とし転落死させたことがきっかけで正義に目覚める。しかし、課長の行為に感銘を受けた部下たちが続々と集まり、陰の活動が一大組織に膨れ上がり…。劇団☆新感線の看板役者、古田新太の映画初主演作品。様々な役をこなしてきた古田の板についたサラリーマン姿が笑える。共演は栗山千明、忍成修吾、有森也実、佐野史郎、豊原功輔ら。監督は、『ハーケンクロイツの翼』(04)の片嶋一貴。(goo映画より)

世の中には怨みを晴らしたり、不正は糺したりするのに私的制裁をもってする、という人たちいる。テレビの必殺仕事人はその好例だろう。そして、最近はそれを真似た闇サイトがあり、正義の鉄拳ならぬ、人を殺める事件まで起きている。

本作はその「必殺」のパロディだろう。「必殺」がいかに非道であるかを、コミカルに描き出している。主人公同様、明るい人殺しにはやはりついて行けなかった。そして、この正義の論理はかつての新左翼たちの内ゲバを想起させるものがあった。

古田新太は好演と言えるかどうか微妙だが、サラリーマンになりきっている。やはり、女優がいい。栗山千明と有森也実がそれぞれ不思議な女のフェロモンを横溢させて魅せた。

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2008/12/30

おくりびと

おくりびと
おくりびと
滝田洋二郎監督。小山薫堂脚本。本木雅弘。広末涼子。余貴美子。吉行和子。笹野高史。山崎努。

所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた。

納棺師とはなんと素敵な仕事だろう。主演の本木雅弘と山崎努のスムーズな手の動きに思わず見とれてしまう。それは美しく厳かな旅立ちの儀式にふさわしい所作なのだ。かつて旅先で遭遇した納棺の儀式に感銘を受けた本木の発案だというユニークな題材を持つ本作。『病院へ行こう』『バッテリー』などユーモアを交えつつ感動を生む人間ドラマが得意な滝田洋二郎監督がメガホンをとり、放送作家・小山薫堂が初めての映画脚本を手がけている。誰もがいつかは迎える死と、その日が来るまで笑って泣いて生きる人々の姿を、夢や仕事への誇り、あるいは親子、夫婦の絆を浮かび上がらせて描いた本作は誰の心にも深く残るに違いない。(goo映画より)

評判作であるが、見逃していた作品を見た。納棺師を主人公にした作品は珍しいだろうが、主役のモックンが几帳面さと優しさを持った職業人を見事に演じている。特別に誉めるちぎる必要はないが、十分な佳作である。

以前と言っても10年ほど前だが、木下順一さんという函館の作家が「湯灌師」という作品を書いている。ドストエフスキー的な思索の好きな作家らしく、死体との対話が行われていたと思うが、納棺を職業とする人物の内面を初めて教えてくれた力作だった。そうした人たちの物語に接するのは、それ以来である。

さて、本作。 死は人間にとって決して彼岸の物語ではない。いかにも、人間の業の現れる最後の場所である。死化粧をしながら、浮き世の思いをいかに成仏させるか。その濃密な仕事を山崎努と二人三脚で伝えている。

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2008/12/27

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ダイアリー・オブ・ザ・デッド
ダイアリー・オブ・ザ・デッド
ジョージ・A・ロメロ監督・脚本。ミシェル・モーガン。ジョシュ・クローズ。ショーン・ロバーツ。エイミー・ラロンド。ジョー・ディニコル。

大学の映画学科に通うジェイソンは、ペンシルバニアの山奥で仲間と共に卒業製作のホラー映画を撮影していた。スケジュールは何日もオーバーしており、役者もスタッフも疲れていた。そんな時、ラジオから衝撃のニュースが流れた。世界各国で死体が息を吹き返し、生きている人間を襲い始めたというのだ。山を下り、信じられない光景をを目にしたジェイソンたちは、死人が人間を襲う様子を全て撮影することを決意するのだった。

映画界に多大なる影響を与えたホラー映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロの最新作。08年夏に公開された『デイ・オブ・ザ・デッド』の前編となる作品である。山奥でホラー映画を撮っていた学生たちは、現実世界でホラー映画のような出来事が起こっているのを目撃し、その様子を全てカメラに収めていく。目の前で人が襲われるという異常な状況下でひたすら撮影し“真実”を伝えようとしていく。個人が発信する情報がメディアとなっている現代のネット社会の危さを描き、ホラーとしてだけでなく社会派作品として世界各国で絶賛された。主演は、ドラマ「Lの世界」のミシェル・モーガン、『クライブ・パーカー・ヘルゾンビ』のジョシュ・クローズほか。(以上、goo映画より)

ゾンビ=リービング・デッドの物語は、お化け屋敷映画のようで、極めて社会派的な意識が高い。人間の生命、マイノリティや格差の問題を映し出すことが多い。少し前の「ランド・オブ・ザ・デッド」は、その意味でとてもラディカルだった。

本作はゾンビの大暴れ度は極めて低い。なんでもユーチューブの動画がメディアとなる時代を皮肉たっぷりと描き出している。人がメディアとなることのリアルさと感性の鈍麻はとても絵空事とは思えない。

ゾンビは人間ではない。だから、それを「殺害」しても、良心の呵責を感じる必要はないはずである。だが、本作は襲いかかるゾンビを殺しながら、どこかで、その行為を正当化してはいない。心の奥で何かが痛むのだ。ゾンビ映画は歪んでいく社会を告発している。

ビデオを通じて物語を描く手法はそれなりに効果的だ。ただ、映像的にはいささか単調で、インパクトは弱かった。

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2008/12/26

リバイバル・ブルースDVD

リバイバル・ブルース
クロード・ガニオン監督・脚本。内藤剛志。奥田瑛二。桃井かおり。渡辺ほなみ。久保京子。野村麻紀。ミッキー・カーチス。

26年前に解散したとあるブルースバンド。企業戦士になる者、ゴールデン街に消える者、皆それぞれの人生を歩いてきた。そんな彼らが再会を期に、「リバイバル・亡いと」で復活することに。しかし、そこにはリアルに立ちはだかる「死」という現実が…。ノスタルジックな映像とブルースで綴る、大人の青春物語。(DVD紹介文より)

2003年カナダ・日本共同制作。

不思議な作品だった。ドラマなのだが、音声は生音っぽくて、あまりバックミュージックもかからない。役者は好きなようにしゃべっている。これがクロード・ガニオン監督流なのかもしれないが、今ひとつなじめなかった。

物語は青春プレーバックであるが、むしろ死と生(性)の相即性が強調されている。監督の世界観なのかもしれない。テーマは明快だが、先述のとおりグダグダしているので、痛さだけが伝わってくる。

それでも内藤剛志は友情とセックスを全力で演じているし、監督の作品を待っていたという桃井かおりは「ちんちんブルース」などという奇天烈な歌をとっても魅力的に歌う。随所に「やられたな」という部分が多いことも事実であった。

狸小路を歩いていて、一枚280円の中古品を購入した。

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2008/12/23

地球が静止する日--YES,WE CAN CHANGE

地球が静止する日
スコット・デリクソン監督。キアヌ・リーブス。ジェニファー・コネリー。キャシー・ベイツ。

任務遂行のため、ロボットの“ゴート”を従えて地球に降り立った人間型異星人“クラトゥ”。政府や科学者たちが謎の解明に奔走する中、ある女性と義理の息子は、クラトゥの任務に巻き込まれていく。そして二人は“地球史上最大の危機”が、今まさに訪れていることに気付く…。

『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』など数々の名作を生んだロバート・ワイズ監督によるSF映画をリメイク。ワイズ版でのクラトゥは人類に核兵器の放棄を要求したが、本作では環境破壊への警告へと変えられている。主演は、「マトリックス」シリーズ、『スピード』のキアヌ・リーブス。監督は『エミリー・ローズ』で世界中から絶賛されたスコット・デリクソン。(作品資料より)(以上、goo映画より)

ある日、異星人がやってきて、人類におまえたちには用がない、と言われたら、どうしよう。対話をするか戦うか。究極の選択だな。映画「インデペンデンス・デイ」では米国大統領を筆頭に好戦派が大集合、今日は地球の独立記念日だぜい、と騎兵隊ばりに異星人に攻撃をかける。あれはひどい映画だった。

で、本作。異星人が地球にやってきたのは理由がある。警告である。一つの種が他の種の生存を脅かしているからだ。地球を救うためには、人類を滅ぼさねばならないというわけだ。確かに、そういう論理はあるかもしれない。そのメッセンジャーがキアヌだ。科学者のジェニファー・コネリーと心を通わせる中で、人類絶滅計画をストップさせるまでをダイナミックに描く。

本作の肝はバラク・オバマかな、と思う。なにしろ、異星人が人類を救う理由は人間のある可能性にかけたからだ。それこそ、オバマ。そう、「イエス。ウィー キャン チェンジ」である。私たちは変われる。それが計画を担保する理由なのだ。なんだか、2008年という時代にぴったりである。

もっとも、時代は人間が変わる前に社会がひどい状態に変わりつつある。個人的にはマネーゲームで人類に被害を与えた連中は本当に変われるのか、と疑問に思うのだが。

役者さんでは米国の国防長官役のキャシー・ベイツがいいな。

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2008/12/22

ラースと、その彼女

ラースと、その彼女
クレイグ・ギレスピー監督。ライアン・ゴズリング。エミリー・モーティマー。ポール・シュナイダー。ケリ・ガーナー。パトリシア・クラークソン。

アメリカ中西部の小さな町に暮らすラースは、優しくて純粋な青年で町の人気者だが、ずっと彼女がいないために兄のガス、義姉カリンらは心配していた。そんなある日、ラースが「彼女を紹介する」と兄夫婦のもとにやってくる。しかしラースが連れてきたのは、ビアンカと名づけられた等身大のリアルドールだった。兄夫婦を始め、街の人たちは驚きながらも、ラースを傷つけないようにビアンカを受け入れようとするが…。(goo映画より)

現実の人間より、人形のほうが好きという人はいるものだ。かくいう、私がそうである。「恐怖、クマ人間」と言われるほど、クマのぬいぐるみ好きである。一応、家族もいるが、レッサーパンダのタイソン君、立ち上がりグマのマックス君という2匹は親友以上である。

閑話休題。本作のラースは人と触れるだけで痛みが走るという特殊な性格。ガールフレンドなし。そんな彼はある日、彼女ができたとダッチワイフを連れてくる。その名はビアンカ。なかなか感じがいい美女である。ラースはビアンカにぞっこん。まあ、こういうことはあまり人前ではやらないほうがいいのだが、パーティーや教会にも一緒である。

普通は病院で治療を、となるのだが、マチの人はラースにもビアンカにもやさしい。そうこうしているうちに、ラースの心の中にあった疎外感(母を出産まもなく失い、兄には捨てられ、人嫌いの父親に育てられ、ガレージで暮らしている)が静かに氷解していく。

みんながラースを好きだから、ビアンカにも優しいことを知らされて、ラースは自分が愛されていない人間ではないことを知る。その時、ビアンカは病に倒れ、そして死ぬ。そのスティグマを取り去った時に、ラースに人間らしさが戻る。

ちなみに、ぬいぐるみは死なず、ただ消えゆくのみ、と「ぬいぐるみさんとの暮らし方」という本に書いてある。

印象的な場面はいっぱいあるのだが、ラースが知人に絞首刑にされたマーゴ(ラースにホの字)のテディベアを、縄をはずし人工呼吸を繰り返し、見事に蘇生させる。たわいもないシーンだが、ラースの持つやさしさが伝わってくる。

とても、よい作品だった。リアルドールがもっと可愛かったら、ラースが戻ってこれたかどうか、マチの人が親切でいられたかどうか。そこが気にはなった。

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2008/12/14

バンク・ジョブ

バンク・ジョブ
ロジャー・ドナルドソン監督。ジェイソン・ステイサム。サフロン・バロウズ。スティーヴン・キャンベル・ムーア。ダニエル・メイズ。リチャード・リンターン。

イースト・ロンドンで中古車ディーラーを経営するテリーは、知り合いの女性マルティーヌから銀行強盗の話を持ちかけられる。「一生に一度のチャンス」と説得され、計画実行を決意する。テリーは総勢7人の実行メンバーを集め、地下トンネルを掘り金庫への侵入に成功する。しかし、その盗んだ貸金庫の中には、犯罪組織はもちろん、イギリス政府や警察、王室までもが関係する秘密が預けられていたのだ…。

1971年、ロンドン。とある銀行の地下金庫に強盗団が侵入、数百万ポンドにも及ぶ現金と宝石が強奪される事件が起こった。事件は数日間トップニュースとして報道されたあと、突如打ち切られた。それはイギリス政府からのD通告(国防機密報道禁止令)によるものだった……という実話を基にしたクライム・サスペンス。王室スキャンダルの漏洩!?という大胆な仮説を軸に、“事情”を知らない強盗団、政府高官、裏社会の顔役、汚職警官らが絡み合うストーリーは非常にスリリング。『トランスポーター』などのジェイソン・ステイサムが主演だが、いつものB級アクション“臭さ”を感じさせない、見応えのある作品となっている。(goo映画より)

ジェイソン・スティサム。頭のてっぺんは薄いのに、ヒゲは濃い。いかにも善良な市民からは程遠い。犯罪者かアウトローか。とにかく、逸脱しているのが、魅力という存在だ。

中古車屋のおやじだが、いずれ大仕事を狙っている。まさにピッタリの役だ。銀行ギャングの仕事が王室スキャンダルに変わるのは、イギリスらしい。しかも、開けたパンドラの箱は次々と災いをもたらす。

絶体絶命のピンチから、どう抜け出すか。その駆け引きが勝負だ。映画は絶妙な緊張感でギャングと秘密をつかまれた男たちの攻防が描かれている。

悪漢小説の登場人物たちは完璧ではないが、なかなか個性的で、作品を楽しくさせている。

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2008/12/09

「252-生存者あり-」の失敗

252ー生存者ありーの失敗

水田伸生監督・脚本。小森陽一原作・脚本。伊藤英明。内野聖陽。山田孝之。香椎由宇。木村祐一。

すでに、「252」については触れているが、あらためて同作の何が問題であったかを明らかにしておこう。

ここでは、設定とドラマツルギーの2点を指摘しておきたい。

まず、巨大台風が首都・東京を襲う。すでに、湾岸エリア、フジテレビは崩壊してお笑い番組や「海猿」「大捜査線」どころではない。湾岸が水没しているということは、首都機能が麻痺しているということだ。おそらく銀座には雹が降り、新橋も水浸しだ、となりの虎ノ門はまさに官庁街であり、国会や首相官邸といった政府機能の足下である。

「252」では新橋駅災害で活躍するのは東京消防庁のハイパーレスキューである。だが、首都機能が麻痺しているのに、自衛隊どころか警察もでてこない。出てくるのは気象庁の現場役人だけである。そんなことがあるだろうか。

常識的には内閣に危機管理対策の専門チームが発足して、自衛隊と警察、消防、海上保安庁など、すべての防衛・警察・消防組織が総理大臣の指揮のもと、日本水没と戦っているはずである。少なくとも、ゴジラ映画でも、なんでもそうなるはずである。

国家の一大事に、消防と気象庁の予報課あたりでは、どうにもならんはず。そこが、リアリティがないということだ。

次に、ドラマツルギーだ。この映画は「生存者あり」の題名そのままで、「ポセイドン・アドベンチャー」でも「タワーリング・インフェルノ」でもなんでもいいが、この種のパニック映画の基本である「悲しみを乗り越えて再生していく(死と再生)」のテーマ性が極めて弱い。

こういっては悪いが、学芸会じゃあるまいし、みんな助かってどうすんの、ということだ。必ず犠牲がつきものだ。それも主役級に! それは世界中の物語の原則ではなかろうか。

ところが、「252」ではみんな助かる。もちろん、無名の多くの人たちが死ぬが、それは、単なる背景画でしかない。主役級が死なないと、災害の意味は浮き彫りにならないのだ。

この際、マイノリティーと子どもは犠牲者から除外される。だから、韓国の女性と女の子は助からなければならない。とすれば、主人公か、その兄、もしくは異端分子が反抗しつつも善行をなして、人間の美しさを見いだして死んでいかねばならない。それが感動ドラマというものだろう。おちこぼれ医師もだれもぎりぎりのところまで追いつめられないから、ハッピーエンドの感動は単なる失笑に終わってしまうのだ。

残念なことである。

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2008/12/07

WALL・E ウォーリー

WALL・E ウォーリー
アンドリュー・スタントン監督。

29世紀の荒れ果てた地球で、たったひとり黙々と働き続けるゴミ処理ロボット、ウォーリー。宇宙へ脱出した人間たちに置き去りにされて700年、大好きなミュージカル映画『ハロー・ドーリー!』のビデオで男女が手を握るロマンチックなシーンを見ては人恋しさを募らせていた。そんなある日、真っ白に輝くロボット、イヴが現れ、ウォーリーはたちまち恋に落ちる。ところが、巨大な宇宙船がイヴを連れ去ってしまい…。(goo映画より)

日本語吹き替え版を見た。

娯楽映画と思ったら、ずいぶん真面目な映画だった。人類はゴミ問題がどうにもならず、宇宙船で暮らしている。その結果すっかりデブになり、コンピューター・ロボットに依存して暮らしている。ほとんど自分の足も使わなくなっている。

その後始末を地球で続けているのが、ウォーリーである。人間のように感情を持ったウォーリーの 恋心が、人間に人間らしい肉体と精神を取り戻させる。

せっかく日本語のセリフに日本語の画面も出ているアニメだが、親子連れの多い劇場内は極めて静かだった。いい映画だけど、少し物足りない。

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252−生存者あり−

252−生存者あり−
水田伸生監督・脚本。小森陽一原作・脚本。伊藤英明。内野聖陽。山田孝之。香椎由宇。木村祐一。

関東に直下型地震が発生して数週間後、都心の機能は回復しつつあった。しかし、この地震の影響で海水温度が急上昇、それは巨大台風を発生させ、その脅威が臨海副都心に迫っていた。東京消防庁のハイパーレスキュー隊が必死の救助にあたるなか、音波探索機が高潮による水没で壊滅した新橋の地下から「2、5、2(生存者ありの暗号)」の音をキャッチ。ハイパーレスキューの暗号を知っている人間が地下に閉じ込められているのだ…。(goo映画より)

予告編で、東京が水没するのを見て、そうだ、「デイ・アフター・トゥモロー」だ、と期待しました。でも、それほどのスケールは全然無し。地下鉄銀座線、新橋駅に絞っての物語です。

直下型地震と巨大台風が日本を襲います。でも、被害は東京の湾岸(お台場のフジテレビ)と新橋だけというのはどうなんでしょう。同じ都内の気象庁なんて、全く無傷です。新橋のホテルも。なんだか、空想物語でもいいから、リアリティが必要だと思うんだが。もっとさまざまな被害が起きているはずなのに、妙に落ち着いてしまって、地震にも超巨大台風にも失礼だなあ、と思った。

結局はレスキューの活躍を描きたかったのか、という印象だけ残ります。消防士の兄弟映画では「バックドラフト」なんかがありますが、あの緊張感と葛藤には遠く及ばないな。

「海猿」の伊藤英明。なんか、マッチョな路線が似合っている。そういう方向で今後も活躍するのかな。香椎由宇ちゃん。オダジョーと結婚したけど、うーむ、可愛い。桜井幸子、「ラブファイト」でも少し老けた女優役を好演していたけど、いい感じだ。

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私がクマにキレた理由(わけ)

私がクマにキレた理由
シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ監督・脚本。スカーレット・ヨハンソン。ローラ・リニー。ポール・ジアマッティ。クリス・エバンス。アリシア・キーズ。

無事に大学を卒業したものの、人生の方向性を決められない21歳のアニー。就職活動も上手く行かず、公園で途方に暮れていた彼女は、1人の少年を事故から救う。少年の母親ミセスXに名前を聞かれ「アニー」と答えたところ、彼女は「ナニー(子守り兼教育係)」とカン違い。こうしてひょんなことからX家の“ナニー”となったアニーは、5歳の息子グレイヤーに振り回されながら、アッパー・イーストの超高級アパートに暮らすX家の生活を観察し始める。(goo映画より)

