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2011/07/29

「失敗の本質」を読む

「失敗の本質 -日本軍の組織論的研究」(中公文庫、本体価格762円)を読む。著者は戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎の6氏。

大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することをねらいとした本書は、学際的な協同作業による、戦史の初の社会科学的分析である。(文庫オビより)

Sippai

失敗の事例として「ノモンハン事件-失敗の序曲」「ミッドウェー作戦 -海戦のターニング・ポイント」「ガタルカナル作戦 -陸戦のターニング・ポイント」「インパール作戦 -賭の失敗」「レイテ海戦 -自己認識の失敗」「沖縄戦 -終局段階での失敗」として6つのケースが研究されている。

米軍と比較してどこか弱かったのか。p338にまとめられている点を紹介する。まず戦略について5点。「目的が不明確」。ついで「短期決戦の戦略志向」、「帰納的な戦略策定」「総合戦略の欠如した狭い戦略オプション」「一点豪華主義の技術体系」。続いて組織論として4点。「集団主義=人的ネットワーク・プロセスの構造」「属人的=人間関係での統合」「(セカンド・オプションのない)シングル・ループの学習」「(結果よりも)動機・プロセスを重視する評価」。

つまり日本軍は、十分な情報活動に基づいた分析をせず、明確な獲得目標を組織的に共有化できないまま、人間関係や人情に基づいた指揮・指導体系によって、間違いを正すことができないまま敗退を重ねた-ということになろうか。学者的な書き方なので、あまり個人の悪口は書いていないが、俗な言い方をすると、ベンチがアホやから試合になりません、ということだろうか。

この問題は、顧みて現在はどうか。戦争組織の問題は経済組織の問題として、読み直されているのも特徴か。

非常に参考になる研究である。ただし、こうした研究は結局は軍事論であり、平和論と一体化した認識論とはなっていかないのはやむを得ないことであろうか。

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