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2013/02/27

又井健太著「阿佐ヶ谷ラプソディ」(ハルキ文庫)を読む

札幌生まれの新進作家、又井健太さんの「阿佐ヶ谷ラプソディ」(ハルキ文庫、本体価格686円)を読む。

又井さんはブログやツイッターなどによると、1979年札幌生まれ。「実家で細々と文章書いてます」というが、その経歴たるや驚愕ものである。高校も大学もちょっとうなる学校を出ているのだが、行ったことのある国47カ国、経験したことのある仕事-書ききれないというか書きにくいというか行動力というかバイタリティーがすごい。「新小岩パラダイス」で第3回角川春樹小説賞受賞、そして今回上梓したのが「阿佐ヶ谷ラプソディ」である。ほかに「ホスト裏物語」「ザ・ドロップアウト」「アムステルダム裏の歩き方」「アジア沈没旅行」などがあるようだが、未見。

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本作は2月24日の道新ほん欄で阿部嘉昭北大大学院准教授が「ごちゃ混ぜの小説だ。…いきなりの書き下ろしで、ハルキ文庫への大盤振る舞いとなった」との書き出しで、「メッセージもストレートでじつに気持ちよかった」と締めており、ベタ誉めであったので、つい紀伊国屋に走って購入、一気読みした次第である。

内容は東京西部・阿佐ヶ谷を舞台に、そのマチに流れ着いたバーテン(店の名が「バー・ラプソディ」。たぶんに主人公は作者の分身かそれ以上)、それにネガティブ思考の高学歴ニート、さらに美女たちがマチを守るために知恵をあわせ、怪しげな疑似マルチ集団や再開発を画策する不動産会社と戦う物語だ。

ある意味で永遠の青春ドラマが展開されるのだが、最後には時空を超えた仕掛けも飛び出してくる。おもしろいというか、飛んでいるというか。確かに、問題意識と現代性をたっぷりと盛り込んでいる。力が入っている。たぶん、書きたいことがいっぱいあるから、混沌としているところが残っているが、どんどんおもしろい作品が増えていくような期待が募る。ついでながら、主人公の(といっても亡くなった親友の受け売りであるが)「命に別状ないから、問題あらへん」というキーワードは、なんだか普通なようで、深い。

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