タイトルが可愛いのと、スカーレット・ヨハンソンが出ているので、思わず見てしまいました。なにしろ、ワシはクマ人間と言われるほどのクマ好きです。それで、ずいぶん期待したのですが、残念ながら、いささか能書きが多くて、気楽に楽しめませんでしたね。

クマにキレるというのですから、理由を知りたいのですが、本当はクマにはキレていないのですね。それは良かったけど、インパクトが今ひとつでした。

アニーとナニーを聞き間違えるなんて、まるで冗談か、というようなベタなシチュエーションでのストーリー。なにせ、ナニー(子守)のアニーはアントロポロジイーの専攻ですから、上流階級の観察記録です。そして、当然、心の空隙がトラブルを引き起こすわけです。意外性は全くなし。

赤い傘もどうでしょうね。

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2008/11/30

僕らのミライへ逆回転

僕らのミライへ逆回転
ミシェル・ゴンドリー監督・脚本。ジャック・ブラック。モス・デフ。ダニー・グローヴァー。ミア・ファロー。シガーニー・ウィーヴァー。

いまだにビデオテープしか置いてない街角のレンタルショップ。そこは30年代に活躍した伝説のピアニストの生家だというが、いまや再開発のため取り壊しの運命に。そんな中、店員のマイクは店長から店の留守を預かる。やる気満々のマイクだが、近くのトレーラーハウスに住む友人ジェリーが起こした「事件」のせいで、店の全ビデオの中身が消去されてしまう。困った二人は自分たちで映画をリメイクし、それを客に貸し出すのだが…。

「貸す中身がないなら、自分たちで作ってしまえ!」という発想で次々に名作・旧作映画をリメイクしていくのは、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックとラッパーのモス・デフ。リメイクされるのは『ゴーストバスターズ』『ロボコップ』『ライオンキング』など一貫性はない。だが、手作り感がうけ、評判を呼んでいく。監督は『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリー。本作ではとくに奇をてらった映像は出てこない。むしろ「映像派」と言われることに反発するかのように、メジャー作品を登場人物たちがチープにリメイクしていくのだ。それが人気を呼ぶというところに、メジャーに対するアンチテーゼが含まれているのだろう。(以上、goo映画より)

ミシェル・ゴンドリーは「エターナル・サンシャイン」「ヒューマンネイチュア」などの監督で、昨年公開作品では「恋愛睡眠のすすめ」が記憶に残っている。発明オタクで不器用なイラストレーターの青年が夢の中で恋愛ゲームを始めるという不思議な映画だった。ミュージックビデオでもエンドレスの不思議な画像を撮ったりして、一種の天才だ。

本作にあふれ出る映画愛。これはすごい。リメーク版をジャック・ブラックらが作るという設定だが、実際はゴンドリーの夢の実現行為だろう。映画への愛が本当はどこから生まれるのかを、一つの街の物語として、見事に立ち上がらせている。

面白いのはエイリアン退治のシガニーが海賊版狩りにやってくる場面だ。自分たちはリメーク映画ばかりをつくっているのに、すぐさま権利を言い出すハリウッドへの皮肉であることは明らかだろう。その意味で映画愛と同時に、きわめて批評性の高い作品でもある。アメリカについて私は実際のところは知らないが、いかにも時代遅れのビデオなんかがありそうに思えてしまった。

どこかで本作をジュゼッペ・トルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」と比較して述べている紹介文を読んだ。トトとアルフレードの素朴な物語性はいわば家族(対幻想)の世界であるのに対して、こちらはかなり社会の物語(共同幻想)になっているところが異なる。批評的でありながら、メルヘン的でもある。イタリアとフランスの感性の違いか。

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センター・オブ・ジ・アース

センター・オブ・ジ・アース
エリック・ブレヴィグ監督。ブレンダン・フレイザー。ジョシュ・ハッチャーソン。アニタ・ブリエム。声:沢村一樹。入江甚儀。矢口真里。

今は亡き兄の遺志を継ぎ地質学研究に打ち込む冴えない男トレバーは、3年ぶりに甥っ子ショーンを預かった。ちょうどその日、過去に取り付けたアイスランドの地震調査装置が異常な計測地を示していることが発覚する。トレバーは、ぶっきらぼうで何事にも無関心なショーンに困りながら、ともにアイスランドへ。現地山岳ガイドのハンナを加えて現場のスネフェル山脈にたどり着いた彼らを、激しい落雷が襲う。避難のために入った洞窟を進むことになる3人に、突如地底世界への入口があらわれた。果てしない縦穴を経てたどり着いたのは、誰も見たことのない前人未到の地底世界だった…。

ディズニーシーのアトラクションでお馴染み、冒険SF小説の金字塔ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」の世界を完全映画化。主演のトレバーに「ハムナプトラ」シリーズのブレンダン・フレイザー、甥のショーンに『テラビシアに架ける橋』のジョシュ・ハッチャーソン。監督は、米映画界でビジュアル・エフェクトの第一人者として活躍するエリック・ブレヴィグ。本作は、最新の立体デジタル撮影装置フュージョン・カメラ・システムを使用した初の長編大作。(作品資料より)(goo映画より)

本作にはほとんど感想はありません。単純に面白かった。本来3Dで見て楽しいはずの映画を2Dで見たこと、英語版のはずが日本語吹き替え版だったことが不覚か。それから、友達や恋人同士で見ると騒げただろうが、一人寂しく見たことが残念だったことか。

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ゾンビ・ストリッパーズ-ライバル倒すにやゾンビになるか

ゾンビ・ストリッパーズ
ジェイ・リー監督・脚本。ジェナ・ジェイムソン。ロバート・イングランド。ティド・オーティズ。

そう遠くない未来。第4期目のブッシュ政権は世界各地で戦闘活動を継続していたが、慢性的な兵力不足に悩まされていた。この問題を解決するため、軍とW産業は死人を蘇らせるウィルスを共同開発する。しかし研究所でウィルスが蔓延。感染力の強さからそれは次々と感染者を増やし、掃討作戦でやってきた兵士にも感染してしまう。感染により自らの抹殺を恐れた兵士は場末のストリップクラブへと逃げ込み……。(goo映画より)

そのタイトルの通り、ゾンビ+ストリッパーの夢の(?)競演が実現したホラー・コメディ。研究所から漏れたウィルスに感染しゾンビ化したストリッパーたちが、セクシーかつインパクトの強いポールダンスを繰り広げる。人気ストリッパーのキャットを演じるのは、かつてポルノ界の女王と呼ばれたジェナ・ジェイムスン。そのセクシーさには男女問わず目をひきつけられるはず。またポールダンスだけでなく、見事なタップダンスも披露している。『エルム街の悪夢』でフレディ役を演じたロバート・イングランドも出演。ストリップクラブの主として存在感を放っている。(goo映画より)

ゾンビとストリッパー。すごいな。この発想。エロスとタナトスか。深いというか、薄っぺらいというか。

なにしろ、設定がすごい。ブッシュが大統領やっているものだから、アメリカは世界中で戦争やっている近未来。(いやあ、辞めることになってよかった)。それで、兵士が足りないから、ゾンビ兵士を開発しているというのだからね。そして、ストリッパーたちの思想もすごい。敬虔な純潔主義のクリスチャンもいれば、ニーチェ主義・虚無主義者、トロツキストまでいる。

今回のゾンビはゾンビなのに、まだ完全に頭の中がゾンビになるまでは職業意識がきわめて高いというのが特徴だ。つまり立派なストリッパーのままなのだ。そして、本来は動きが鈍くなるはずなのに、ストリッパーである限りは、激しいセクシーダンスを全身で繰り広げるのである。そして、その職業意識の高さから、自らゾンビになる人が後を絶たないというのも面白い。死の衝動はエロスであり、生の飛躍なんだ。

ライバル同士がゾンビになって繰り広げるダンス合戦。回転するわ、開脚するわ。最後には、普通の映画ではやっていけないはずの秘技というか、下半身の力でスーパーボールが飛ぶし。一番のワルの博士が見事に復讐されて、ジエンドだし。参ったね。

ストリッパーズというタイトルのせいか、ゾンビ映画ファン以外と思われる客も結構入っていましたね。でも、満足度はどうかな。あまりエロとかを期待しないで、何か前衛劇団の芝居小屋に紛れ込んじゃったと思うと、ワラジも入っている山賊の大鍋を味わうようなスリルがありますね。

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2008/11/29

GSワンダーランド-日本がお祭りだった時代の点描

GSワンダーランド
本田隆一監督。栗山千明。水嶋ヒロ。浅利陽介。温水洋一。三倉茉奈。三倉佳奈。ケンドーコバヤシ。大杉漣。高岡蒼甫。武田真治。杉本哲太。岸部一徳。

1968年、GS(グループサウンズ)ブームの頃。新人バンドを捜していたレコード会社、ファインレコーズは、弱小プロダクションを営む浅井をスカウトに走らせた。そんな時、見出されたのがマサオたち「ザ・ダイアモンズ」の3人。だが、レコード会社が用意していたのはオルガンがメインの楽曲だった。そのため、梶井は以前事務所に押し掛けてきた歌手志望のミクを男装させ、新メンバーにしてしまう。こうして即席バンド「ザ・タイツメン」のデビューが決まったが…。(goo映画より)

1968年か。おらは17歳だな。つまりは高校生だった。映画の中で、「サイケに、アングラ、学園紛争、日本中が祭りでしょ」と主人公たちが言うシーンがある。祭り。そうだ、そんな時代だった。でも、田舎なので、しかも少し年少なので、本当の同時代じゃないけど。ニアリーだな。

当時は、グループサウンズが音楽の主役だったわけではない。大人の音楽の世界から見ればそれは異端の、若者のはしかのようなものにすぎなかった。もうひとつ、GSのバカ騒ぎに対して、やれ団結だ、手をつなごう、みたいなフォークソング(プロテストソング)もじわじわと流行っていた。それは、うたごえ運動の変種のようでもあった。

フォークソングかグループサウンズか。
心情的にはGS派だった、と思う。どうも、説教臭い音楽など、快楽的じゃありゃしないからだ。昼休みなどに、先輩と称する大学生がやってきて、「はい、手をつないで」「僕らは進む」なんたらかんたらと、偉そうに歌唱指導するものだから、啓蒙しやがって、とフォーク兄ちゃんに敵意を抱いたものだ。

おらは確か苫小牧の王子スポーツセンターにザ・タイガースがやってきたので、実演を見ている。加橋かつみの高音がきれいな「花の首飾り」やジュリーの歌声が甘い「銀河のロマンス」にしびれたものだ。クラスのあんちゃんたちも早速、GSバンドをつくっていた。その隣ではベンチャーズやってるのもいるし、そのまた隣ではショッキングブルーのヴィーナスのチャカチャカチャンなんてイントロやっているのもいる。そりゃあ、エレキ-GS-ロック・ポップスのほうにあこがれたものさ。

さて、本編だ。
結論はこうだ。「コラージュでは時代と寝ることはできないぜ」。
つまり、熱狂を伝えたかどうか。マジカル・GS・ワンダーランド・ツアーとしてはもっと魅力的な物語ができただろうということか。

でも、栗山千明、いいね。タイツがよく似合っていた。そして、温水四人組。クールファイブぽっくて、良かったな。全般は今ひとつだけ、少なくともエピソード的ないくつかは楽しめた。そこは十分評価できる。

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2008/11/25

市民ケーン

オーソン・ウェルズ監督。オーソン・ウェルズ&ハーマン・J・マンキーウィッツ脚本。グレッグ・トーランド撮影。バーナード・ハーマン音楽。
オーソン・ウェルズ。ジョゼフ・コットン。ルース・ウォリック。ドロシー・カミンゴア。アグネス・ムーアヘッド。

原題「Citizen Kane」。1941年米国。荒廃した壮大な邸宅の内で、片手に雪景色の一軒家のあるガラス玉を握り、“バラのつぼみ"という最後の言葉を残し新聞王ケーン(オーソン・ウェルズ)は死んだ。死後のケーンに与えられた賛否の声は数多かったが、ニュース記者トムスンは“バラのつぼみ"の中にケーンの真の人間性を解く鍵があると信じ彼の生涯に関係のある人々に会うことになった。(goo映画より)

「市民ケーン」。名前だけは聞いていた。だが、未見であった。「市民ケーン」であるから、腐敗した政治経済権力と戦う正義のペン、みたいなものをイメージしていた。冗談じゃなく、本当です。知らないというのは恥ずかしいことです。

雑誌の付録に付いてきていたものの、忙しさにかまけて放置してあったのだが、そのDVDをようやく見ることになった。感想。すごいな。いわゆる「破天荒 巨人伝説」を探るドキュメンタリーであった。

1人の青年がいかにして新聞王になったか。何をしたか。人としてどう愛したか。何を失ったか。重層的、多面的、時間遡及的に物語は展開します。そしてカメラ・アングルがすごい。ずっと舐めたり俯瞰したり鏡像的だったり。さらに明るかったり暗かったり影があったり。そして廃墟と黄金郷が同時背反的だったり。役者は抜群の演技力でセリフを言う。特に、主演のオーソン・ウェルズはスキャンダルで敗れる知事戦での迫力満点の演説なんかは、すごいです。新聞社が乗っ取られるとどうなるかも寓意的です。

それでいて、孤独が抜けません。「バラのつぼみ」が謎のキーワードです。わたしゃ、「薔薇の名前」なら昔、見たことがあるような気がしますが、こちらは、いささか性的な比喩のように思えますが、最後に、ああ、ケーン少年の原風景なのね、と燃えさかる火の中で明らかになります。フィルム・ノワール的です。あるいは、ちょっとロッキー・ホラー・ショー的な異界感もあります。とにかく、いろんなインスピレーションが触発されてきます。そんな凄い作品でした。

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2008/11/16

ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日

ジョージアの日記 ゆーうつで

グリンダ・チャーダ監督。ジョージア・グルーム。アラン・デイビス。カレン・テイラー。アーロン・ジョンソン。

イギリス南部の小さな町イーストボーンに暮らすジョージアの最大の関心事は理想のボーイフレンドを手に入れて、間近に迫った15歳の誕生日にクールなクラブでパーティを開くこと。そんな彼女の目の前にうってつけのイケメン転校生ロビーが現れる。ところが、男子に抜群の人気を誇る巨乳のリンジーが強力なライバルとして立ちはだかり、仲良しのジャス、エレン、ロージーと練り上げた恋の大作戦はことごとく裏目に出る。(goo映画より)

予告編を見て、なんとも楽しそうな青春コメディぶりに惹かれました。で、予想以上によかった。主人公のジョージアもブスカワじゃなく、結構ホンカワで、いいじゃん。

子供たちはみな14、15歳だというのに、しっかりキスはするわ、街なかでラブラブだ。うらやましいというか、世界が違うぞ。ワシなんか、映画のお姉さんと居酒屋デートしたけど、手も握らせてもらえなかったぞ。しっかり、お支払いは任せられたけど。女将には顔を出すように説教されるし。

まあ、いいや。

こういうラブコメは元気をくれるね。しかも、いろいろあるけど、ハッピーエンド。それが決まりだ。若いってことはやっぱり、いいじゃん。

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2008/11/09

トウキョウソナタ

トウキョウソナタ
黒沢清監督。香川照之。小泉今日子。役所広司。小柳友。井川遥。津田寛治。井之脇海。

健康機器メーカー、総務課長として働く佐々木竜平は、人事部に呼び出され、リストラを宣告される。突然の出来事に、呆然としたまま帰宅するが妻、恵にリストラされたことを言い出せなかった。夕食時、小学校6年生で次男の健二はピアノを習いたいと言い出すが、竜平は反対。翌日から、会社に行くフリをして、毎日ハローワークへ通っていた。ある日、大学生の長男・貴が、世界平和のためにアメリカの軍隊に入りたいと言い出す…。(goo映画より)

黒沢清監督の作品ということで、見に行った。たぶん、「叫」以来である。黒沢作品は基本的に「怪談」である。いつものように、幽霊が出てくるのかと思ったら、今回はぜんぜんノーマルである。現代の家庭崩壊をコメディタッチで描いて、最後に救ってみせる。なんだか、いい作品である。壊れるものは一回壊す以外にないのだ。

周縁が中心を活性化する。で、役所広司である。黒沢組の主役は今回は、とんまな盗賊として登場し、たちまち、キョンキョンと逃避行である。それは本来死に神であるべきなのだが、本作では死ぬ神として、フェイドアウトしてしまうのだ。もちろん、この道化廻しによって、キョンキョンは死の淵から再生してくるのだが。

リストラされた怒りを内向させる夫を演ずる香川照之、そして、アメリカ軍人になるという兄、ピアノに自分を見つける弟、みんなそれぞれにうまい。さて、小泉今日子だ。これをいいという人はいるかもしれないが、どうも気に入らない。変な言い方だが、人妻らしくないのだ。ちょっと、妻にはしたくないタイプになっている。その点では離婚したてのピアノ教師役の井川遙のほうが切実感がある。そんな気がした。

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2008/11/03

ブーリン家の姉妹

ブーリン家の姉妹
ジャスティン・チャドウィック監督。ナタリー・ポートマン。スカーレット・ヨハンソン。エリック・バナ。ジム・スタージェス。エディ・レッドメイン。アナ・トレント。

16世紀のイングランド。新興貴族のトーマス・ブーリン卿は一族繁栄のために才気あふれる美しい娘アンを国王ヘンリー8世の愛人に差し出すことを目論む。ところが、王の心を捉えたのはアンの妹で凡庸だが気立ての良いメアリーだった。一家は宮中に移り住み、メアリーは王の子を身籠る。一方、妹に栄誉を奪われたアンは一時フランスへ追放されるが、やがて呼び戻され、大胆にも王妃の座を狙って策略を巡らすのだった。(goo映画より)

フィリッパ・グレゴリー原作。

エリザベス女王の映画をケイト・ブランシェットで、ずいぶん見せてもらった気がするが、本作はその生みの親の物語だ。賢い姉とピュアな妹。対照的な2人の娘が新しいイギリス王室の土台を作ったというのが面白い。

ナタリー・ポートマン演ずる姉のアン。一見エゴイスティックだが、カトリックのくびきを脱し、イングランド国王の独立性を高めるのに貢献したように思える。歴史と人間というテーマは面白い。

妹メアリー役のスカーレット・ヨハンソン。演技しているのだろうが、無意識と思わせるようなエロさが滲み出ているのが面白い。

傑作とか言うのとは違うが、なんかよくできた映画であった。

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レッドクリフ PartI

レッドクリフ PartI
ジョン・ウー監督・製作・製作総指揮・脚本・
トニー・レオン。金城武。チャン・フォンイー。チャン・チェン。ヴィッキー・チャオ。フー・ジュン。中村獅童。リン・チーリン。

西暦208年。曹操軍に追われる劉備軍は孫権軍と同盟を結ぶため、軍師の孔明を孫権のもとに遣わした。しかし孫権軍では曹操に驚異を感じているものの非戦を唱える臣下が多く、同盟は容易に成立しそうもない。そんな中、孔明は赤壁で孫権軍の司令官・周瑜と出会い、そのカリスマ性に魅了される。一方の周瑜も孔明の人柄と戦術眼に驚嘆し、その存在を意識するようになる。そして二人は信頼を深め、共に戦う事を決意するのだった。(goo映画より)

なんだか久しぶりに映画を見た。ジョン・ウーである。ハリウッドで活躍中だが、中国の大看板の活劇のためにメガホンをとった。スケールの大きさは文句なし。エピソードもよく人口に膾炙しているが、それを一つひとつ見事に見せてくれる。おまけに合戦シーンだ。黒沢映画を学んだそうで、物量だけではない質の高さも満載だ。

で、何か不足があるの?と聞かれたら、「なんでパート1なんだよ!」というところだろう。レッドクリフだ。当然、三国志の赤壁の戦いの水上戦、そう、今じゃ、パイレーツ・オブ・カリビアンの世界が人気だが、スケール的にはこちらのほうがはるかにでかい。でもね。今回は地上戦までで、おしまい。80万とか2000隻とかいう、宣伝文句の大半は、トゥービーコンティニュードなのだ。続編早く見せてよだ。

