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2011/05/05

「トゥルー・グリット」を見る

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督。スティーヴン・スピルバーグほか製作総指揮。チャールズ・ポーティス原作。ジェフ・ブリッジス(Rooster Cogburn)。マット・デイモン(La Boeuf)。ジョシュ・ブローリン(Tom Chaney)。バリー・ペッパー(Lucky Ned Pepper)。ヘイリー・スタインフェルド(Mattie Ross)。ブルース・グリーン(Harold Parmalee)。

本年度アカデミー賞に作品賞、主演男優賞ほか10部門でノミネート、監督にコーエン兄弟、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグという豪華布陣の話題作は、かつてジョン・ウェインが初めてオスカーを手にした『勇気ある追跡』のオリジナル原作を映画化したもの。父親を殺された少女が、二人の男と犯人を追う復讐劇だ。壮絶な追跡のあとに訪れる感動の瞬間が、観る者の胸を熱くする。コーエン兄弟の集大成とも言うべき美しい映像とドラマチックな展開で、彼らの最高傑作との呼び声が高い。2年連続でオスカーノミネートのジェフ・ブリッジスやマット・デイモン、弱冠14歳で大役に抜擢された新星ヘイリー・スタインフェルドらの、いずれ劣らぬ名演を堪能できる一作だ。

牧場主の娘として産まれながらも責任感が強く信念の強い14歳の少女、マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)の父親が、雪の降るある夜、雇い人のトム・チェイニー(ジョシュ・ブローリン)に無残にも撃ち殺された。知らせを受けたマティは、遺体を引き取りにオクラホマ州境のフォートスミスへとやってくる。一方、チェイニーは、わずか2枚の金貨のためにマティの父を殺した後、逃亡者となってインディアン領へ向かい、お尋ね者のネッド(バリー・ペッパー)率いる悪党達の仲間入りをすることになる。フォートスミスで父親の形見の銃を譲り受け、犯人に罪を償わせることを心に誓った彼女は、“トゥルー・グリット(真の勇気)”があると言われる大酒飲みでアイパッチをした連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)に犯人追跡を依頼。最初は子供扱いで相手にもされないマティだったが、決して諦めない執念と報酬の魅力に負け、コグバーンはマティの依頼を受けることにする。その後、別の容疑でチェイニーを追ってフォートスミスへ来ていた若きテキサス・レンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、犯人追跡の過酷な旅が始まる。マティにとっては人生初めての旅。しかも最も危険な領域に足を踏み入れることになる辛い経験であったが、チェイニーを捕らえ、罪を償わせることだけしか彼女は考えることができなかった。そして遂に、3人にとって各々の“真の勇気”が試される時が訪れる……。(goo映画より)

True

さて、ようやくコーエン兄弟の西部劇に辿り着いた。「ファーゴ」の非情理も、「ノーカントリー」の最果て感もここにはなく、復讐の物語を通じて、正義の代償を示して見せた。

主人公の少女は早口で能弁である。綿花の取引商、飲んだくれ保安官、テキサスレンジャー、さらには悪党どもの前でも、少しも怯まない。それどころか、「ソーシャルネットワーキング」のザッカバーグたちのように機関銃のように理詰めの言葉が繰り出される。これはも現代劇である。しかも女性が主人公の。

だが、映画はすこぶる真っ当な西部劇である。先住民の居住区に逃げ込んだ仇を追う3人の目の前に広がるのは荒涼たる大地である。いや、それは荘厳で美しい。帰路は夜空であるが、満天の星の下を疾駆する馬の美しさ、躍動感は素晴らしい。

以下、ネタバレにつき、映画を見た方のみお読み願いたい。

さて、理路整然と正義を求めた少女を襲った結末はなにか。敵討ちを果たすが、転落した穴の中で毒蛇に噛まれ、片腕を失ってしまう。そして、恩人たる保安官はそのまま姿を消し西部劇ショーで活躍していたことを20数年後に知るが、訪ねていったとき、その勇者は3日前に南軍の兵士の墓の中に葬られてしまっていた。そして、もう一人の男も行方知らずのままであった。少女は家族も持たないまま、必死で生きてきたのであった。正義のためには失うものも多いのだと知る。

001

本作を見る直前の5月2日に、ウサマ・ビンラディンが米軍特殊部隊によりパキスタンのイスラマバード近在で射殺された。なるほど、先住民の居住区で起きた正義の追跡劇は今も繰り返されているわけだ。映画で少女の父親を殺し金貨2枚を奪った男が意外にも悪人顔ではなかったのは印象深いことである。結局、男は一度も銃を撃つことなく、死んでしまったのである。真相は力の正義の前にはいつも闇の中に隠れてしまう。

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