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2011/07/15

予想どおり? の結果だった芥川賞

遅まきながら、第145回芥川賞・直木賞 の選考経過についての、現地特報班から会見メモが入ったのでアップしておく。今回は実質的に不参加であったが、とても参考になる報告である。

芸術(芥川)には震災の影響なし、生活(直木)には大いにあり、ということか?
2011年7月14日(木)第145回芥川・直木賞選考 メモ
◆発表:新喜楽

第145回芥川賞:なし/山田詠美委員
どれも過半数に及ばなかった。低かったのは水原涼さん。誰の○もなく最初に落ちた。
次に本谷さんも低かった。石田千さんも低かった。
戌井さん、円城さん、山崎ナオコーラさんが残った。興味深い意見もたくさん出た。
そして山崎さんも落ち、3回目の投票で戌井さん、円城さんで票がわかれ、低かった。
過半数に達しなかったものは受賞にならない。

質問:円城さんのダメなところを教えてください。
答え:圧倒的に彼を評価する人としない人とわかれた。認めるという人と認めないという人と。
芥川という範疇ではなくSFで読めば良いところもある、という人もいたし、そこをとりはずしたところで素晴らしいという人もいた。
が、「全然わからない」という人もいた。「難解な言葉が(自分とは)合わない」、という人もいた。
円城と戌井さんは全く同点でした。

水原さんに関しては「どうしてこういうことになったのかわからない」(というくらい評価が低い)

戌井さん「ぴんぞろ」真摯(しんし)に人を書いている。私だけが彼に○をつけた。
が、「どこかで読んだ小説」「こういう先行作家はいる」「既視感がある」という委員も。

本谷「自意識過剰の女の子が出てきて。比喩(ひゆ)がダメ。やりすぎ。小説とは根本的に違う」

質問:震災後というのが影響しましたか?
答え:芥川賞は即座に何が変わるということではない、ということ。
以前に落とした作品を考えるととても今回は出せませんでした。
今回候補になった人たちは、もっと素晴らしい作品を書ける人たちだと思います。

第145回直木賞:池井戸潤「下町ロケット」/伊集院静選考委員
最初の議論が時間がかかった。葉室さんも残ったが、池井戸、島本の2作で決選投票になりました。
「下町ロケット」が決まった。池井戸さんは「空飛ぶタイヤ」から一貫して姿勢を変えてない。
読後感が爽快。救済されるべき人がされる小説。
「人間が書けていない」とずっと言われてきたが、そういう意見に迎合して作風を変えずに、一貫しているのがいい。

高野和明さん「ジェノサイド」と辻村さん「オーダーメード殺人クラブ」は最初に落ちた。
高野さんは初めて挙がったということで…初めてでも良ければ賞を差し上げようという考えですが…
才能、腕力、それに時間をかけて制作していただいたことについては評価が高かった。
作品自体は良い。だが映画の原作みたいな、ハリウッドみたいな視覚的な感じがした。
子供の命がかかってるだとか時間的にリミットがある、とかいうところが。私はすごくいいと思ったが。

葉室さん「恋しぐれ」
俳句の使われ方の安易さ。借り物のように小説内で取り上げられてるのはちょっと…
今回は評価が△の人が多かった。○がいない。

島本理生(「アンダスタンド・メイビー」)は、「わからない」という人がいたんじゃないですかね(怒)
僕はいいと思いましたけどね(怒)
これをどうやって推そうかとずっと僕は考えてきたんですけど(怒)
文学は、苦悩や克服があればいい。

質問:選考にあたって震災の影響はありましたか?
答え:「下町ロケット」は震災があったこういうときだからこそ、取り上げるべきじゃないか、
落ち込んでいる中小企業の人たちを盛り上げるべきじゃないかという意見がありました。
一つの工場で全て作れるという設定の小説だけど、今は無理だから、これは昭和の小説だね、という意見も。

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特報班さん、ご苦労さまでした。

なお、第144回芥川賞・直木賞については下記のリポートを参照いただきたい。
http://takaoudo.cocolog-nifty.com/takaoudoism/2011/01/post-dd08.html

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コメント

私もブログ「双子山から」で芥川賞候補作を評してみました。お立ち寄りください。

投稿: 双子山親方 | 2011/07/16 19:34

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