こういう映画は困るな、ちょっと文句のつけようがない。

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2008/10/19

アイアンマン

アイアンマン
ジョン・ファブロー監督。ロバート・ダウニーJr。ジェフ・ブリッジス。グウィネス・パルトロウ。

軍事企業CEOにして天才発明家のトニー・スタークは、武器のデモで訪れたアフガンで武装集団に拉致され、兵器開発を強要される。彼は医師インセンと共に兵器開発をするフリをしながら脱出用のパワードスーツを製作し、命からがらの脱出を果たす。帰国後トニーは自社の軍事産業からの撤退を発表。自らは自宅の作業部屋に篭って、新型パワードスーツの開発に没頭する。彼の周囲は恐ろしい陰謀がうごめいているとも知らずに……。(goo映画より)

アメコミは最近はひねりが加わっている。単純な善悪の構図ではいかない。それでも、「死の商人」が命の大切さに気づいて、自分の兵器を無化する最終兵器=アイアンマンを作り出すというのは、なかなかにシニカルである。

テーマはさることながら、こういう映画がすごいな、と思うのはメカニックだ。つまり、アイアンマン担当みたいな人がいて、ものすごく精緻なアイアンマンの設計図を書いているのだろうな、ということだ。以前、日本のアニメでメカニックを担当している宮武さんとかいう人のデッサン帳を見せてもらったことがあるが、まるでロボットや兵器がそのとおり作れば動き出すかのような錯覚に陥ったのを覚えている。

そういうリアリズムの部分がこの作品もすごい。パワースーツを着て暴れる映画は結構あるが(たとえば、「スパイダーマン2」のマッドサイエンティストなど)、本作はとてもいい線を行っているように思った。そうして土台の上に、トラブルメーカーの主人公がクールだけれどシャイでホットな演技をする。ロバート・ダウニー・Jr.がなかなか味があるのだ。

最後に意味不明の予告編が出てくる。本作ではアイアンマンを助けた「シールド」なる国家保安組織が今度は新たな加担をしようとする。商売上手で一件落着とはいかないようだ。

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2008/10/18

ホット・ファズ

ホットファズ
「ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!」。

エドガー・ライト監督。サイモン・ペック。ニック・フロスト。ジム・ブロードベント。テイモシー・ダルトン。パディ・コンシダイン。

ロンドン警視庁のスーパー警官エンジェル巡査は、その高すぎる検挙率から組織内で妬まれ、田舎の村サンドフォートへ左遷される。署長の息子のダニーと相棒を組まされるエンジェルだが、のどかな田舎の生活になじめない。しかし平穏なはずの村に、次々と残虐な殺人事件が起きる。捜査に張り切るエンジェルだが、村人も警察の仲間も、みな事件を「事故」として片付けようとする。この村にはある秘密が隠されていた!(goo映画より)


久しぶりに映画を見たが、面白かった。

警官映画と言えば、アメリカがお得意だが、こちらは「バッドボーイズ」や「リーサル・ウェポン」をリスペクトしつつ、古い慣習にまみれたイギリス風にアレンジしてみせた。ところが、単なるコピーのレベルを超えて面白いのだ。しかも、ユーモアも、破壊力もたっぷりだ。

「美しく平和で安全な村」がいかにおぞましいか。見事な社会批評にもなっている。平凡な顔をした隣人監視同盟とは、アメリカ南部の排他組織以上に過激で狂信的だ。逸脱する者を容赦しない非寛容な美徳は、まさしく「ファシスト」と投げ返してやる必要がある。

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2008/09/21

アキレスと亀

アキレスと亀
北野武監督。ビートたけし。樋口可南子。柳憂怜。麻生久美子。中尾彬。大杉漣。

裕福な家庭に生まれ育った真知寿は絵を描くのが大好きで、将来画家になる夢を持っていた。しかし両親が突然自殺し、一人ぼっちに。青年に成長した真知寿は、バイトで貯めたお金で美術学校に通っていた。そんな彼の前に美しい理解者が現れる…。同じ工場で働く幸子と結婚した真知寿は、彼女の手を借りながらますます芸術にのめり込んでいく。中年になった真知寿は来る日も来る日も創作に励んでいたが、絵はまったく売れなかった。(goo映画より)

海外での映画祭の話題がにぎやかだが、「アキレスと亀」はいかにも北野映画だった。中年の夫婦が見終わって、「つまらんねえ」というような話をしていたのが印象的だった。そりゃ、北野映画だよ。面白いわけないじゃない。一生懸命コントで笑わせるが、結構、寒い。で、終わってから、なんだかしみじみしちゃうね。というのはいつものとおり。

そして、これもまたいつものことであるが、自殺願望があふれ出ている。死にたいほど。狂いたいほど。芸術家だもの。そりゃ、孤独だぜ。でも、今回は愛妻・樋口可南子が最後まで二人三脚となる。まあ、救われるのだが。でも、親は2人とも自殺するし、本人も生きているのが不思議なくらいだ。援助交際している娘に絵の具代をせびり、事件に巻き込まれて死んだ娘の顔をぐちゃぐちゃにするわ。暴走モードは止まらない。

北野映画のお得意のたけし画が横溢していて、これはいい。そして、芸術青年の愚行を追体験しながら、少しずつ落ちていくところもいい。映画の暗さと反比例して、色調が極めて明るいのがおかしい。そして、映画のメッセージ装置には日本があふれている。そこが、海外で評価されるのだと、いつも思う。

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2008/09/20

噂のアゲメンに恋をした!

噂のアゲメンに恋をした!

マーク・ヘルフリッチ監督。ジェシカ・アルバ。デイン・クック。ダン・フォグラー。ロニー・ロス。シャーラン・シモンズ。

子どもの頃に“一生幸せになれない”呪いをかけられた歯科医師のチャーリー。しかし彼は女性たちから“幸運のお守り”と呼ばれていた。なぜならチャーリーの元カノは彼と別れた後、ことごとく運命の人と巡り逢っていたからだ。“チャーリーと一夜を共にすると幸せになれる”と噂が広がりモテモテ状態になるチャーリーだが、女性たちとの偽りの関係に心を痛めていく。そんな中、彼は結婚式で出会ったキャムに本気の恋に落ちて…。(goo映画より)

まあ、ラブストーリーです。ハッピーな気持ちになれて、できればちょっとくらい観客の欲情ホルモンがしたたるようになるくらいがちょうどいいわけで、まさに本作はぴったりです。

子供のころの呪いで、運命の男へのスルーパス役だけという歯科医。だから、幸せを求める女が押す押すなで、やってくる。だけども、自分は結婚できないのだそうな。

こらあああああ。贅沢言っちゃいかんぞぉぉぉおお。

運命の女性に出会えなくてもいいから、爪のあかでものませろよ、と言うのが、非モテ系男子の典型であるムンク状態の私どもの叫びである。

かわいいアルバちゃんと寝ちゃうと結婚できるのは次の男になるって? そういうためらいは捨てなきゃ、立派な大人にはなれないぞ。などと突っ込みをいれつつ、津波のように押し寄せる美女とそうでない人とエッチし続けるチャーリーに、垂涎モードです。あわわ。

それにしても、ジェシカ・アルバ。「ファンタスティック・フォー」「イントゥ・ザ・ブルー」などで魅力全開でしたが、ちょっとおっちょこちょいでキュートなペンギン娘役がとっても似合っていました。でも、今じゃ、結婚して一児の母か。人生は無常だな、って、どうでもいいことですが。ペンギンパンツはもう履かないよね、きっと。

それにしても、映画館の切符売り場で思わず、「噂のアゲ○ン」と言いかけて、「ジェシカ・アルバ、1枚」と言ってしまったぞ。タイトル、変えてよね。


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2008/09/15

パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本
中島哲也監督・脚本。後藤ひろひと原作。役所広司。アヤカ・ウィルソン。妻夫木聡。土屋アンナ。阿部サダヲ。加瀬亮。小池栄子。劇団ひとり。山内圭哉。

一代で会社を作り、我侭放題に生きてきた大貫は、持病で入院していた。病院には、患者も医者も看護婦もクセのある者ばかりが集まっていた。その中で唯一、ピュアな心を持っていたのが、交通事故で入院した少女パコ。我侭な大貫だったが、パコの優しい心に打たれ、毎日、絵本を読み聞かせるように。しかし、事故の後遺症でパコの記憶が一日しか持たないと知った大貫は、パコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかける。

『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』など、カラフルで毒のある作品を放ってきた中島哲也監督作品。原作は、後藤ひろひとの舞台「MID SUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」。我侭で孤独な老人と清らかな心を持った少女の交流をシニカルに描いたブラックなファンタジー映画。“病的”な人々が繰り広げるカオスなクライマックスが見どころ。意外なオチもナイス。主演は、役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、阿部サダヲほか。日本映画界を代表する豪華キャストだが、ほぼ全員がこれまでと全く違った役に挑んでいるのに拍手を送りたい。特に、これまでのキャリアを全て捨てるかのような汚れ役を演じた妻夫木聡は絶賛もの。(goo映画より)

泣けた。ホントに泣いたぜ。

中島監督は「嫌われ松子」や「下妻」も凄かったが、本作は泣けたうえに、奇想天外のおもしろさだった。実写(と言っても、それ自体が十分アニメチックなのだが)に加えて、童話(絵本)の世界になると、まさしくアニメになり、それが人間の実演のようなキャラの立ちぶりがある。

基本ストーリーは我が儘爺さんと特別な病気を持った少女との心をつなぐ物語。そこに、さまざまな異形の者が加わり、メーンテーマを変奏していくのである。そして、意外なところに謎を解く鍵が埋め込まれている。そして、ラストのエピソードは「そうだったか」と納得しつつ、涙が止まらない。

人間の性は悪であるが、しかし、善に向かって生きているのだと思わされる。

出演者はみな特殊メークを楽しんでいるのだろうが、熱演だ。もちろん、度はずれな演技ばかりであるが、それがちょうどいいのだ。

それにしても、色遣いといい、中島監督は鬼才だな。

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2008/09/13

ウォンテッド

ウォンテッド
ティムール・ベクマンベトフ監督。アンジェリーナ・ジョリー。モーガン・フリーマン。ジェームズ・マカヴォイ。


ウェズリーはルーティン・ワークにウンザリしている普通の若者。しかし彼の運命は、セクシーで謎めいた女フォックスとの出会いによって激変する。ギリシャ神話の時代から、神に代わって“運命の意志”を実践してきた秘密の暗殺組織“フラタニティ”。ウェズリーはその王位を継承する選択を迫られるのだが…。(goo映画より)


「マトリックス」並みの世界観を持った作品を期待したが、だいぶん違った。石工が機織り工となっているが、一種のフリーメーソンものだ。リアルなのはむしろ、痛い「ファイト・クラブ」か。

ただ、映像は凄い。人間がしなるばかりか、弾道もしなる。さらには、カーチェイスの激しさ、アンジェリーナ・ジョリーはとんでもないレベルに達している。


ラストに向かってのどんでん返しには、ちょっとビックリ。油断しました。そして、運命を受け入れる一発の銃弾にも。いずれにしても、アンジェリーナ・ジョリーはなかなかカッコイい。


ダメ男が超能力に覚醒するのはいいが、過食の女性上司を罵倒し、マッチョな男として快感を覚えるのはあまり好きじゃない。ついでながら、運命を生きる暗殺者が乗り合わせた多くの一般人を巻き込むのはいささか問題ありだ。


突っ込みどころはいっぱいあるが、見どころもいっぱいだ。

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2008/09/07

ストリート・レーサー

ストリート・レーサー
2008年、ロシア。オレグ・フェセンコ監督・脚本。アレクセイ・チャドフ。マリーナ・アレクサンドロワ。スタニスラフ・ボンダレンコ。エルヴィラ・ボルゴヴァ。アレクセイ・グシコフ。ニコライ・シンダイキン。

車の修理に来たカーチャに一目惚れした、元軍人の自動車修理工・ステバン。ある夜、サンクトペテルブルグの街中で行われているストリートレースに顔を出した彼は、レースに飛び入り参加。その腕をカーチャの元恋人でレースの元締め・ドッカーに認められ、彼らの仲間になる。だがステバンはレースでドッカーの車を壊してしまい、彼に借りを作ることに。ドッカーはそれを盾に取り、ステバンに“裏の仕事”を手伝うよう迫るが……。(goo映画より)

偽物は本物を超えることはないが、本当の偽物は本物を超える。偽物は場合によっては辺境とか外部と呼んでもいいだろう。そんなことを時々考える。まあ、どうでもいいことであるが。

トニー・ジャーの「マッハ!!!!!」を見たときのことだ。このスタントアクションもどきはブルース・リーやジャッキー・チェンが作り上げたカンフー・アクションの歴史のページをめくったと思った。トニー・ジャーのアクションはジャッキーをリスペクトしたものであるけれど、コミカル系に走った格闘家の可能性を見事に引き出したからである。

今回のロシアン・カー・アクションはそこまで深くはないが、スピードカー・アクションの初発の荒々しさを思い起こさせてくれた。うなるエンジン音、ぶつかり合う車の軋み、公道を疾走する危うさは興奮を誘うのだ。ストーリーはありがちだが、それでも面白い。

なにしろ冒頭は戦車レースである。体制は変わってもロシア人は軍国主義者である。黒幕は案の定、腐敗した権力者である。そして、若い娘さんは美人である。そんなありふれた物語が「本物」のカーレースでいきいきとなる。快感!

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2008/09/06

俺たちダンクシューター

俺たちダンクシューター
ケント・オルターマン監督。ウィル・フェレル。ウディ・ハレルソン。アンドレ・ベンジャミン。モーラ・ティアニー。ウィル・アーネット。

1970年代、アメリカではNBAとABAの2大プロ・バスケットボール・リーグがあった。過去にヒット曲を出したシンガーのジャッキー・ムーンは、ABAのチーム「トロピックス」のオーナーであり、なおかつ監督兼選手だ。試合前に歌を披露してショーアップするも、チームの試合成績と観客動員は悲惨な状況。ある日、ジャッキーはリーグの会合で、NBAに吸収合併される上位4チームを除き、ABAは解散と告げられ…。(goo映画より)

ウィル・フェレルの主演作品は「俺たちフィギュアスケーター」に続いて2作目だ。なにしろ、男子ペアのフィギュアという奇想天外な荒技で感動を誘っただけに期待度大である。

で、本作、もちろんアホなコメディは相変わらずだが、熱血バスケットボール映画でもある。なにしろ、いったんは失った目標だが、チームとして全力投球するラストゲームはまたしても感動の嵐である。われわれのような負け犬の心にぐぐっと来るのである。いいぞ。

お色気ガールズとかぶりものショーでの客寄せや、危険?なロシアンルーレット、マス大山やウィリーもびっくりのワイルドな熊との金網デスマッチ、空飛ぶダンクシュートの必殺技など硬軟入り乱れてのお笑いネタも最高に面白い。そして、マザコンぶりやら恋愛模様もさりげなく盛り込まれていて、ポイントをはずさない。

体調最悪の時には、こんな映画は一番だ。しかも、ムダに長くないのもいい。

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2008/08/31

ダークな意図

「ダークナイト」。クリストファー・ノーラン監督・脚本。クリスチャン・ベール。ヒース・レジャー。アーロン・エッカート。マギー・ギレンホール。ゲイリー・オールドマン。マイケル・ケイン。モーガン・フリーマン。

ゴッサム・シティーに現れた最悪の犯罪者ジョーカー彼は、マフィアたちに成り代わってバットマンを追い込む“ゲーム”を開始。それは「バットマンが正体を明かさなければ、毎日市民を殺す」という卑劣なルールで、戦いの中ゴードン警部補も凶弾に倒れてしまう。ブルースは遂にバットマンの正体を明かすことを決意。記者会見に登場しようとするが、それを制したのは新任検事で“光の騎士”と慕われるデントの意外な行動だった……。(goo映画より)

傑作だな。結構、上映時間の長い映画なので、敬遠していたが、ようやく見た。

バットマン・シリーズはティム・バートンのオタッキーな美意識の作風も悪くなかったが、本作のようなシリアスな作品で、正義とはなにか悪とはなにかを、シンボリックに問うやりかたも悪くない。

描き方によっては、オチャラケなヒールになるはずののジョーカーが本作では試練を与える神のようである。しかも、受苦的な存在である。かろうじて、ジョーカーは封じ込められるが、彼の放った毒はバットマンたちに平穏を与えないだろう。

ジョーカーを演じたヒース・レジャーの死がつくづく惜しまれる。

「ダークナイト」は「暗黒の騎士」と訳せるようだが、私のパソコン的には「ダークな意図」と変換された。まさしく、ジョーカーのニヒルでアナーキーな暗い怨念は痛烈な印象を与えて残る。

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20世紀少年

20世紀少年
堤幸彦監督。浦沢直樹原作。唐沢寿明。豊川悦司。常盤貴子。香川照之。石塚英彦。宇梶剛士。宮迫博之。生瀬勝久。小日向文世。佐々木内蔵助。石橋蓮司。中村嘉葎雄。黒木瞳。


ロックスターを目指していたが、今は実家のコンビニを継ぎ、失踪した姉の子供を育てているケンヂ。同窓会で会った旧友から、「ともだち」と呼ばれる教祖が率いるカルト教団が、ケンヂが子供時代に作った「よげんの書」とそっくりの怪しい事件を起こしていることを聞く。その後、仲間の1人だったドンキーが殺され、事件の謎を解こうとケンヂは立ち上がる。しかし、「ともだち」によって、テロリストの汚名を着せられてしまい…。(goo映画より)

僕は映画を尊敬している。多くの主体の参加によってつくられる擬似現実は魅力的だ。

その上で言わせてもらうと、本作、期待はずれだった。訳あって、劇場映画をほとんど見ない家人と一緒に見たのだが、「隠し砦の三悪人」と比較して、問題外という評価だった。もちろん、感心していたところがないわけではない。「ずいぶんお金をかけているね」「俳優さんもすごい数だね」という。

僕が気に入らなかったのは、テレビドラマならいざしらず、物語のポイントが一作では判然としないことだ。「ともだち」が最大の敵ならば、もう少し描き方があるではないか。なんで、ともだちなのか。さっぱりわからん。つまりは虚仮威しすぎる。

ケンヂ君にしても、なんで戦うのか。自爆テロのような最期なのか。納得できない。9人の戦士がそろっていない気もするし。なぞかけをすべて解く必要などないが、第2作を見ない映画ファンにも見て良かったと思わせていただきたい。トヨエツはまだしも、主役のカラサワは自分の演技に陶酔しているようで、困ってしまう。

鉄人28号や鉄腕アトムへの敬意や毒ガスをまく新興宗教など、さまざまな20世紀のアイテムの亜種がちりばめられているが、気分は20世紀にはもどれなかった。本格も科学も冒険も空虚だ。もっと、シンプルなサムシングが必要なのではないか。

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2008/08/24

ハンコック

ハンコック
ピーター・バーグ監督。ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン。

ハンコックは悪を退治し、人助けもする。でもToo Much Power(やりすぎパワー)のせいで物は破壊され、街はパニック!市民からは大ブーイング!! ニュースでは“トラブルを生むヒーロー”として非難される始末。でも本人は「そんなの知るか!」と全く反省する気なし。でも本当は孤独で寂しい。なぜ自分だけ違うのか?そんな時、ある人物から提案が…。「皆から愛される、真のヒーローにならないか?」(goo映画−作品資料−より)

スーパーヒーローは正義の味方だ。しかし、素行が悪かったら、困る。そんなロクデナシのヒーローが、広告屋にサポートされ、とりわけ美人妻にビビビッと来て、悔い改めようとする。でも、ビビビッと来たのはわけがあった。

本作はそんな能書きよりも、徹底的な破壊のエネルギーが楽しい。猛スピードで空を飛び、ビルを壊し、道をズタズタにし、車をぶっ飛ばす。ヒーローとヒロインの対決はまさに夫婦げんかで、もっともっと激しく、という興味で見てしまった。

ウィル・スミスは楽しそうだ。イカレたヒーローを地で演じているかのようだ。シャーリーズ・セロンは大柄な美人女優ぶりを遺憾なく発揮。優しい妻から変わると、怖いですが、いいですね。いずれにしても、アメコミ的映画です。

