野崎歓「異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論」(講談社、2,940円)を読む
「東方の甘美な香りに誘われ、女性探求の旅が始まる……」
プルーストが、サイードが愛した≪世界≫文学の先駆者ネルヴァルの傑作を読む
『東方紀行』のページを開くとき、読者はたちまち切れ目なく続く旅の運動に引き込まれる。パリからウィーン、ウィーンからエジプトへ、さらにはシリアを経てコンスタンチノープルへ。その遠心的な足取りに従うことは、いまの読者にとって、2世紀前の世界へのタイムスリップをも意味する。幾重にも超えがたい距離がそこには確かにありながら、ネルヴァルの文章自体はまさに魅惑としかいいようのない力を及ぼしてくる。それはいったいなぜなのか。――<「第1章 遊歩への誘い」より> (講談社BOOK倶楽部より)
第62回読売文学賞[研究・翻訳賞]受賞。リリカルでいて、心に染みる文学紀行である。ロマンチシズムとインターナショナリズム、そしてある種のインナーサークルの住人としての密教性。原典に詳しくないので、ついていけないところがいっぱいであるが、それでも十分に堪能できる面白さであった。
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コメント
わたしも野崎歓さんのこの本を読み、とても不思議な魅力に引き込まれる体験をいたしました。心酔といってよかったと思います。なぜなんだろう、と考えていたところ、
「そしてある種のインナーサークルの住人としての密教性」
ときました。
あ、そうか! といっきょに腑に落ちる気持ちがしました。
そしてほんとうに「リリカルでいて、心に染みる文学紀行」でした。
感動の理由が分かり、とてもすっきりさせていただきました!
投稿: されるも | 2011/05/22 14:15
されるも 様ありがとうございます。
当方はネルヴァルに詳しくないので恐縮です。野崎さんの本は本当に労作ですが、不思議と楽しく読めましたね。やはり力のある人が書いたものは素人にも訴えるものがあると思いました。
投稿: 席亭うど | 2011/05/23 15:24