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2012/09/10

「誰も知らなかったココ・シャネル」を読む

ハル・ヴォーン著、赤根洋子訳「誰も知らなかったココ・シャネル」(文藝春秋、本体価格1900円)を読む。

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すごい、最高に面白い、と評判なので、早速読んでみる。フランスというか世界のファッション・リーダー・ブランドの伝説的創設者ココ・シャネル。だが、彼女は「ナチスのスパイだった!」。

なんとも物騒な惹句であるが、しかし、著者はもともとアメリカでインテリジェントな活動を続けてきた-早い話がスパイ活動?-ので、情報戦の世界を読み抜くのはプロというジャーナリストだけに、あちこちに分散していた軍事裁判資料を読みあさり、そして、冷静に結論をくだす。「1941年、ガブリエル・シャネルは『エージェントF-7124』としてアプヴェーアの台帳に登録された。コードネームは『ウェストミンスター』だった」。

アプヴェーアはナチスのスパイ指導組織である。ウェストミンスターはイギリス国王の従弟のウェストミンスター公爵からつけられた。公爵はシャネルの極めて親しい友人であった。

シャネルは愛人のナチススパイの男性と、あるミッションも敢行していたことを突き止める。このあたりがすごい。戦後に戦犯の裁きから逃れたのにはイギリス首相チャーチルの力が関与していた。チャーチルもまた彼女の親しい友人であった。そして、シャネルNO.5の権利を持つユダヤ人実業家に助けられ、フランスを代表するデザイナーとして死の直前まで活躍した。

という具合に、ものすごいストーリーが冷静な筆致で語られていくのだ。シャネルがナチスのスパイであったことには批判的であるが、しかし、それ以上に真実を解明しようというエネルギーが本書にはあふれている。シャネルに贈られたレジスタンスの闘士で友人の詩人ルヴェルディの詩が最後に引用されていることでわかる。

罪を問われるにせよ/許されるにせよ/知っておいてほしい きみは愛されていると

歴史と人間の不思議な真実の物語である。

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