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崖の上のポニョ

崖の上のポニョ
宮崎駿原作・脚本・監督。声・山口智子、長嶋一茂、天海祐希。

海を臨む崖の一軒家に住む5歳の少年・宗介は、瓶に入り込んで動けなくなっていたさかなの子・ポニョを助けた。一緒に過ごすうちにお互いのことを好きになる2人だが、ポニョの父親・フジモトによってポニョは海へ連れ戻されてしまう。それでも宗介を想い、人間になりたいと願うポニョは、妹たちの力を借りてフジモトの蓄えた魔法の力を盗み出し、再び宗介の元を目指すが……。(goo映画より)

「ポーニョ、ポニョ、ポニョ、人面魚(ウソ)」というフレーズが頭に残って仕方がない。テーマソングで、つかみはOKのジブリの新作「崖の上のポニョ」。すごいです。この絵とストーリー。パワフルでした。

海は生命(誕生と死)の故郷です。そこから過剰な生命力のポニョが吹き出してきます。その結果、嵐は来るわ、海は太古に戻り、海水面はぐんと高くなります。荒ぶる神(ポニョの無意識)を鎮めるためには、ポニョの魔法を解体する以外にありません。なかなか考えさせられるすとーりーでした。

それにしても、人面魚のポニョはすごい。どんな困難にもめげず、好きだから、と前向きである。まあ、相思相愛だからいいけれど、こんな激しいメタモルフォーゼのポニョっ子に迫られると、困っちゃうな、と思う脳天気な私である。

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落語娘

落語娘
中原俊監督。ミムラ。津川雅彦。益岡徹。伊藤かずえ。永田俊也原作。

「絶対、真打になる!」と、12歳の時に落語に目覚めて以来、大学の落研で学生コンクールを総なめにしてプロの門をたたいた香須美。拾ってくれたのは奇行三昧で知られる業界の札付き・三々亭平佐だった。一度も稽古をつけてくれないばかりか、不祥事を起こしてしまって、寄席にも出入り禁止状態。そんな破天荒な師匠にTV局から、これまで演じた者が必ず命を落とすという呪われた演目「緋扇長屋」に挑む話が舞い込む…。(goo映画より)

「寝ずの番」というテレビ放送はまず無理という面白い作品をつくっている津川雅彦が本作では、まるで地のままのような破天荒なエロ落語家を演じていて魅せる。怪談噺を達者に演じて見せる。

主演のミムラの熱演は光るが、落語の「寿限無」「景清」を聞くと、今ひとつ無理筋か。名前は知らないが、少女時代を演じた子役のほうがうまかったのはご愛敬か。夕張ロケが懐かしい「着信アリ2」でも主役だった。

中原俊監督の作品と言えば、「コキーユ」という作品を思い出す。小林薫に風吹ジュンを主演に、熱い青春を送った中年男女の恋の第2ラウンドを描いていて、すこぶる素晴らしかった。

本作はセクハラ、パワハラ。トラハラ(これは私の思いつきで、トラディショナル・ハラスメント、すなわち伝統をかさにきた排他主義のことです)など女性落語家を取り巻く環境の過酷さも浮き彫りにしていて、そこもよかった。

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2008/08/20

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

ハムナプトラ3
ロブ・コーエン監督。ブレンダン・フレイザー。ジェット・リー。マリア・ベロ。ルーク・フォード。イザベラ・リョン。ジョン・ハナ。ミシェル・ヨー。

幸福だが退屈な日々を過ごしていたリックとエヴリンの夫妻は、秘宝「シャングリラの眼」を届ける任務を受け、一路上海へ。ジョナサンや息子アレックスと再会し、アレックスが発掘した皇帝のミイラを見学しに向かうが、皇帝の復活を目論むヤン将軍に襲われてしまう。「シャングリラの眼」を手にしたヤン将軍は、秘宝の力で皇帝のミイラを目覚めさせることに成功。リックたちは謎の女性リンと共に逃亡した皇帝とヤンを追うが……。(goo映画より)

第1弾、第2弾とそれなりにエキゾチックな面白さを繰り広げていたハムナプトラ。今度は中国大陸に展開した。敵役になるのは、ジェット・リーだ。カンフー・アクションを期待するが、どうなんだろうか。なんだか、すぐ化けてしまうし、大部分はミイラ顔だし、ジェット・リーの良さがほとんどないのが残念である。

物語はご都合主義の奇想天外。これは、そういう映画だから文句は付けても仕方がない。だが、すごいなあ、という爽やかな驚きは少ないし、最初から無理なことではあったが、心に残るものはほとんどない。いや、ラストシーンを見て、たぶん、第4話もできるのだろうな、ということはわかった。

主役のブレンダンとコンビを組んでいたレイチェル・ワイズ様は本作には出ていない。無内容なアクションには飽きたのかどうか。でも、にぎやかトリオの1人が代わると、ちょっと寂しいことではある。

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2008/08/12

寂しい時は抱きしめて

寂しい時は抱きしめて
クレメント・ウ゛ァーゴ監督。タマラ・フェイス・バーガー原作・脚本。ローレン・リー・スミス。エリック・バルフォー。ドン・フランクス。ポリー・シャノン。

2005年カナダ。

ライラは、セクシーな服装でクラブに出掛けては、見知らぬ男とその場限りのセックスを楽しんでいた。そんなある日、ライラはクラブでデビッドと出会う。二人は一目で惹かれあうが、ライラは違う男と体を重ねる。車の中で女とイチャついているデビットが、自分を盗み見ている事を知りながら…。翌日、二人は偶然街で再会する。ライラはデビッドを誘うが、彼は立ち去ってしまう。今までの手に乗ってこない彼に、ライラは戸惑い…。(goo映画より)

なかなか粋なタイトルなので、思わず見てしまったが、始まってすぐ、こりゃ2回目じゃん、と気づくお粗末。参りました、色ぼけの老化現象。

本作、もちろん、アダルト系のラブストーリーなのですが、そんじょそこらのエロス映画とは違うのは、おそらくフェミニンな性愛映画ということでしょうか。女性の視点(主人公のライラの独白)でセックスや男どもがとらえられているです。ペニス(男根主義)に対するある種の批判と羨望もあります。親へのコンプレックスが強い男はかなわんな、って感じです。

とにかく脚本がきわめてユニークかな。家庭の崩壊、高齢化社会、女性の欲望、男性の甘えなどをテーマを上手に反復させているのです。最後に、ユダヤ人の結婚式が出てくるのはご愛敬ですが。ともかく、それなりに十分楽しめる作品だと、2回目ながら思ったことです。

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バグズ・ワールド

バグズ・ワールド
フィリップ・カルデロン監督。

フランスのドキュメンタリーの鬼才がとらえた驚くべき昆虫大戦争。

西アフリカの中央サバンナの奥地。巨大なオオキノコシロアリの巣。女王アリを中心とした社会に、放浪するサスライアリの軍団が襲いかかる姿をメーンに描く。

すごい。アリさんたちは監督の期待に応え見事なアクションを見せる。いや、冗談だけど。よく撮影したものです。

それにしても、生殖マシンと化した女王アリさん。生命の底知れない力に圧倒されてしまいます。

虫の世界も大変です。正直、人間でよかった。と、思いました。

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2008/08/03

靖国 YASUKUNI

靖国 YASUKUNI
李纓監督。

政治家による介入で上映が一時困難になった問題のドキュメンタリー作品である。国の補助金(芸術文化振興基金)が入っていることが、遺憾という声もあったが、日本国内で映画をつくる上で使える金はすべて使うことに文句を言われる筋合いはあるまい。

勘違い人間の多くは「反日映画」と言っているようだ。これに対して、鈴木邦男は「愛日映画」とチラシで述べている。だが、どうだろう。私が見る限り、本作は「好日映画」という印象である。
 
なぜか。このドキュメンタリーがマイケル・ムーアがつくったなら、もっとエゲツなく頑迷右翼たちの心魂を寒からしめただろう。突撃リポートの2、3発はぶちかましていたはずだ。

ところが、本作は極めて冷静だ。靖国のご神体である日本刀(初耳でした)の刀鍛冶へのインタビューは「現代の名工」に接するような敬意に満ちている。そして、浄土真宗の遺族会関係者、台湾の先住民の女性のアンガージュに対しても、決してエキサイティングになっていない。さらには、日本軍と日本刀の犯した残虐行為に対してもスタティックな描き方になっている。記録映画的な部分は、昔の日本が懐かしく思えるほどだ。なんという優しさだろう。

こうした冷静さが本作の説得力を確かなものにしている。主に中国系のクリエイターの手でこうした作品が作られるのを考えると、私どもの<ナショナル>な感性の陥穽を思わずにはいられない。自己批判というものは他者の視点を抜きにはできないのだろうか。

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2008/07/28

スターシップ・トゥルーパーズ3

スターシップ・トゥルーパーズ3
エド・ニューマイヤー監督。ポール・バーホーベン製作総指揮。キャスパー・ウ゛ァン・ディーン。ジョリーン・ブラロック。ボリス・コトジョー。

地球連邦軍とバグスの戦争開始から11年。戦況が泥沼化する中、ロク・サン基地で指揮を執るでリコは、総指令官アキーノの訪問を受けた。アキーノと一行の中には戦友のボリス、ローラの姿も。2人と旧交を温めるリコだが、そんな時バグスが基地へ侵入。必死に抵抗を試みるもロク・サン基地は壊滅してしまう。しかもリコは反逆罪に問われ、絞首刑に処されることになってしまい……。(goo映画より)

全体主義批判がお得意のバーホーベンの第1作は不評だったが、自分的には楽しかった。いまはどうなっちゃったか分からないけれど、デニス・リチャーズ譲が体を張って大活躍でした。その後、「ワイルドシングス」「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」へと発展しました。

で、本作。戦争が基本的には全体主義を求め、反対派を抹殺することもしっかり抑えていますし、それでいて戦闘シーンもまずまず。コンパクトにまとまっていて、成功作と思えます。

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2008/06/17

ザ・マジックアワー

ザ・マジックアワー
三谷幸喜監督・脚本。佐藤浩市。妻夫木聡。深津絵里。西田敏行。綾瀬はるか。

港町・守加護でクラブ「赤い靴」の支配人を任されている備後は、ギャングのボス・手塩の情婦・マリに手を出したのがバレて大ピンチ。5日以内に幻の殺し屋・デラ冨樫を探し出して連れて来なければ命はないと脅される。が、デラの居場所に皆目見当もつかない備後は替え玉を仕立てる苦肉の策に出る。そこで白羽の矢が立ったのが売れない俳優・村田大樹。主演映画を撮りたいと村田を騙し守加護へ連れて来るのだった。(goo映画より)

三谷幸喜監督の最高傑作という触れ込みだが、無理筋の破綻劇。芝居なら面白くても、映画的には面白くない作品はよくあるものだ。

映画への愛を告げれば告げるほど、そりゃあお門違いでげしょ、と思われる悲劇。

三谷監督のテレビ露出がなければ、もっとよかったのに、と思わせる不条理劇。

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インディ・ジョーンズ

インディ・ジョーンズ
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

スティーブン・スピルバーグ監督。ジョージ・ルーカス原案・製作総指揮。ハリソン・フォード。シャイア・ラブーフ。ケイト・ブランシェット。カレン・アレン。ジョン・ハート。レイ・ウィンストン。

1957年.相棒マックに裏切られ、スパルコ率いるソ連工作員の魔手から危うく逃れたインディ。大学も強制休職となり街を出ようとしていた彼に、マットという若者が声をかけてきた。いわく「伝説の古代秘法“クリスタル・スカル”を手に入れられる」という。その言葉を信じ、インディはマットと共にペルーへと向かう。そこでようやくクリスタル・スカルを手に入れるものの、待ち構えていたスパルコたちに捕らえられてしまい……。(goo映画より)

さすが、冒険映画の傑作だけに満喫しました。

ハリソン・フォードは昔の軽快さはなく、もう冒険活劇の主役はつらくなりました。先頭を行くのはジュニアのシャイア君で、ショーン・コネリーに近づいた印象です。

最後は「未知との遭遇」となりますが、スターリンの出先を演じるケイト・ブランシェットもちょっとまともすぎました。

全体にトシを感じさせる話で、もっと若い美女が二、三人出ると、もっと楽しくなった気がします。

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2008/05/20

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
マイク・ニコルズ監督。トム・ハンクス。ジュリア・ロバーツ。フィリップ・シーモア・ホフマン。

下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアンが目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える。

米ソが対立する冷戦時代、たった一人の破天荒な男が世界を大きく変えていく、国際政治ショー。人生を楽しむのがモットーのお気楽政治家チャーリーが、セレブで反共産主義のジョアンとはみ出し者CIA捜査官ガストと組み、おおらかな人柄と人脈で人類史上最大のプロジェクトを成功させる。一見遊び人だが、実は誰よりも政治家らしい政治家、チャーリーには男も女も惚れちゃうこと間違いなし。主演は、トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン。フィリップ・シーモア・ホフマンの化けっぷりに注目。『魔法にかけられて』のエイミー・アダムスの可愛らしさにもため息が。監督は、『卒業』の名匠、マイク・ニコルズ。(goo映画より)

なるほど。コミカルな中に、空恐ろしい結末がじわーっと浮かんでくる。アメリカの国防族議員と宗教性を帯びた極右の富豪女性。そして、CIAが絡んだ秘密の計画。中東のいわくつきの国々がそれぞれの思惑で、ゲリラの支援に乗り出す。見事、ソ連を打ち負かす。さすが、ムジャヒデンは神の兵士だ。その解放が希望へと架橋されない限り、神の兵士の怒りはソ連からアメリカに向かう。それが9.11というわけだ。

陽気なテキサス男が世界を変えてしまう。これはアメリカンドリームなのか、アメリカの悪夢なのか。両義的なところが、怖いことだ。

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2008/05/12

NEXT

NEXT
リー・タマホリ監督。ニコラス・ケイジ。ジュリアン・ムーア。ジェシカ・ビール。ピーター・フォーク。フィリップ・K・ディック原作。

「2分先の未来」が見える予知能力を持っている男クリスだが、その能力を隠し、ラスベガスで二流のマジシャンとして目立たないように暮らしていた。そんな彼の能力に気づいたFBI捜査官カリーは、テロリストによるロサンゼルス核攻撃を阻止するため、クリスの協力を得ようと考える。一方、クリスはいつもダイナーで見かける女性リズに密かに恋心を抱き、声をかける機会を狙っていた。自分の「能力」を使い、リズと知り合ったクリスだが、そのことが彼女を事件に巻き込むことになる。

マジシャンがショーで客の秘密を当てても、驚きはするが誰も本当にそれを不思議には思わないだろう。マジックには必ず「種」があるからだ。しかしそれがマジックではなく、本当の予知能力だったら…。原作はディックの短編小説「ゴールデン・マン」。自分のアイデンティティを疑うディックの作風は、映画向きなのか、今までにも『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』『ペイチェック』など数多くの作品が映画化されている。本作の監督には『007/ダイ・アナザー・ディ』のアクション派リー・タマホリが当たり、主演をニコラス・ケイジ、脇をジュリアン・ムーアとジェシカ・ビールが固めている。もし自分が未来のことがわかる能力があるなら、あなたは何をするだろうか。そして危機が迫った時、たった2分先の未来でそれを乗り越えられるだろうか。その答えがここにはある。(goo映画より)

家庭がごちゃごちゃしていて、映画館に入ったのは本編スタートの2分間後だった。私が予知能力者だったら、冒頭の部分を見逃さずにすんだのだが。さすがに、映画のようには行かないのが人生だ。

いいね、2分間の予知能力。ちっちゃくて。しかも、自分のかかわりに関するものだ。もっとも、根本的なところは変わらないから、自分にとってはしょうもない能力のような気もする。

同じようなもだのが、プレイバック能力なんてものがあればいただきたい。モテなかった青春期(今もだろうが、って、スミマセン)、あのとき、優子さんにもう少しうまいことを言えたような気が、今ならしますですね。そうすると、違う人生がありましたとさ。

ノンストップでアクションが続くので、本当にあっという間に終わります。充実した95分間です。

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2008/05/11

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

隠し砦の三悪人 THE LAS
樋口真嗣監督。松本潤。長澤まさみ。宮川大輔。阿部寛。椎名桔平。

戦国時代、隣国・山名に攻め込まれ陥落した秋月の城では、消えた埋蔵金と世継ぎである雪姫の行方を追って山名軍が躍起になっていた。そんな中、金掘り師の武蔵ときこりの新八は、偶然、秋月の隠し金を見つける。が、突如現れた真壁六郎太と名のる男とその弟に捕えられ、金も奪われてしまう。金を秋月の同盟国・早川へ持ち出そうと企む六郎太に武蔵は敵国の山名を横断する奇策を提案し、金の分け前を要求するのだった。

活劇の面白さを追求したこの娯楽映画、オリジナルは『スター・ウォーズ』の元ネタと言われる1958年公開の黒澤明の名作『隠し砦の三悪人』だが、ストーリーもキャラクター設定もごく基本的な部分のみを残し大胆にアレンジされ新たな作品として甦った。名セリフ「裏切り御免!」もまったく違うシチュエーションだが、やはり印象的に使われている。「劇団☆新感線」の座付き作家・中島かずきによる脚色と『日本沈没』の樋口真嗣による演出は、個々のキャラクターをより現代的に明確にすると同時に、危機又危機をくぐり抜けるスピーディでテンポの良い展開で楽しませる。松本潤、長澤まさみら若手演技陣も好演。(goo映画より)

まずまず楽しめました。映画的には下敷きがしっかりしているので、後は役者さんですね。脱線コンビの2人が結構いい。それに、阿部ちゃんも、ちょっと抑え気味でもいい味だしてました。半面、雪姫は清楚な中に滲むエロスを期待したが、届きませんでした。売れっ子女優なので、こちらがズレているのかもしれませんが。

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2008/05/08

相棒劇場版

相棒劇場版
相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン。和泉聖治監督。水谷豊。寺脇康文。西田敏行。

現場に謎の記号が残される殺人事件が連続して発生。記号をチェスの棋譜と看破した警視庁特命係の杉下右京と亀山薫は独自の捜査に乗り出し、被害者全員に連絡を取っていた少女・やよいを割り出した。しかしやよいへの取調べは弁護士によって阻止され、捜査は行き詰ってしまう。そこで右京は事件に関連するサイトの管理人とメール交換によるチェス勝負に挑む。結果は右京の勝利。しかし投了図は、予期せぬものを示していた……。

人気刑事ドラマが満を持しての映画化。警視庁の窓際部署・特命係に所属する2人――切れすぎる頭脳を持つ杉下右京と熱血正義感の亀山薫が、巨大マラソンを巻き込んだ陰謀に挑む。ドラマ版のテンポの良さと緻密に練られたストーリーという長所はそのままに、アクションや舞台をスケールアップ。ドラマ以上の緊迫感を味わえる。セミレギュラーキャラが次々と登場したり、ドラマ版ではめったに見られない右京のアクションシーンが見られたりするなど、ドラマファンには垂涎の内容。もちろんそちらを全く知らない人でも問題なく楽しめる。謎解きと追跡の連続に魅せられて、あっという間に上映時間が終わってしまう作品だ。(goo映画より)

ゴールデンウィークのシネコン。すごい人だった。この「相棒」を見るために、3時間待った。なにしろ10時からの回が完売で切符を買えず。しかたなく12時45分の回を買って時間をつぶし、30分前から並んで、ようやく座った。ファクトリーのシネコンは自由席にしないで、指定にして欲しかった。おかげで、暑い上に空調の悪い奥の通路でかみさんは発狂モード寸前になるわ、大迷惑だった。

映画は良かった。社会派ミステリーとしてとてもよく出来ていた。マスコミ批判も決して単調ではなかった。一点、実行犯の青年がなぜ死ななければならなかったのかが、わかりにくかった。でもトータルでは訴えたいことが説得力を持って伝わってきた。水谷豊、なんだか本当に名探偵になってしまったな。

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
ポール・トーマス・アンダーソン監督。ダニエル・デイ=ルイス。ディロン・フレイジャー。ポール・ダノ。ケビン・J・オコナー。キアラン・ハインズ。

一攫千金を夢見るダニエル・プレインヴューは、幼い1人息子を連れて石油の採掘を行っていた。ある青年から、「故郷の広大な土地に石油が眠っている」と聞いた彼は、パートーナーのフレッチャーと共に米西部の小さな町、リトル・ボストンに赴き、安い土地を買占め、油井を掘り当てる。しかし、油井やぐらが火事になり、幼い息子は聴力を失う。精神に混乱を来した息子を、プレインビューは彼方の土地へ追いやってしまう。

