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2013/07/02

工藤正廣版「ドクトル・ジヴァゴ」ついに完訳 祝う会

ボリース・パステルナーク著、工藤正廣訳「ドクトル・ジヴァゴ」(未知谷、本体価格8000円)の刊行を記念したつどいが6月29日に、札幌市内のホテルで開かれた。

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工藤版、ドクトル・ジヴァゴはロシア文学・研究の第一人者である北大名誉教授の工藤正廣さんが40年の歳月をかけて、日本で初めて完訳を成し遂げたものである。その物語のスケールの大きさ、詩人・小説家のパステルナークの滋味あふれる文章(といっても工藤さんの豊かな日本語訳で知ったわけであるが)、登場人物と交錯する歴史の緊迫感など、語り尽くせぬ魅力にあふれた翻訳である。

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もちろん、頭のいい人なら小説を読んだだけでわかることだろうが、私どものような凡人にあっては誠に邪道であるが、デビッド・リーン監督、オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティ、ジェラルデン・チャップリン出演でアカデミー賞5部門を獲得した映画版「DOCTOR ZHiVAGO」を見ておくとよい。同一人物の長く複雑な名前と入り組んだ関係を覚えられなくても、映画を見ておくと、流れがよくわかるからだ。

400字詰め原稿用紙換算で1800枚、750ページに及ぶ大冊は、読む者にもそれなりの覚悟がいることだ。

さて、同書が幾多の困難を乗り越えて出版されたことを喜ぶつどいは、同書の購入者を中心に有志で開かれた。会場には高名なロシア語研究者や文学者をはじめ多くの人たちが集まり、盛況であった。

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物語のヒロインである「ラーラ」は行方知れずとなるが、つどいではラーラもし生きてありせばかくならん、と託された女性から工藤さんへの花束贈呈もあり、少し場がなごんだことであった。

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古くからの読者なら覚えているだろうが、1960年代に翻訳され、圧倒的な驚きで読まれたロープシンの「蒼ざめた馬」「漆黒の馬」から、生まれ故郷津軽を遡行する作品群、そしてパステルナークに全体重をかけての挑戦を見るとき、工藤正廣という文学者の東北人らしい律儀で底知れぬエネルギーに感服させられることだ。

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