ダニエル・デイ=ルイスにアカデミー主演男優賞にもたらした注目作。アメリカン・ドリームを我が物にした主人公の野心と欲望を描いた大河ドラマ。欲望にまみれ、人間不信の主人公には、血や心で繋がる人間よりも富と権力を選んだ。監督は、『ブギーナイツ』、『マグノリア』のポール・トーマス・アンダーソン。ロックな作品が多い監督だけあって、音楽が凄まじい力を持つ。特に油井の火災シーンは、登場人物の恐怖と絶望を音楽が代弁していると言ってよいかも。主人公の息子を演じたディロン・フレイジャーは、本作のためにキャスティング・ディレクターが“発掘”した新人。初めてとは思えない初々しい演技は、まさにダイヤの原石。(goo映画より)

アメリカって国はおもしろい。夢がある。夢には金がつきものだ。そして、金と一緒に神様がついてくる。子どもをダシに開拓民から大地をまきあげる石油屋、その上前をはねようとする独占資本、そして民衆の心にささやきかける神の声。そのどれもがアメリカであり、リチュアルだ、という透徹した視点を監督は持っている。一番笑うのは偽預言者だ。そのカリカチュアは実はフィクションじゃないだろうという現在性がある。

ポール・トーマス・アンダーソン。かの「ブギーナイツ」の監督だ。ポルノの世界の光と影を描いた名作だったが、なによりマーク・ウォルバーグの巨大な一物に純情少年だった自分はうちのめされたものだ。こういう人間にはかなわないな、と泣いたものだ。もちろん、うそ泣きだけどさ。

さすがに、一筋縄で行かない物語が得意だ。男くさい映画だった。そういえば、女優が出ていたのかさえ忘れてしまった。

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2008/05/02

やわらかい手

やわらかい手
評判どおりの心に残る素晴らしい人間愛の物語でした。家族の対立をはじめとして障害はいっぱいあるのですが、それを乗り越えていくところに感動しました。

サム・ガルバルスキ監督。マリアンヌ・フェイスフル。ミキ・マノイロヴィッチ。ケヴィン・ビショップ。シボーン・ヒューレット。ドルカ・グリルシュ。

ロンドン郊外に住む未亡人のマギーは、重病の孫を救うべく手術費用の工面に奔走する。長引く闘病ですでに自宅は手放し、借金をするにも抵当がない。専業主婦の中年女に今更働き口が見つかるはずもなく途方に暮れていたとき目にしたのがセックスショップ「セクシー・ワールド」の“接客”の求人。“接客”の中身を知らずに飛び込んできたマギーにオーナーのミキは呆れるが、その滑らかな手を見て雇うことを決める。

なんと勇敢、なんと無謀。最愛の孫の命に代えられるものなんて何もないと、腹を括って未知の世界に足を踏み入れるヒロインは、手のひらひとつで快楽の極みを男性客に提供する隠れた才能を開花させる。演じるのは、かつてミック・ジャガーと浮き名を流した60'sのポップ・アイコンであり、レザーのジャンプスーツでバイクを飛ばす『あの胸にもういちど』以来38年ぶりの主演となるマリアンヌ・フェイスフル。職業病の“ペニス肘”を患うほど熱心に働くイカセル未亡人の愛情深さが作品全体を貫き、やりようによっては途轍も無く悲惨になってしまうプロットは物悲しくも滑稽な人間ドラマとして描かれ素晴らしく面白い映画になっている。(goo映画より)

公式HPによると、マリアンヌは「1946年12月29日イギリス、ハムステッド生まれ。父親は言語学者でもあったが、ユートピアンで、オックスフォードシャイアでコミューンを運営していた。母親はオーストリア・ハンガリー帝国からの貴族で、フォン・ザッヘル・マゾッホ男爵令嬢。フェイスフルの大叔父にあたるレオポルド・フォン・ザッヘル・マゾッホ男爵(1836−1895)はマゾヒズムという言葉を生んだ小説「毛皮のヴィーナス」の作者である。」とのこと。

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2008/04/29

銀幕版スシ王子!ニューヨークへ行く

銀幕版スシ王子!ニューヨークへ行く
堤幸彦監督。堂本光一。中丸雄一。釈由美子。石原さとみ。北大路欣也。伊原剛志。

スシ王子こと天才寿司職人の米寿司(まいずつかさ)は日本国内での修業を終え、今度はシャリの極意を学ぶためアメリカはニューヨークへ渡る。目指すはシャリの達人・俵源五郎の江戸前寿司の店「八十八」。ところが訪ねてみると、店はマフィアのペペロンチーノ一味の嫌がらせにあい廃業寸前だった。のっとりを目論む奴らの背後には謎の男ミスター・リンの影が。果たして司は「八十八」を守り、究極のシャリを体得できるのか!?

国内修業編のTV版を経て、映画単独初主演を果たす堂本光一が「お前なんか、にぎってやる!」とスタント不要のアクションを鮮やかに決める銀幕版の登場だ。KAT-TUNの中丸雄一扮する弟分・河太郎も引き続き登板しドラマティックな展開の鍵を握る。そして映画ならではのビッグ・ネームが彩りを添える。シャリの達人・俵源五郎を演じるのは時代劇スター・北大路欣也。「八十八」の常連客ハルキには『硫黄島からの手紙』の伊原剛志。この豪華な面々がギャグ・オンパレードの堤幸彦ワールドを盛り上げるのだが、「ウオノメ症候群」以外の司の弱点や自然流琉球唐手の隠されたルーツも明かされるなどお楽しみ満載な一本。(goo映画より)

タイトルからして、パクリっぽいし、まあ楽しんでやろうという意気込みは伝わってきます。にぎやかな、アイドル映画ですので、なんやそれっつ、というシーンもいっぱいですが、大甘ですが、楽しめましたよ。

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ブラックサイト

ブラックサイト
グレゴリー・ホブリット監督。ダイアン・レイン 。ビリー・バーク。コリン・ハンクス。

オレゴン州ポートランドを舞台に、自身のWEBサイトに生々しい殺人の映像をライブで載せているシリアル・キラー。彼に苦しめられる犠牲者の運命を握っているのは、罪悪感もなく、好奇心だけでサイトにアクセスする世界中66億人の人々。彼のサイトのアクセス数が増えれば増えるほど、犠牲者たちの死期は早まってしまう。さらに悪いことに、犯行を重ねれば重ねるほどサイトの存在は知れ渡り、アクセス数は増えて被害者の死に至る時間は短縮されていく。ネット犯罪専門のFBI捜査官ジェニファーは、焦りをつのらせながらも必死に手がかりを探るのだが…。

今やニュースや専門知識などの多種情報や、音楽、動画などの娯楽をスピーディーに提供する場として、テレビ以上に生活に欠かせないアイテムとなっているインターネット。しかし、同時にそこは匿名性に乗じた多くの悪意が横行する無法地帯でもあり、ネット犯罪は増加の一途をたどっているが、そんな現状をタイムリーに反映し、全米で一大センセーションを巻き起こした本作。巧妙に立ち回る頭脳明晰な犯人と、捜査に躍起となるネット犯罪専門のFBI捜査官によるサイバー戦がスリリングに展開する。主演は『運命の女』のダイアン・レイン。監督は『真実の行方』『ジャスティス』など、社会派作品で知られるグレゴリー・ホブリット。(作品資料より)(goo映画より)

以前、アルカイダと言われる組織が中東を旅する敵対諸国の観光客らをとらえ処刑するシーンがインターネットにアップされたことがあった。その残虐さは現実のものであるが、本作はある意味、それ以上に怖い。なぜなら、怖いもの見たさの好奇心が犯罪を加速し成就させる。これはだれも止めることはできないが、しかし、だれもが犯罪の加担者たりうるという怖さだ。

映画は怨念に満ちた犯罪をひとまず抑える。しかしながら、その犯罪のメカニズムは決して破棄されていないのだ。だれかが、それを意図したなら、同じようなネット犯罪は劇場型の無意識の集積として実現するだろう。映画は十分に怖いが、現実はそれ以上に怖い。

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2008/04/27

紀元前1万年

紀元前1万年
ローランド・エメリッヒ監督。スティーブン・ストレイト。カミーラ・ベル。クリフ・カーティス。

時は紀元前1万年。人も動物も自然のままに生き、マンモスが大地を闊歩する時代。サーベルタイガーや獰猛な肉食動物と果敢に闘い、広大な砂漠で青年は旅を続けていた。邪悪な支配者に捕われの身となっている愛する人を救うために…。

ニュージーランド、南アフリカ、ナミビアの三ヶ国で撮影を行い、現地の壮大な風景に最新CGで蘇ったマンモスに加え、映画史上最大のセットとなったピラミッドを復元した、驚異の体感型アドベンチャー大作。『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』のローランド・エメリッヒ監督は、15年前から本作の構想を持っていたが、ようやく特殊効果のレベルがイメージに到達したために映画化に至ったのだとか。(作品資料より)(goo映画より)

大きいものが大好きな監督らしい作品だ。今回の見どころはマンモス軍団の暴走あたりか。これが野生というか自然の力強さを示す。そして、そのマンモスを生産力として組み込んだ<大神>が人間界を支配する。まあ、当然でしょう。これに対して、文化的には遅れているが、自然と共生しつつつ(虎と話す、というのはその象徴だ)愛と勇気を持った戦士たちが、もう一度社会を組み替え直すために、戦っていく。典型的な古代神話的な物語だろう。

いつもの大時代的なうそくささも、本作では叙事詩的空間の物語なので、感じられない。縦糸として織り込まれた英雄となる青年デレーと女性エバレットの愛も、ほどほどにスパイスが効いている。ピラミッドかバビルの塔を思わせる神宮を舞台にした戦闘シーンは意外にあっけないが、ぴりっと締まっている。よくできた娯楽大作である。

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ぼくたちと駐在さんの700 日戦争

ぼくたちと駐在さんの700<br />
 日戦争
塚本連平監督。市原隼人。佐々木蔵之介。麻生久美子。石田卓也。石野真子。

1979年、とある平和な田舎町。ママチャリ率いる「ぼくたち」7人は、気ままな高校生活を送っていた。ぼくたちがする事と言えば、ママチャリが考えるイタズラ。ところが、ぼくたちのイタズラに怯まない駐在さんがやってきた。しかし、これがママチャリを熱くさせてしまった。しかも、駐在さんには、町一番の美人妻がいるではないか。許せん!かくして、田舎の町を舞台に、駐在さんとぼくたちのしょうもない戦いが始まった。

人気ブログランキング第1位を総なめにした、怪物ブログ小説、「ぼくちゅう」が、早くも映画になった。昭和54年の田舎町を舞台にした、半実話の物語である。日本が今より、ほんの少し良かった時代、7人の高校生たちは、学校や町の人々にイタズラをしては、楽しんでいた。それに、毅然と立ち向かったのが新しくやってきた駐在さんだった。少年たちを厳しく取り締まるだけではなく、教師のように、親のように、また時には悪ガキ仲間のように、悪ガキにぶつかっていく駐在さんに、ちょっぴり惚れてしまうかも。「ぼくたち」には、市原隼人、石田卓也ら、青春映画のニュースターが総出演。頼もしい駐在さんには、佐々木蔵之助が颯爽と扮している。(goo映画より)

なんだか楽しい。つまり、国家権力と楽しいバトルが成立していることが、奇跡だ。だって、1979年だ。僕の記憶では、虞犯少年たちと制服警官がいたずら合戦をするなんてことは、2つの安保闘争を超えて、姿を消したはずだ。国家権力は中央統制下で、それになびかぬ者を抑圧する方向にシフトしたからだ。それでも、ここではそうした疑似親子的な価値収束による知恵比べが繰り広げられている。ありえない。でも、宣伝文には「(半)実話」とある。日本も広いものだ。いや、栃木県は、と言いたいところだが、まさに北関東エリアは連合赤軍事件の凶行が山岳地帯に追い込まれていく中で、警察もそんな甘いことはしていられなかったはずだ。桃源郷はそれでも存在したとすれば、繰り返すが奇跡だ。

主演の市原隼人。初めて知ったが、いい男だ。存在感がすごい。いかにも主役だ。対する佐々木蔵之助。こちらは国家権力の中にファジーな男気を持ち込む駐在役だが、相手役として十分だ。そして、駐在の妻にしてママチャリ軍団のアイドル役の麻生久美子。甘えたい男たちの心を満たして十分である。しかも、元レディース暴走族って、下妻物語か。そのほか、わけわからん個性派が勢揃い。花火師アチャコじゃなかった親方の竹中直人は職人の典型をデフォルメしつつ見事に外さない。そして、母ちゃんの石野真子。ソフトクリームをうまくつくれないくらいに可愛い。子沢山のバナナ親父・ガッツ石松はまんまやんけ。ゴムそば屋の片桐はいりetc.。遊び心が伝わってくるぜ。

そして、1979年という昭和の爛熟期。昭和30年代の郷愁とは違う近過去の少年時代ジュブナイルへと、ストリップじゃなくてスリッパでもない、スリップする心地よさがマルちゃんなのだ。700日にわたる争闘はまだ100日を超えたところだそうだ。ありえない空間が人の心の欠落を照らすことはありうるものだ。

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2008/04/26

フローズン・タイム

フローズン・タイム
ショーン・エリス監督。ショーン・ビガースタッフ。エミリア・フォックス。ショーン・エバンス。ミシェル・ライアン。

ガールフレンドにふられてショックから不眠症になってしまった画学生のベン。そこで、スーパーの夜勤アルバイトを始める。風変わりな人間の集まる職場だったが、レジ係のシャロンを恋し始める。不眠症が限界を超えたとき、周りの世界がフリーズし、自分だけが自由になっていた。ベンは美しい女性たちのデッサンをするのだった。

内向的なオタク小僧にはまさに、あるある探検隊の物語。はっきり言って、妄想系だ。時間が止まるのは一種の入眠幻覚だろう。本来なら自己崩壊に陥るところを、新たな恋を発見し、デッサンに打ち込むことで、精神の平安を取り戻す。

映像が新鮮で、なんだかとっても刺激的だった。雪の降る夜のラストシーンは最高に美しくロマンチックだった。監督の感性が伝える作品だった。

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2008/04/20

泪壺

泪壺
瀬々敬久監督。小島可奈子。いしだ壱成。佐藤藍子。

渡辺淳一原作の短編小説の映画化。

乳ガンで若くして死んだ愁子。その夫の雄介は愁子の遺言でその骨で壺をつくる。愁子の姉の朋代はひたすら雄介を思い続けている。朋代と雄介の愛は叶うのか。

本作は、一種の女性の執念を描いたホラーであった渡辺淳一さんの小説を大きくふくらませた。若いときの出会いから、死を超えて、愛が再生するのか。そのために、遺灰を壺にした女性の姉の世界をていねいに描いている。

かなわぬ愛に苦しみ、自分の心の汚れを憂い、しかし体は処女のままでいる。しかし、悲しみをこらえるために走る。走る。そして、心とは無関係なセックスを繰り返していく。そんな姉、朋代を小島可奈子が熱演する。まさしく体当たりの演技である。朋代のあこがれの君で、妹の愁子の夫役は、いしだ壱成。ひよわなところはいいが、作家というよりはちゃらんぽらんな兄ちゃんっぽいところがあって、よろしくない。もう少し落ち着いたキャストで撮りたかった。

若い時間と成年の時間が交差する。そのあたりが、文芸作品っぽい。でも、ここは渡辺先生の原作、性愛を見つめてきた男女小説家の作品だ。もう少し、セックスを通じて(それは決してからだの問題に限らない)男女の自由や解放をイメージできなかったかと思う。もちろん、心の傷を癒すためにはプロセスが必要だが。監督には自分の得意の分野であるのだから、もっと逸脱してほしかった。

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映画クレヨンしんちゃん・ちょー嵐を呼ぶ金矛の勇者

クレヨンしんちゃん
本郷みつる監督・脚本。声・矢島晶子。ならはしみき。こおろぎさとみ。小島よしお。

「アクション仮面」に夢中のしんのすけ。新しい武器、アクション・ソードのおもちゃをデパートで買ってもらい、上機嫌で帰って来た。しかし、空けてみると不思議なことに、ソードは竹の定規に変わっていた。しばらくしたある夜、夜中に喉が渇いて起きると、玄関の外から声がする。ドアを開けるとプリリンというナイスバディなおねいさんが立っていて、「お願いを聞いて欲しい」と言う。しんのすけが、デレデレついて行くと…。
“おバカ”ブーム全盛の昨今、その原点とも言える映画「クレヨンしんちゃん」シリーズも16作目。元祖国民的おバカ、野原しんのすけが、今回はファンタジーな世界で冒険を繰り広げる。ひょんなことから“選ばれし勇者”となったしんのすけは、暗黒の世界“ドン・クラーイ”からやって来た侵略者から地球を守るために伝説の神器、金矛を手に立ち上がる。しんのすけを守るために現れた謎の少年マタ、ダークの手下のマック・ラ・クラノスケ、そのまた手下のきれいなおねいさんプリリン、シロそっくりの捨て犬、クロなど、ユニークなキャラも続々登場。「そんなの関係ねぇ~」の小島よしおや、パーティー界のカリスマ、DJ OZMAの出演にも注目!
(goo映画より)

毎年、春の楽しみは「クレヨンしんちゃん」と決めている。野原しんのすけ。おねえさん大好きのオバカな男の子であるが、それだけではない。自分の欲望に忠実でありながら、家族や子どもたちの未来をも大切にしている。その感性が素晴らしいのだ。
過去の栄光にすがる者、あるいはひとりよがりの理想を押しつける者には全力で闘うのだ。

本作はダースべーダーならぬドン・クラーイへと人間社会を引きずり込もうとする陰謀との闘いだ。いわば光の戦士と闇の戦士の死闘。なぜか選ばれた勇者(こういう発送は嫌いだが、しんちゃんはその選民性を自己解体しているのだから素晴らしい)となった野原しんのすけが金の矛、銀の盾を手に侵略者と闘うのだ。今回のアクションの見物は「ヘンジル」合戦。空中戦などはあまりに迫力がありすぎて困ってしまう。

もちろん面白く、子どもたちには結構、ウケていたところが多いが、個人的には今ひとつ乗り切れなかった。しんちゃんの単独行動が多すぎて、春日部ボーイズのいつもの仲間との連携が少なかったのが、残念である。

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2008/04/19

ナチョ・リブレ(DVD)

ナチョ・リブレ(DVD)
ジャレッド・ヘス監督・脚本。ジャック・ブラック。アナ・デ・ラ・レグエラ。ヘクター・ヒメネス。

大ヒット作「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラック主演で贈る笑いと感動のコメディ!修道院で食事係を務めるドジな男ナチョは、孤児たちに美味しい食事をさせたい一心で、幼い頃から憧れていたルチャ・リブレの覆面レスラーになる。相棒のスティーブンと共に厳しい特訓を積んだ後、修道院には秘密でリングに上がる。彼らは連戦連敗ながらもチャンピオンと戦うチャンスを手にする。果たしてナチョは試合に勝てるのか…!?(goo映画より)

愛の心を持ったなぞの覆面レスラー、と言えば、かの「タイガーマスク」だ。本作もその愛の心は同じだが、いささかスター性に欠ける。なにしろ主役はジャック・ブラックだ。おでぶな体型で、どう見ても鍛え方が足りない。だから、なかなか勝てない。それでも最後に愛は勝つ。大逆転でスーパーヒーローとなる。ここが映画とはいえ、いい。動機も一部不純だ。なにしろ、神に仕える身でありながら、美女のシスター、エンカルナシオンにホの字なのだから。

とにかく逸脱する。その快感が、全編に漂っていて、いい。

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2008/04/18

ハルク(DVD)

ハルク(DVD)
アン・リー監督。エリック・バナ。ジェニファー・コネリー。サム・エリオット。

遺伝子学者ブルース・バナー(エリック・バナ)は、実験中に致死量のガンマ線を全身に浴びる事故に巻き込まれる。奇跡的にも無事だったが、まもなく、死んだと思われていた彼の父デイヴィッド(ニック・ノルティ)が姿を現わした。そしてブルースは、怒りの感情と共に、緑色をした巨大なモンスター、ハルクへと変身する体になっていた。デイヴィッドが自らの体で遺伝子実験を行なったため、その特殊遺伝子が息子のブルースにも遺伝していたのだった。破壊のあとを残していくハルクに全米中が恐怖したが、ブルースの元恋人である女性科学者ベティー(ジェニファー・コネリー)だけがハルクを信じていた。だが捕獲に失敗したベティーの父のロス将軍(サム・エリオット)は、ハルクの正体が人間であることを知りながら、最終兵器を持ち込んだ撃退指示を出す。その頃、デイヴィッドもモンスター化してハルクと格闘を始めていたが、軍は両者ともミサイルでやっつけた。しかし一年後、身を隠しながらまだ生きているブルースの姿が
あるのだった。(goo映画より)

「ラスト、コーション」のアン・リー監督の作品である。映像の中には、画面を分割した場面も多く、なんとなく劇画を意識したものになっている。ストーリーはわかりやすいのだが、回想と余韻を引きずるような場面進行で、いささかかったるい。そのくせ、ブルースとベティの関係が心を通わせながらも、中途半端で、「キングコング」ほどには熱くはならない。SFXもぎこちない。モンスター化したブルース=ハルクは、大きなジャンプをするが、「シュレック」が飛び跳ねているようだ。でも、楽しめる作品ではある。

ハルクは怒りの感情によって変異する怪獣だ。それは物質的に規定されているのだが、一般人だって、怒れば怪獣まではいかないまでも人格が変わるだろう。その意味で、寓話的でおもしろい。ハルクは荒ぶる神になるわけだが、その割には人を積極的に殺めないし、いささか大人しい。もっと破壊的で、手の付けられないゴジラみたいになってくれると、もう少し感情移入できるのだが、物足りなさはここにもある。人間は変わりたいし、超能力を持ちたい。それがハルク的なものはどうかはわからない。不幸であるが、魅力的ではある。

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2008/04/07

竜二(DVD)

竜二
「竜二」主演の金子正次、さる、11月6日未明に亡くなりました。金子正次の「竜二」は永遠に不滅です。

1983年、新宿東映会館にその訃報が張り出されたそうだ。伝説の一本はせつない映画であった。川島透監督。金子正次。永島暎子。北公次。桜金造。

青春時代が過ぎ、金と出世欲だけで動くのにうとましくなって堅気になったやくざの姿を描く。脚本の鈴木明夫は本作品で主演している金子正次のペンネームである(彼は『竜二』公開直後、ガン性腹まく炎のため死亡)。監督はこれが第二回作品の川島透、撮影は川越道彦が担当。主題歌は、萩原健一(「ララバイ」)。<解説>-goo映画より-

花城竜二は新宿にシマを持つ三東会の常任幹事だった。新宿近辺のマンションに秘密のルーレット場を開き、舎弟の直とひろしに仕切らせ、そのあがりで優雅にやくざ社会の中を泳ぎわたっている。その彼も、三年前は器量もなく、イキがったり暴力を誇示した結果、拘置所に入れられた。妻のまり子は竜二の保釈金を工面するため九州の両親に泣きつき、両親は竜二と別れるならという条件で大金を出してくれた。<あらすじ・後略>-goo映画より-

金子正次の1983年の遺作をDVDで見る。若死にした金子の心意気を知りたくて、インターネットで取り寄せた。素晴らしい。テーマは明快だし、金子は揺れるマイホームやくざ竜二を鮮やかに演じている。金子は生前、松田優作がライバルだと言っていたそうだ。確かに、金子の演技には優作に影がある。いささか狭いが。脚本の鈴木明夫は金子正次のペンネーム。

なぜ、この「竜二」が支持されたか。やくざ映画であるが、そう遠くない時代の戦士の物語でもあるからだ。戦士は戦争が終わった後、どこへ行くのか。家族との平和な暮らしこそがすべてである。だが、血が騒ぐ。ひたすら、平和な日々を求めるが、さざ波が立つ。やはり、それでも家庭を守るべきだというのは簡単だが、それに収まりきれないものがある。君の心にそれはないか?そんな情念のうずきがある。

やくざに復帰した竜二が今どこにいるか。そんなことが気になった。

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2008/04/06

うた魂♪

うた魂♪
うた魂♪
合唱なんて優等生的で体制的で、軟弱だと思っていた。でも、結構いい。ソウルの神は合唱の中でもスイングしているようだ。
田中誠監督。夏帆。ゴリ。薬師丸ひろ子。石黒英雄。徳永エリ。間寛平。ともさかりえ。

北海道の南、七浜高校の女子合唱部のかすみは、歌っている自分が大好き。ある日、イケメン生徒会長から「歌っている君を写真に撮りたい」と言われ、自分が好きなんだと有頂天になる。しかし、出来上がった写真を見て大ショック。歌っている自分がこんな顔だったなんて。生徒会新聞にその写真が大きく使われ、悲しみと自信喪失で合唱部を辞めると言い出す。しかし、かすみのやる気のない態度に、ヤンキー高校の合唱部から文句をつけに来た男がいた…。(goo映画より)

高校生の青春音楽物語というと、上野樹里主演で「ジャズやるべ」の「スウィングガールズ」(矢口史靖監督)が記憶に新しいが、本作は合唱というシンプルな直球勝負だ。こういう物語のどこがいいかというと、若い人たちが一生懸命に目標に向かってがんばっていることが第一だ。困難に真正面からぶつかりながら成長していくところだ。

青春物語の基本は、弁証法的に言うと対立物の統一だ。まずナルシストの主人公かすみを置く。表層的で、優等生でもある。それにライバル高校の権藤をぶつける。こちらは精神的で、はみだし生徒である。この2人の個性が相互に戦いつつ認め合うところに、新しい合唱の世界が広がるというわけだ。その展開が少し食い足りないところもあるが、非常によくできている。気持ち的には、元街角の女・尾崎豊だった合唱部の顧問・裕子センセーが権藤だけではなく、かずみにも影響をもっと与えてほしかったところだ。でも、十分、いい線いっていた。

かすみ役の夏帆は「天然コケッコー」(山下敦弘監督)で、田舎の中学生を好演した。本作でもナルシストの女の子を天然っぽく演じていた。まずまず。「真剣十代」権藤役のゴリは良かった。尾崎豊の「15の夜」を歌った時は、正直鳥肌たちました。そして、顧問の薬師丸ひろ子。小さくまとまっていないで、自然体でアピールしていた。

なにしろ、周辺を見ると、自分を含め病人だらけ。気が滅入る時には、元気が出る映画がいい。大団円のラスト、合唱が人々の心をとらえ、広がっていく。エノケンの「私の青空」、尾崎豊の「Oh my little girl」などの歌も効果的な使われ方で、良かった。北海道が舞台というのは必然性はないが、親しめた。

うた魂♪ - goo 映画
うた魂♪ - goo 映画

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2008/04/05

インファナル・アフェア(DVD)

インファナル・アフェア
インファナル・アフェア
噂には聞いておりましたが、素晴らしい映画、まさに傑作でした。
アンドリュー・ラウ。アンディ・ラウ。トニー・レオン。アンソニー・ウォン。エリック・ツァン。ケリー・チャン。エディソン・チャン。

マフィアの組員ラウ(アンディ・ラウ)は、ボスであるサム(エリック・ツァン)の指示で香港警察に潜り込み、10年で内部調査課の課長に昇進。ベストセラー作家メリー(サミー・チェン)との結婚も内定していた。一方、ラウと同じ警察学校に通っていたヤン(トニー・レオン)は、組織犯罪課のウォン警視(アンソニー・ウォン)の指示で、サム率いるマフィアに潜入。今では麻薬取引を任されるまでになっていた。しかしヤンは長年に渡る内通捜査で自分を見失い、精神科医リー(ケリー・チャン)のもとに通院。いつしかヤンはリーを愛し始めていた。ある夜、ヤンから大きな麻薬取引を行うとの情報を得たウォン警視は、水面下で調査を始めるが、同時に警察の動きがラウからサムに伝わり、検挙も取引も失敗に終わる。双方にスパイがいることが明らかになった。ラウとヤンは、それぞれ裏切り者を探すよう命じられる。やがて争いの中で、サムの手下にウォン警視が殺される。サムの残忍さに嫌気がさしたラウは、サムを射殺。そしてヤンは、ラウがマフィアのスパイであることに気づくが、やはりサムの手下にヤンも殺される。残されたラウは、ヤンの分まで警官として生きていくことを決意するのだった。(goo映画より)

主演はアンディ・ラウであろうけれど、明らかにトニー・レオンがいい。本来、警察官でありながら、マフィアの幹部とされた男の苦悩が伝わってくる。抑えた演技に哀愁がある。そして演出だ。本編102分。この短さ。だが、言いたいことが的確に伝わってくる。このセンスは感動的だ。

テーマもいい。わが心の善くて殺さぬにはあらず。善が敗れ悪が勝つように見える。だが、対立物は相互浸透する。悪の心にも善が芽生える。はからずもトップに立った実はマフィアのエリート警察官は善の道を歩もうとする。無間地獄とは言うが、救いはある。そこがハリウッドにも好かれた理由だろうか。

さて、今日は疲労感があり、劇場には行く気分じゃなかったので、ビデオ鑑賞だ。DVDには劇場と違ってサービスがある。特典ディスクだ。主役陣たちはなんと日本にキャンペーンに来ているのだ。その中にたらけた男が1人いる。インナーをだらしなく出し、ずれた挨拶ばかりしている。その男の名はエディソン・チャン。かの流出セックス画像のオーナーである。確かにアホな感じではある。プレミアム会場での間抜けな挨拶も笑える。惜しいキャラだと言うのは微妙だが。

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2008/03/30

迷子の警察音楽隊

迷子の警察音楽隊
本作はイスラエルで起きたエジプトからの珍客との1日の交流物語である。テーマはすれ違い。もちろん、否定的な意味ばかりではなく、政治や文化、言葉、年齢、性の違いによって導かれるものであるが故に、それは決して和解不可能なギャップではないと信じているところに、救いが生まれている。

イスラエル=フランス合作。エラン・コリリン監督。サッソン・ガーベイ。ロニ・エルカベッソ。サーレフ・バクリ。カリファ・ナトゥール。

1990年代のイスラエル。空港に水色の制服に身を包んだ男たちが降り立った。彼らはアレクサンドリア警察音楽隊。文化交流のためにエジプトからやってきたが、何かの手違いか出迎えが来ない。自力で目的地へたどり着こうとした彼らは、間違えて一文字違いの別の小さな町に着いてしまう。途方にくれる彼らに助け舟を出したのは、カフェの女主人ディナだった。やがて、国や宗教を超えた交流が始まるが…。(goo映画より)

テーマに沿えば、警察音楽隊の団長トゥフィークとイスラエルの田舎町の食堂の女主人ディナの心のすれ違いがメーンである。

3年前に妻を亡くした(それは子どもの心を理解できなかったが故に、子と妻を失ったのであった)トゥフィークは、自分の信念で生きているが必ずしも皆に理解されていない。そんな彼が団員を引き連れて道に迷ってしまうわけだ。そこに現れたのが、美しいのだけれど、運がないディナ。彼女は珍客に自分と同じものを見いだし、ランチをごちそうし、一夜の宿を提供する。子どものころに見たエジプト映画、アラビアンナイトをトゥフィークと夢見るが、結局はトゥフィークは自分に設けた壁を乗り越えられず、2人の恋は実らぬままに終わる。でも、2人は好きあっており、決して理解しあっていないわけではない。それでも叶わないのである。

この2人の関係を反復するように、周辺で人物が動く。トゥフィークと色男カーレドの世代間のモラルのギャップ。そのカーレドとディナの心とは無関係の体だけのセックス。トゥフィークと悩める楽隊ナンバー2シモンの信頼と迷い…。イスラエル人の親子、夫婦、恋人たちの関係も同じだ。誤解があり、対立があり、信頼がある。

イスラエル映画であるから、エジプトの警察音楽隊の役者さんたちもアラビア語を使ってもイスラエルで活躍している人たちのようだ。イスラエルではエジプト映画が人気だったというが、戦後の建国以来、中東戦争で対立しているのだが、どこかでつながっているというのが面白い。砂漠の中に、いかにも国防的な観点からか高速道路が整備され、疑似社会主義的なアパート群やレストランのある協同アミューズセンターみたいなのが存在している。街は活気がなく、失業者が食堂のいすに腰掛けており、そして大都市への脱出を夢見ているのも面白い。イスラエル映画でありながら、映画の批評眼というものは常に両義的に機能するものだ。

冒頭のバスが止まっていて、それが全く関係なく去ったら、青い制服の音楽隊が登場する。いかにも取り残された印象が浮かんできて、つかみはOKだろう。その後、小さなコント(清掃員に邪魔される記念撮影、市役所への通じない電話、石のように固まるイスラエルのおじさんなど)が積み重なっていく。これもいい。2つの国旗が揺れる中、最後にエジプト音楽が流れる。誤解やすれ違いは終わらないけれど、またこんなシーンがきっと来るさ。そのときにはトゥフィークとディナが手を差し出したら、きっと自然につなぐだろうよ。そんな希望の色が伝わった作品である。

迷子の警察音楽隊 - goo 映画
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2008/03/29

燃えよ!ピンポン

燃えよ!ピンポン
くだらないといえばそれまでですが、面白かった。どう考えても、卓球がメジャーな映画の題材になるとは思えないのに、ソウル五輪やら謎の中国人やら怪しげなオリエンタリズムというかジャポニスムをゴッタ煮にして、しかも一種の差別ネタを使ってイケイケドンドンというのがおバカすぎるのですが、もしかしたらそれも計算の上のマイノリティー・ショーなのかという気がしました。

ロバート・ベン・ガラント監督。ダン・フォグラー。クリストファー・ウォーケン。ジョージ・ロペス。マギー・Q。ジェイソン・スコット・リー。

1988年のソウルオリンピックに、卓球のアメリカ代表として出場した天才少年ランディだが、ある事から無様に敗退してしまう。数年後、場末のカジノで曲芸を披露するほどに落ちぶれたランディの元にFBIがやってくる。それは、裏社会で行われている卓球大会への潜入捜査の依頼だった。盲目の中国人による特訓を受け、ランディは出場権を獲得。トーナメント開催会場へ向かうが、その主催者はランディの父を殺した宿敵フェンだった。(goo映画より)

主人公のランディ・デップ(本当は違います、念のため)。メタボで腹も頭も爆発しています。どう見ても、オカマキャラですし、案の定、お尻に発信機を差し込まれるわ、ホモ軍団の熱い夜の接待を受けるわ。悪の帝王で、謎の中国元卓球代表フェンはどうみても北欧系の体でっかい白人です。でも、インチキくさい英語を使ってみたり。日本代表はふんどし姿で、ピンポン唐竹割り?を披露する始末。パンダを中米のどこかで飼っているのですが、まるでやる気がないというか死んでいる。ドイツ代表はお約束通り、悪役で、ナルシストです。FBIは当然ながら007を意識していますし、なんだか「オースティン・パワーズ」のパロディのような気もしました。メードさんはチャイナ服のような着物のような混合東アジアがあふれています。小さいことは気にしない。そんな太っ腹ないい加減さがあふれています。でも、闇のピンポン世界大会みたいのが実際にあったら、怖いな、なんて思わせます。(成立しない?)

邦題は「燃えよ!ピンポン」ですが、原題は「BALLS OF FURY」。「燃えよドラゴン」の原題は「ENTER THE DRAGON」。「FIST OF FURY」が「ドラゴン 怒りの鉄拳」ですから、本作は「ドラゴン 怒りのタマタマ」ということになろうか。もっともなんのことかわからないから、「燃えよ!ピンポン」でいいのかも。ともあれ、マギー・Qとピンポンできるなら、M系ならば、結構、燃えるかもしれません。あちゃああ。

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2008/03/26

マイ・ブルーベリー・ナイツ

マイ・ブルーベリー・ナイツ
わが歌姫ノラ・ジョーンズの主演映画である。

フランス=香港。ウォン・カーウァイ監督、脚本。ノラ・ジョーンズ 、 ジュード・ロウ 、 デイヴィッド・ストラザーン 、 レイチェル・ワイズ 、 ナタリー・ポートマン。

恋人に捨てられたエリザベスは彼のことが忘れられず、彼の行きつけのカフェに乗り込む。そんな彼女を慰めてくれたのは、カフェのオーナー・ジェレミーと、甘酸っぱいブルーベリー・パイ。それからのエリザベスは、夜更けにジェレミーと売れ残りのパイをつつくのが日課になる。しかしそんなある日、彼女は突然ニューヨークから姿を消す。恋人への思いを断ち切れずにいたエリザベスは、あてのない旅へとひとり旅立ったのだった…。(goo映画より)

ノラ・ジョーンズに関しては「Come Away With Me」「Not Too Late」の2枚のCDを聞かせてもらい、今もipodに入れて聞いている。彼女の父親はビートルズに影響を与えたインドの音楽家だそうだ。カントリーのようなジャズのような不思議なテンポの曲に彼女の深みのある声が素晴らしい。ちなみに、「Not Too Late」の後には「For Love」と続く。おやじ心をくすぐる歌ではないか。

ジャケットは見ていたが、動く当人を見るのは初めてだ。歌姫であるが、美形というのとは違う。失礼になるのかどうかわからないが、「ガールファイト」のミシェル・ロドリゲスのような厚みを感じた。演技もスタイルも今ひとつ。だけど、なんか伝わるものがある女性だ。

本編。「ブエノスアイレス」「花様年華」などで愛の荒野を描いてきた監督がハリウッドに進出してメガホンをとった。映画的には成功しているとは言い難いが、ノラ・ジョーンズやジュード・ロウなどの魅力をたっぷりと引き出している。物語は出会いと別れのエピソードの積み重ねで、人の心の孤独を浮き彫りにしていく。そして、一種の沸点に達したときに、離れていた2人の距離が縮まる。ロードムービーのようなそうでないような。不思議な味がある。

それにしても、ジュード・ロウ。もてるよなあ。粒子の粗い、ノイズのあるカフェの若い経営者が似合い過ぎて。はえ取り紙のように、女たちが寄ってくるな、きっと。ラストのキスシーンなんて、ブルベリー・パイにミルクが絡んじゃって、お子ちゃまには困ります。レイチェル・ワイズ。ノラに比べ、女優顔が決まってました。ナタリー・ポートマン。私はファンですが、本作のヘア・スタイルでは全く感じません。まずいですね。

マイ・ブルーベリー・ナイツ - goo 映画
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2008/03/23

シスターズ

シスターズ
残酷さは感じられないし、セクシャルでもないし、怖くもない。それでいて、なんだか妙にひっかかる変な作品である。
ダグラス・バック監督。クロエ・セウ゛ィニー。スティーブン・レイ。ルー・ドワイヨン。ダラス・ロバーツ。

ジャーナリストのグレースは、ラカン医師が運営する小児病院での不審死を調べていた。同じ日、ボランティアとして来ていたウォレス医師は、ラカンの助手のアンジェリークと知り合った。アンジェリークは双子の姉アナベルが同居している事をウォレスに告げた。その頃、ラカン医師のオフィスに潜入したグレースは、監視カメラのモニターでウォレスが女性に殺害される現場を目撃。犯人はアンジェリークか、それともアナベルなのか。(goo映画より)

ブライアン・デ・パルマの「悪魔のシスター」のリメークだそうだ。未見である。

結合双生児や二重人格などサイコ・スリラーらしい道具立てが盛りだくさんだ。そして、ミイラ取りがミイラになるように傷を持った人間が感応して新しい姉妹が誕生するものかどうか。ぼんやり頭で見ていたので、完全にストーリーを理解できたか自信がない。

善と悪。それが合わさってこそ人間である。悪を失った人間は悪を引き寄せることでバランスを保つ。時に自分自身を変身させて。あるいは自分によく似た人間を見つけ出して。いろいろ考えると、マッド・サイエンティストのようであるが、ラカン医師はがんばってアンジェリークに治療をしていたような気がする。そこに、秩序を乱すものが侵入して、悲劇は起きる。それでも、彼が死すべきであったかどうか、疑問が残る。彼の愛に限界があったということだろうか。

記者役のクロエ・セウ゛ィニー、アンジェリークのルー・ドワイヨン、ラカン医師役のスティーブン・レイ。今ひとつ「華」がないけれど、それぞれの人物の雰囲気はよくできていた。もっと、関係を掘り下げて欲しかったが、そうすると冗漫なってしまうのを避けたのだろうか。

シスターズ - goo 映画
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魔法にかけられて

魔法にかけられて
ディズニー映画でありながら、ディズニーを超えた面白さがある。
ケヴィン・リマ監督。エイミー・アダムス。パトリック・デンプシー。ジェームズ・マースデン。スーザン・サランドン。

アンダレーシアで動物たちと暮らす美しい姫、ジゼルは、運命の人と出会い、結婚する事を夢見ていた。ある日、怪物に襲われたジゼルは、エドワード王子に助けられる。お互い一目惚れし、出会ったばかりにも関わらず、完璧なデュエットを披露し、翌日結婚する約束をする。しかし、王子の結婚を喜ばない継母のナレッサ女王は、魔女を送り込み、ジゼルを井戸に突き落とす。なんと、その井戸は、現代のニューヨークに繋がっていた。(goo映画より)

予想以上に面白かった。アニメから実写に移行するのだが、それがとっても自然なのだ。おとぎの世界は予定調和の満ち足りた世界とすれば、現実のニューヨークは怒りや悲しみがいっぱいだ。でも、その一歩踏み出した世界こそが人間らしい豊かさなのだと、この映画は言っている。目と目があったその日から、声をそろえて歌うことができ、すべてがわかるというのは素晴らしい。でも、ぶつかりあったり迷ったりしているうちに、人間はようやくわかりあえるのだ。ディズニー映画はよい子の物語だ。でも、よい子の物語も単純にはいかなくなったということか。

人間の物語でも、おとぎ話のコアも巧みに組み込まれている。ラスト。毒リンゴを食べてしまったジゼルを救う方法はない。唯一、真実の愛のキスだけが魔法を解くことができる。なんてことがあるものか。でも、いいじゃないか。そんな奇跡があっても。ファンタジーも最近はハリーポッターやらロード・オブ・ザ・リング系が増えたが、メルヘンも悪くない。

魔法にかけられて - goo 映画
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2008/03/19

ペネロピ

ペネロピ
あるがままの自分の素晴らしさに気づいたら幸せはやってくるというおとぎ話。

マーク・パランスキー監督。クリスティーナ・リッチ。ジェームズ・マカヴォイ。リース・ウィザースプーン。ピーター・ディンクレイジ。

社交界でも注目を浴びる名家・ウィルハーン家に、ブタの鼻と耳を持ったペネロピが生まれる。娘をマスコミや世間から守るため、両親はペネロピを死んだ事に。こうして彼女は、屋敷の中だけで生きてきた。先祖の悪行によって一族にかけられた呪いを解く方法は、ただ一つ。ウィルハーン家の“仲間”、つまり名家の人間にありのままの彼女を愛してもらうしかない。だが7年もお見合いを繰り返しているのに、彼女の顔を見ても逃げ帰らない男性は現れず…!?(goo映画より)

異形の者は幸せになれない。「シーザーハンズ」、「オペラ座の怪人」「キングコング」etc..。時代の暗部を敏感に反映したトリックスターの絶望は深い。かろうじて救いを迎えるのは「エレファント・マン」」くらいか。ところが、異形の女性の運命は必ずしも悲劇的であってはならないのだ。なぜならば、女性とは希望の象徴だと思われているからか。

ブタ鼻の女の子。こんな恐ろしい呪いはまるでグリム童話かなにかの世界だ。シンデレラも顔負けの残酷な運命。会った男たちはみなたたりをおそれて逃げ出す。ところがたで食う虫も好きずき。女の子に関心を持つ者が現れる。当然ながら、美男子である。なぜ彼が彼女を好きになるのかは今ひとつわからない。姿を見ないままに、戯れたからか。でも、大切なのは女の子がこの出会いから自分も好かれる存在かもしれないと気づくことだ。呪いを解くことはかなわないが、新しい環境で生きてみようかと思い出すのだ。自分への信頼の萌芽。ドリームカムツルー。

ブタ鼻であろうとなかろうと、私は私でいい。変わることも媚びることもないんだ。そう得心した瞬間、すべて呪い(コンプレックス)は退散するのだ。なんというポジティブなメッセージか。あまりにもシンプルだが。茶化しているのじゃなく、こういう前向きな生き方が嫌いじゃない。

ブタ鼻の女の子がメーンテーマなら、片眼の小柄なトップ屋おやじがサブテーマである。彼は虚栄の裏側を暴露しようと傷を負う。このため、偽善者と組んでブタ鼻の女の子の正体をつかもうとする。しかし、女の子が覚悟を決めてからはむしろ女の子の応援団に変わる。なぜなら、彼もまた呪いをかけられた存在であったからだろう。潔く生きようとする女の子は彼自身のあるべき姿でもあるのだ。かっこいいぞ。

ブタ鼻であっても、クリスチーナ・リッチはかわいい。むしろ、キューティブロンドのリース・ウィザースプーン以上だ。ファッションも楽しめる。覆面姿でビールをストローで飲むなんて、ファンキーだぜ。

考えてみれば、みんな一つ二つは呪いをかけられて生きているのではないだろうか。くじけてなんか、いられない。

ペネロピ - goo 映画
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2008/03/16

ノーカントリー

ノーカントリー
アメリカがよくわかる映画だ。
ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン 監督・脚本。トミー・リー・ジョーンズ 、ハビエル・バルデム 、ジョシュ・ブローリン 、ケリー・マクドナルド。

第80回アカデミー賞作品賞・監督賞・助演男優賞など8部門受賞。原作はコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」だそうだ。

メキシコ国境に近い砂漠でハンティング中に、偶然、死体の山に出くわしたルウェリン・モスは、大量のヘロインと現金200万ドルが残されているのを見つける。危険を承知で大金を奪ったモスに、すぐさま追っ手がかかる。必死の逃亡を図るモスを確実に追い詰めて行くのは非情の殺し屋アントン・シガー。そしてもう一人、厄介な事件に巻き込まれたモスを救うべく老保安官エド・トム・ベルが追跡を始めるのだった。(映画gooより)

さて、頭痛がひどいのですが、作業療法代わりに今春一番の話題作を見ることにしました。それにしても怖い映画でした。エアガンで人間の頭を打ち抜く冷徹な殺人マシーンは人間にはどうにもなりませんね。それでも運命に逆らうように、大金を奪った男は徹底的に逃げようとし、わけのわからない犯罪が増えたと嘆きながら、老保安官は追跡をやめません。(まさに「追跡者」だ)。言ってみれば、死は運命のようなものです、この映画では。それでも、なにかをしようとするのが人間です。だから、死に神を間に挟み、逃げる者は徹底的に逃げ、追う者は追い続けるのです。当然ながら、運命を変えることはできません。それでも、人間の抵抗の前で、死に神もまた運命を狂わされるのです。ほんの少しだけれど。

個人的には本来の主人公である老保安官にもう少しがんばってもらいたかった。つまり、いくぶんか評論家になりすぎて、語りすぎているのですね。老人にはもうまともな国なんかないぜ、と言ったって、あなたもまた同時代人であるのですから。逃げる人間と追う人間がどこかで結び会えば、殺人マシーンだって、退散するかもしれないのに。

いずれにしろ、アメリカにはベトナム戦争以来、殺人の風土ができあがってしまったということでしょうか。大金を持ち逃げしたモスはベトナムに2度出征した帰還兵だというのが、象徴的です。年齢は不明ですが、シガーがベトナム戦争と無関係に機械のようなルールを持った殺人者になれるとは思えません。

そして、このクライム・フィルムの根幹にあるのは「麻薬とマフィアと汚れた大金」です。そして、富と貧困の格差と銃社会です。これが1980年代のアメリカであるという過去形で、私たちが語ることを禁じられているとすれば、私たちもまた殺人マシーンに追われているのかもしれません。

ノーカントリー - goo 映画
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2008/03/10

ダージリン急行

ダージリン急行
ウェス・アンダーソン監督。オーウェン・ウィルソン。エイドリアン・ブロディ。ジェイソン・シュワルツマン。アンジェリカ・ヒューストン。ナタリー・ポートマン。

いいね。この色。行ったことないけど、インドだね。青い空、人の息づかいが伝わる市場、そして黄土色の大地。そして、いかれた3人兄弟のマジカルミステリーツアー。一応、母を訪ねる心の旅だけれど、そう簡単にはおさまらない。それでも、家族愛はインド亜大陸の混沌の中に浮かび上がる。傑作だ。

ヴイトンのバッグみたいなおそろいの旅行セットを持つホイットマン3兄弟。おそらく超一流のお金持ちブラザーズだ。交通事故での父の死から離ればなれになっていたが、長年の呼びかけでインドのダージリン急行の旅に集合したのだ。だが、横柄な兄フランシス、調子のいい弟ピーター、内向的(でも恋愛は早い)な末弟ジャックの仲は簡単には戻らない。そんな単色のいがみあいを美しい家族愛に染め上げるのはインドの大地だ。あほなことを続けるうちに、いつしか3人の心は通じ合っていく。そして、父の死に姿を見せなかった母親に会って、一族の胸につかえたわだかまりは氷解するのか。

ロードムービーだ。みんなスティグマ(傷)をかかえている。おたがいにその傷口に塩をなすりつけるのだが、それによってスティグマは静かに消えていく。ヒンズーの世界観をよく知るわけではないし、この3バカがそれを理解しているはずもないが、一種のレットイットビーなのだ。小賢しい知恵などなんの役にも立たない。でも、大地に生まれた人が大地に還る。インドの大地と水と人はしみじみ沁みてくる。

ダージリン急行のまじめな車掌、魅力的なライム娘の美女リタをはじめとした同行者たちは3兄弟の混乱を映す鏡だ。そして、冒頭の短編「ホテル・シュヴァリエ」に登場する青あざの女を演じるナタリー・ポートマンも印象的だ。全裸です。最近よく脱いでますね。

一番印象に残るのは走るシーンだ。タクシーを飛ばしてきた紳士が「あの列車だ」と言ってホームに行くが、列車はすでに動き出している。なんとか飛び乗ろうとするが、追いつかない。すると、後ろから背高のっぽの男がフル回転でやってくる。足が長いのか走るのが速いのか。あきらめた紳士を尻目に、男は見事に列車に飛び込む。その列車がダージリン急行だ。そしてラスト。3バカ兄弟がバッグを手に列車を追いかける。重いセレブの荷物を捨てて、ようやく飛び乗った3人の解放された笑顔。いい終わり方だ。別にインドが心の迷いを洗い流すなんて思わないが、それでもイインドだ。

ダージリン急行 - goo 映画
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2008/03/09

クロサギ

クロサギ
石井康晴監督。山下智久。堀北真希。加藤浩次。市川由衣。大地真央。竹中直人。哀川翔。山崎努。

原作は少年雑誌連載漫画。黒丸・原作、夏原武・原案。

詐欺師(シロサギ、アカサギ)をだます詐欺師をクロサギというのだそうだ。初耳です。

かつて詐欺師のために家族を失った青年・黒崎は復讐を果たすべくクロサギとなった。家族のかたきである御木本を追っているが、情報源としているフィクサーの桂木から、詐欺被害にあったレイコを紹介され、新たなターゲットを告げられる。贈答詐欺を生業としているが、手形にからんだ大型犯罪を手がけている石垣である。ITベンチャーの社長やPC販売員として石垣に近づくが、電子マネーによる罠をかけたところ、石垣の子分がやくざに殺されてしまう。殺人に間接的に関わったことにショックを受けるが、石垣を追いつめる気持ちに変わりはない。一方、身辺には警視庁の知能犯担当の刑事・神志名の影もちらつき始める。高飛びを謀る石垣を追いつめられるか。

テレビの人気ドラマを映画化したらしい。アイドルの山下智久主演ということで、なかなか格好いい青年だし、テレビで宣伝しているので期待して見たが、見事に裏切られた。フィルムノワールのつもりだろうが、なにからなにまで中途半端。花もなければ嵐もない、ましてや身も蓋もないのだ。薄暗い画面は陰気なだけで、逆光の中に浮かび上がるような情念の輝きのようなものは感じられない。困っちゃったな、ホント。

テーマにあるシェークスピア。ブルータス、おまえもか。新劇のようなセリフがなんどもなんども出てくる。若者たちの芝居まである(実際には演じられないが)。だけど、信じていたものに裏切られるというモチーフ。きちんと整理されていないから、それは桂木と石垣の関係か、桂木と黒崎の関係か、はたまたサムワンエルスなのか、よくわからない。人間は影か。そうだけど、それゆえに行動が問われるはずだ。悩める黒崎、それもいいけど、じれったい。

黒崎をいぶかしく思いながらも彼を慕っている氷柱の関係も、ぜんぜんだめだ。二人の間の心の通い合いは中途半端で、単なる隣人か! みたいな腹立たしさを覚えるほどだ。悩める黒崎がサインを見せない以上、名前=名字も覚えられないのも仕方がない。ヒーローとヒロインであるはずの二人のうそ寒さは見てられない。堀北真希。なんだか出ているだけという感じだ。

詐欺師をだます詐欺師の超絶技巧を期待してみているが、学芸会レベルの引っかけしか出てこない。歴戦の詐欺師がちょっと変装しただけのIT社長とPC営業マンを見分けられないなんてのは、まずあり得ない。少なくとも人を信頼させてだます人間が一番見るのは相手の目であり表情のはずだ。電子マネーカードの話でいきなり、2億円をマネーロンダリングする奴は死んでも仕方がない馬鹿だろう。納入品のパソコン箱がからっぽなんてのは詐欺どころか単純な犯罪だ。

アイドルの山下智久を支えるために山崎努や竹中直人らの芸達者がそろっているのだろうが、演技が勝手に空転して、真っ正面から絡んでいるようには見えない。期待の山下智久は格好いい青年であることは間違いないが、私の目にはオーラが映らない。シェークスピアなんて大時代的なエピソードを持ち出さず、アイドル映画として単純明快につくったほうがはるかに面白かったはずだ。なんで、そうしないのだろう。芝居の中で、急に場違いなアイドルの歌が流れるのも、なんだか不自然だ。

黒崎=山下智久と氷柱=堀北真希。生き方の違う二人がどう青春をシンクロさせるか。それをメーンテーマにしたアイドル映画にするね、ワシなら。そして、クロサギというブラックな生き方の宿命を桂木=山崎努と黒崎の擬似親子関係として映し出して、サブテーマとしてアイドル二人を遅う障害とする。後は、2つのテーマに絡めたエピソードとしてつなげていく。

山下君、いい素材なのに、もったいないなあ。明快な脚本、演出による次回作に期待したい。


映画 クロサギ - goo 映画
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2008/03/08

バンテージ・ポイント

バンテージ・ポイント
しつこいが、面白い。
ピート・トラビス監督。デニス・クエイド。フォレスト・ウィティカー。シガーニー・ウィーバー。ウィリアム・ハート。

国際テロ対策会議が開かれていたスペイン・サラマンカ。マヨール広場でアシュトン米大統領が演説しようとしたところ、何者かによって放たれた2発の銃弾によって狙撃されてしまう。混乱が収まらぬうちに、今度は演壇が爆破されて多くの市民が死傷するテロが起こった。1年前に大統領を守って狙撃されたシークレットサービスのトーマス・バーンズにとっては復帰した早々の大事件だ。警察官を名乗る怪しい男を押さえたが逃げられてしまう。だが、アメリカ人旅行者やテレビクルーの目撃者らによって真相に迫っていく。

追跡者は手負いのシークレット・サービスのトーマス・バーンズ。その導き手になるのは大統領狙撃を目撃者した8人だ。

1:シークレット・サービスの同僚のテイラー。動きが怪しい。
2:アメリカ人旅行者のハワード。ソニーのビデオをかかえた好奇心おじさんだ。
3:女性TVプロデューサーのレックス。反米デモや政府批判のコメントはカットするごりごり仕事人だ。
4:スペイン警察の覆面警察官のエンリケ。女に弱いが正義感がないわけではない。
5:謎のモロッコ人のスアレス。ハワードに近づくが胡散臭い。
6:スペイン美人のベロニカ。男を手玉にとるタイプ。
7:弟を捕らわれたスナイパーのハビエル。悲劇の影がつきまとう。
8:狙撃される大統領のアシュトン。調子のいいおっさんだが、意外に人情家でしぶといかも。

映画は時間を巻き戻し、場所を移して、各人の目で見えた事件を映し出しつつ、その焦点の合わさったところに、恐るべき事実を浮かび上がらせる。テンポはすこぶる軽快。カー・チェイスやアクションも小気味いい。そして、関係者が勢揃いするクライマックス。このできすぎた一族再会は「ほんとにそうなるのかよお」とチャチャを入れたくなるが、それでも見事にフィニッシュが決まった感じだ。90分一本勝負だ。

バンテージ・ポイントとはアドバンテージ・ポイント。
それにしても、戦争とテロの誘発者であるアメリカに対するヨーロッパと周辺の民衆の反米感情、テロのネットワークの根の深さがよくわかる映画でもある。

大統領が助かるのは一人の女の子のおかげであるが、元はと言えばテロリストが女の子を助けようとしたからである。なんだか、カミユの描いたロシア帝政と戦った民衆武装派、無関係の者、とりわけ子どもを、巻き込んではならないというテロリズムの倫理主義を思い出してしまった。現代のテロリストにもその心はあってほしいというメッセージだろうか。

一方で、替え玉に対して、ワシにぜんぜん似とらんぞ、ちぇっつ、などと文句をたれるこの調子者の米大統領はモロッコ空爆を進言する側近のネオコン(スナイパーに撃たれてしまうのだけれど)に対して、「テロにはテロで報いてはならん」なんて、意外に立派なことを言うのである。それもいい。

バンテージ・ポイント - goo 映画
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2008/03/03

ジャーマン+雨

ジャーマン+雨
横浜聡子監督。野嵜好美。藤岡涼音。ペーター・ハイマン。ひさうちみちお。

よし子が町にやってきた!
ゴリラ顔、強引、わがまま、天涯孤独。――林よし子、16歳。ぼろい平屋にひとりで住んでいて、学校にも行かない。美人でもないし、人から愛されるキャラでももちろんない。他人から見れば不幸そのもの?どっこいよし子はうつむかない。仕事は植木職人の見習い。毎日ののしられ、棟梁には殴られる。どっこいよし子は今日も叫ぶ。「アリンコども散れ!」よし子の夢は歌手になること。歌はすべてがオリジナル。たて笛で作曲するよし子は、近所のガキども相手にたて笛教室を始める。生徒は3人。曲ネタは、まわりの人間たち一人一人のトラウマだ!
田舎町、ぼっとん便所、四葉のクローバー、女になりたい小学生、病院で眠るダンゴ虫、やり手の女子高生、汲み取り屋の変態オヤジ、本気のドッジボール、ドイツ人・・・。すべてを突き抜けて、今日もよし子が町を駆け抜ける!(公式ホームページより)

「ジャーマン+雨」は傑作なので、必見です! とのメールをもらっていた。仕事が早めに終わったので、午後6時からの上映にかけつけた。眠いと言っていたおばちゃんもいたが、なかなかいい。

それにしても、おもろいキャラのヒロインが誕生したものだ。横浜聡子監督。まだ若い人らしいが、やるな。主人公の女の子・野嵜好美も型破りの存在感がある。

なんだかコントもどきのぎこちない映像が続くが、だんだん愛がにじみだしてくる。そして、病院のだんご虫殺人未遂の後に、よし子は放火魔の植木屋のドイツ青年の前で、「ジャーマン+雨」を熱唱する。

血と水の弁証法。自分の血をドラキュラにささげ、火を消し世界を潤す。ドイツ小僧が言う。「のどの奥に小さな黒人がいるね」って。そう、よし子はゴリラマンだけどソウルフルに世界を自分の手に入れようともがいているんだ。映画作品と同じく、主人公も、まだ途方もなく未熟だけれど。

そして、これは家族の愛の物語である。だんご虫の父を殺す思いは自分を殺す思いでもある。まさに「死ぬか、死なないか、どちらか」なのだ。それでも、ドッボーンと肥だめに落下して、臭いけれど生き延びる。いいじゃないか。

絶望なんか、たて笛で吹き飛ばせる!

ジャーマン+雨 - goo 映画
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2008/03/02

ラスト、コーション

ラスト、コーション
アン・リー監督。トニー・レオン。タン・ウェイ。ワン・リーホン。ジョアン・チェン。

「アイス・ストーム」「グリーン・デスティニー」「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督の問題作だ。

1942年、日本軍占領下の上海。日本の傀儡とされる・汪兆銘政権の特務機関のトップであるイーは、香港で出会ったマイ夫人(ワン)と再会を果たした。だが、ワンが香港でイーに近づいたのは、抗日に燃える演劇仲間たちとともに、イーを暗殺しようと狙っていたためだった。再会はイー暗殺計画の再発動にほかならなかった。今度は学生ではなく、反日の国民党機関が関与していた。ワンはイーの家に身を寄せたが、ワンの美しさに心を奪われたイーは燃え上がる情熱をぶつけ始める。あくまでも、イーをスパイするはずのワンだったが、心は次第に揺れ始める……。禁断の愛の行方には残酷な結末が待っている。

実質的に二番館扱いでの上映を見ました。わずか60席の狭い場内は最前列を除いて、びっちり埋まっています。年配のおじいさん系が多いのはエロス映画をやっているときのマリオン劇場に似ています。やはり評判のセックス描写への関心が高いのか。もっとも、ワシも人のことは言えないが。先に見た人によれば「トニーとタンはきっと本番をやっていますよ」というが、ワシは経験が少ないので判断はつかない。でも、体位というのかアクロバティックな熱演が、役名どおり「イー」「ワン」という感じを与えていることも確かだ。もっとも、狭い劇場内では笑ったり突っ込みを入れることも不自由ですし、体をだらだら揺することも難しい。2時間半を超える大作を、直立不動モードで見ることは結構、つらかった。

「ラスト、コーション」。意味わかりません「最終、警告」みたいな感じではないかと思いました。しかし、漢字では「色、戒」と書いてあります。アルファベットを見ると、「lust caution」とある。ありゃ、last=最後じゃないんだ。字引を見ると「過度の性欲、肉欲」「警告、注意」となりますね。イーは親日派が劣勢になる中でだれも信用できないという不安を心の底に抱いているので、快楽に走るのはわからないわけではありません。これに対し、ワンは暗殺のための道具という自覚の上で愛人を務めているわけですが、決意に反して体は愛欲におぼれていきます。それというのも、イーの死を意識した激烈なセックスがワンを見せかけの愛情レベルにはとどめず、愛の嵐の中に巻き込んで翻弄してしまうのです。セックスの力はすごい。ワンの最後の行動をバカと言うべきなのかどうか、わかりませんが。
(追記:last caution と勘違いしていた自分としては、ラストの3つ。イーを助けるワンのひとこと、銃殺される直前のワンとレジスタンス青年クァンの視線の絡まり、すべてが崩壊していくことを予感しているイーの表情。その3つのラストに要注意=コーションという気もしますね)

傑作の声を多数聞きますが、ワシ的には「ブロークバック・マウンテン」のほうが衝撃的でしたよ。

この映画の背景にあるのは「汪兆銘・傀儡政権」です。この人物が持つ歴史的な位置づけは中国国民党・中国共産党の双方から「日本の犬」となるようで、彼にはもう少しインターナショナルな視点もあったのだと思いますが、人民の意識とは乖離していたことはよくわかります。彼を利用した日本軍国主義は、名画の上演中に割り込み宣伝ニュースの中で東条英機がアジテーションし、アジアをアジア人の手にと、<アジア解放>を叫びますが、住民にはそっぽを向かれます。また、お座敷でのんびり三味線で芸者が歌い踊っているのを聞き、傀儡の手先であるイーですら、「アメリカが参戦し、日本が負けてしまうのに、まだ調子はずれの歌を歌っている」と嘆きます。日本人の一人として、こうした姿はなんとも心痛いものがあります。侵略なんて、やったっていいことありません。

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2008/03/01

ジャンパー

ジャンパー
ダグ・リーマン監督。ヘイデン・クリステンセン。サミュエル・L・ジャクソン。ジェイミー・ベル。ダイアン・レイン。レイチェル・ビルソン。
一瞬のうちに行きたいところへジャンプする超能力を持つデヴィッドのタフな姿を描く。ダーティー・ヒーロー・アクションと言えよう。

デヴィッドは、さえない普通の高校生だ。好きな女の子に告白しようにも、ワルにいじめられる。だが、凍った川に落ちたとき、瞬間移動の能力に目覚める。そして、眠っていた欲望も動きだす。母が失踪してから冷たくなった父と離れ、銀行に侵入して大金をせしめ、享楽に溺れていく。だが、テレポーテーションの超能力を持つデヴィッドを追いつめようとする組織が姿を見せ始めた。彼らは魔女狩りをも行っていた由来を持つパラディンというグループだった。

スピーディなカメラワークによってジャンパーの瞬間移動がめまぐるしく描き出される。ロンドン、ニューヨーク。ローマ、エジプト、東京……。さながら、世界名所めぐりもビックリの全面ロケ展開だ。特に、ローマのコロセウムでのジャンパー対パラディンの激闘は迫力満点、東京ナイト・レースもにぎやかだ。

物語は最近よくあることだが、これもまた1作では完結していない。ジャンパー対パラディンの戦いはまだ終わっていない。ジャンパー同士で確執も生まれた。さらに、デヴィッドの母親は5歳の時に姿を消したが、その理由はデヴィッドがジャンパーであることがわかったからだった。なぜなら、彼女はパラディンの一族だったのだ。これだけではないが、続編ありの作品ってのは本来は反則だと、ちょっと思う。

主人公のヘイデン・クリステンセン。「スター・ウォーズ」のアナキンは相変わらず端正ないい男だ。線の細さも、本作のデヴィッドはぴったりか。正義のヒーローじゃなく、自堕落なはみ出し者というのもユニークだ。「マトリックス」と「ボーン・アイデンティティー」、それに、<バンパイア>と<狼男族・ライカン>の戦いを描いた「アンダーワールド」にもテイストが似ていようか。

ジャンパー - goo 映画
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ライラの冒険 黄金の羅針盤

ライラの冒険黄金の羅針盤
クリス・ワイツ監督。ダコタ・ブルー・リチャーズ。ニコール・キッドマン。サム・エリオット。エヴァ・グリーン。ダニエル・クレイグ。

英国に住む少女ライラ・ベラクア。だが、そこは地球上ではなく、もう一つの世界だった。そこでは、人間の魂は守護霊として動物の形をして存在していた。そんなライラの周りで事件が起きる。子供たちが「ゴブラー」に誘拐されるのだ。親友ロジャーも姿を消した。その真相に迫ろうとしたとき、彼女の冒険が始まる。手にするのは真実を明らかにする黄金羅針盤。一緒に行くのはジプシーの一族と、守護霊のパンタライモン、そして、魔女セラフィナ・ベカーラと気球乗りのリー・スコーズビーとよろいクマのイオレク・バーニソンだ。背後で陰謀をめぐらし人間を支配しようとする宗教権力者たち、そしてなぞの女性コールター夫人。戦いと冒険はまず北極へと針路を向けるのだった。

またしても少年ファンタジーだ。短い映画好きにはちょうどいい長さだ。でも、なんだかいよいよ戦いが本格的に始まるぞ、なぞが明らかになるぞ、というところで、すべて終わりました。どうなってるねん。早く続編やれよ、第3部までひっぱるなよ、という気分が鬱積したまま終わります。これはいかん。原作はフィリップ・ブルマン「黄金の羅針盤」3部作だそうで、本編はその第1部らしい。

本作の見どころは、王位決定戦で敗れ、みじめな修理クマとして鮭ならぬ酒をえさに人間に飼い殺しにされていたよろいクマを立ち直らせて、立派なボディガードとして再生させるところでしょうか。もちろん、魔女とジプシー軍団による戦闘シーンもありますが、中心はよろいクマです。守護霊のパンタライモンはまだ形がきまっていないので変化しますが、ご主人様に匹敵するようなキャラには育っていませんね。

単独で北極に向かった叔父のアスリエル卿をダニエル・クレイグが演じていますが、いささかまともで007らしくないと映りました。15000人から選ばれた13歳のダコタちゃんはさすがに磨けば光る才能と個性を持っているようですが、個人的にはビビビとは来ません。幼さと女っぽさの二重性が欲しい役どころだと思いますが、ちょっと物足りない。

「ハリー・ポッター」の魔法と同様、ここでは「羅針盤」が超越的な力を発揮します。守護霊=ダイモンとか、魔女とか、出生の秘密とか、選ばれた少女とか、例によって子供たちにウケるアイテムをふんだんにちりばめて物語は進行します。映像はやはりファンタジーですから楽しめます。そこそこおもしろいけれど、訴えるものが少ない。そんな印象です。

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2008/02/25

ラジー賞はリンジー総なめ

さて、表のアカデミー賞に対する裏が、ゴールデン・ラジー賞だ。しゃれ好きなアメリカ人の考えそうなことだ。

その2007年最悪ハリウッド映画は23日発表された。最低主演男優賞にエディ・マーフィ、最低主演女優賞にはリンジー・ローハンが選ばれた。エディは「マッド・ファット・ワイフ」に出演。リンジー・ローハンは「I know who killed me」での受賞。なんでも二役分受賞という。さらにリンジー映画は最低作品賞をも押さえ、圧倒的強さを見せたらしい。

エディはあのくさい演技が嫌われたのか。作品はヒットしたそうなので、やっかみもあるかもしれない。一方のリンジー・ローハンはかわいいだけじゃダメという厳しい評価が底流にありそうだ。巨匠ロバート・アルトマンの最後の作品「今宵、フィッツジェラルド劇場で」で若い女優として期待されていただけに残念なことだ。

もっとも本人はパリス・ヒルトンなんかと同じで、逮捕されてもなんじゃらほいの勘違いセレブ系の道(実は王道?)を歩んでいて、まったく痛痒を感じていないのだろうな、きっと。

goo映画ニュースへ
http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFE200802250006/index.html

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米アカデミー賞はコーエン兄弟強し

米アカデミー賞はコーエン兄弟
米国の第80回アカデミー賞が25日発表された。
第1番の衣装デザイン賞は、「エリザベス ゴールデン・エイジ」のアレクサンドラ・バーンが受賞した。ケイト・ブランシェットが見事に英国王室の華麗なクラシックなコスチュームを披露した映画だけに、当然というべきか。

日本に続いて米国でも観賞に油断が響いている。「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」「レミーのおいしいレストラン」「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」「ヒトラーの贋札」などは、未見のままだ。これは反省!

音楽賞・歌曲に「Onceダブリンの街角で」。これも当然か。音響と音響編集賞は「ボーン・アルティメイタム」。あの息をもつかせぬ緊迫感とスピード感あふれる映像と音響はとてもよかった。

監督賞、作品賞はコーエン兄弟の「ノーカントリー」。これはまもなく公開になる。「ファーゴ」「ビック・リボウスキ」など日常の落とし穴を見事に描いてきているだけに楽しみだ。

第80回米アカデミー賞特集はこちら。
http://movie.goo.ne.jp/special/oscar/index.html

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2008/02/24

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る
ジュリアン・シュナーベル監督。マチュー・アマルリック。エマニュエル・セニエ。マリ=ジョゼ・クローズ。

アカデミー賞監督、脚色、撮影、編集賞にノミネートとのこと。監督はポップな天才画家の生涯を描いた「バスキア」も作っている。

主人公はELLE編集長だったジャン=ドミニク・ボビー。42歳のある日、突然脳梗塞で倒れる。体は動かなくなる。唯一、動いたのは左目、そのまばたきでコミュニケーションをとる。

まばたきが生み出す人生の賛歌。想像力と記憶があれば、重い潜水服を脱いで自由な蝶が羽化する。

本作ではありがちな美談となる道は選ばれていない。妻は子どもたちの母親でしかなく、愛人との恋電話を妻が取り次ぐというドロドロの葛藤もある。そして、主人公はすぐに怒るし、へそ曲がりでもある。

カメラは主人公の感情を、すなわち喜怒哀楽を見事に伝える。左目に映る言語療法士をはじめとした女性たちはみな美しく、セクシーなのは決して偶然ではないだろう。そして、執念の物語を上梓してまもなくの死も主人公の目線から描かれる。よくわからんが、撮影賞でいいんじゃないだろうか。

フランス語のアルファベット。使われる順に読んで文字を教えさせる。いろいろ勉強になった。

人間は単純じゃない。崇高でもない。だけど、決してつまらない人生なんてないんだ、と思わされる。

潜水服は蝶の夢を見る - goo 映画
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2008/02/23

俺たちフィギュアスケーター

俺たちフィギュアスケーター
ウィル・スペック&ジョシュ・ゴードン監督。ウィル・フェレル。ジョン・ヘダー。ウィル・アーネット。エイミー・ポーラー。

男と男もいいですなあ。なんて言ってちゃだめか。

シングルでのトラブルでフィギュアスケート界を永久追放されてしまったチャズ・マイケルズとジミー・マッケルロイ。犬猿の仲の二人だったが、不遇をかこつ二人に再起をかけたアイデアが持ち込まれる。それは、史上初の男子ペア・フィギュアチームだ。「空白の1日」もびっくりの規約の盲点を突いたトリッキーな作戦だ。しかし、鬼コーチの夢は幻の大技を決めさせて金メダルを取ることだ。下手をすれば、クビが飛ぶ。冗談じゃなく、本物のクビが! そこはショービズにつながる世界、邪魔も入ります。双子ペアの悪役チームも加わって、てんやわんや。ほのかな恋とワイルドな雄叫びもあって、氷の上を熱く燃えさせます。

男子コンビならではの臭い技や痛い技もふんだんに。それにしても掟破りの新世界の到来です。これを見れば、トリプルアクセルなどと言っている女子ソロなんか、甘いと言うのは失礼か。これからは男子ペアスケートの時代が来るぞ! って言いたくなるような痛快映画でした。

それにしても日本語のインタビューがモントリオールに飛び出したり、韓国の国旗が表彰台に揚がったり、結構、アジア向けサービスがあるのも今風か。おばかだし、ありえな~い。けど、あってほしいドラマチックさです。よし!

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2008/02/17

母べえ(かあべえ)

母べえ
山田洋次監督。吉永小百合。浅野忠信。檀れい。坂東三津五郎。笑福亭鶴瓶。志田未来。佐藤未来。

昭和15年の東京。日本は戦争に向かってまさまさ暗い坂道をころげ落ちつつあった。野上家は小さなテーブルを囲み、お互いの名前の下に「べえ」を付けて呼び合っていた。だが、ドイツ文学者の父の滋は戦争反対を唱えたことから治安維持法容疑で拘束されてしまう。母の佳代は2人の娘、初子と照美を抱えながら、懸命に生きていく以外になかった。転向を拒む父は牢獄から出ることができない。そんな中、父の教え子の山崎や父の妹の久子、奈良のおじさんらが佳代の心の支えになるのだった。だが、昭和16年の日米開戦とともに、生活はいっそう厳しくなる。滋は獄死し、山崎もまた召集されてしまう。

原作は黒澤明監督作品のスクリプターをつとめた野上照代の自伝小説。吉永小百合が知識人の妻を全力で演じている。当時の特高警察の非道、大衆意識の国策への収斂という事態を、作品は静かな怒りを込めて描き出している。そして、愛する人たちがすべて奪われていく中で、懸命に生きる母の姿と無言の叫びを拾い上げている。山田監督は、自由にものを言えなくなった社会がいかに人間に非行を及ぼすか、訴えかけている。

一種の傾向映画としての狭さを超えるのは、笑福亭鶴瓶の演じた奈良のおじさんである。おじさんは思想については何も理解していないが、人間の生命の自然過程に忠実である。若い女の子が自分を美しく装おおうとすることの何が悪いのか。ぜいたくは敵だ、などと無内容な倫理を押しつける愛国婦人会や官憲に対して、断固として反対する。この逸脱するマレビトこそ、フーテンの寅さんと良く似ている。山田監督が広く受け入れられる理由も、こうした人間造形にあるように思える。

吉永小百合は若々しい。浅野忠信はいつもとずいぶん違う真面目で不器用な役だ。それがいいかどうかは微妙だが、決して悪くはない。本作が映画として面白いかどうかも微妙だが、良い映画であることは間違いない。

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フライボーイズ

フライボーイズ
トニー・ビル監督。ジェームズ・フランコ、ジャン・レノ、マーティン・ヘンダーソン、フィリップ・ウィンチェスター、アブダル・サリス 。

第一次世界大戦中のフランス。アメリから若者たちが志願兵としてやってきた。彼らはルノー大佐の下、ラファイエット戦闘隊に迎えられる。だが、パイロットたちの命は3週間から6週間だ。過酷な訓練と運命の前に、はみ出し者たちの部隊は次第に成長していく。その一人ローリングスは、牧場を銀行に奪われ、ヨーロッパに渡ってきた。農家の娘ルシエンヌと恋仲になり、大切なものを発見する。一方、古株のパイロット、キャシディは命を奪われた仲間の恨みを果たすべくドイツ軍飛行隊と戦い続けていた。彼らに平穏は訪れるのか。

本作。一応のストーリーはありますが、まあ、ありがちな話です。やはり、総製作費70億円というお金をかけただけに、まだプロペラ機が主役だった第一次世界大戦の空中戦が見どころでしょう。さすがに、複葉機に機関銃をつけた空中戦はなんだか西部劇のようです。特に敵役の撃墜王との一騎打ちはチャンバラ映画の決闘シーンのようでもあります。ドイツと言えば飛行船。パリ空爆に向かう船団を急襲し、撃破する見せ場もあります。牧歌的な戦闘シーンですが、戦争の悲惨も忘れずに描いています。

主役のジェームズ・フランコは「スパイダーマン」でトビー・マグワイアの親友で敵役になる青年を演じていましたね。まずまずかな。もっとワイルドな感じの役のような気もしたが。ジャン・レノはこういう役はしないほうがいいのじゃないかという役がなんとなく多い。

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エリザベス ゴールデン・エイジ

エリザベスゴールデン・エイジ
シェカール・カプール監督。ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン、アビー・コーニッシュ、サマンサ・モートン。

初代エリザベス女王の物語。16世紀のイギリスはまだヨーロッパの最強国ではなかった。国内にはスコットランドのカトリック教徒を抱え、国外にはカトリックを盾に世界に覇権をうちたてていたスペインが攻撃のチャンスを狙っていた。25歳で即位したエリザベスは「バージン」として結婚も子も産まなかったが、国家と結婚していたも同然だった。

そんな折、エリザベスを狙った暗殺未遂事件が起きた。首謀者としてスコットランド女王メアリーが処刑された。それを口実にスペインのフェリペ2世は無敵艦隊を率いてテムズ川に迫ろうとしていた。エリザベスは馬に乗って前線の兵士を励ました。一方、彼女の寵愛を受けていた海賊あがりのローリー卿らは地の利を生かし捨て身の火炎船攻撃で迎え撃って、イングランドを守ろうとした。

言うまでもなく、イングランドはスペイン艦隊を破る。これによって、イングランドが守られたのみならず、イギリスは新大陸をはじめ世界の「バージニア」を手にすることになるのだ。エリザベスが覇権を手にするまでを描くと同時に、女としての彼女の葛藤がサブストーリーとして展開する。人間の母にはならないが、イギリス国民の母となるプライドを説得力豊かにで描きだす。

ケイト・ブランシェット。すでに10年ほど前に「エリザベス」で女王を演じている。本作は国家と結婚したエリザベスの黄金期編とでも言うべきだ。彼女は美人であるが、どこか違う。悪い言い方だが、どこか死者顔である。それが、16世紀の女王を演じると、見事にその世界に行ってしまう。役者としての優越性というべきか。

余談だが、最初の「エリザベス」の時の恋人はしなやかなジョセフ・ファインズが演じていたはず。ファインズは「恋に落ちたシェイクスピア」でグイネス・パルトロウとも恋役だった。 今回のクライヴ・オーウェンはかなり男臭い。側近役のジェフリー・ラッシュも前作に引き続きの出演だ。エリザベスの分身のベスをアビー・コーニッシュが演じている。ほかの作品を見ていなかった