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2011/04/04

平野啓一郎著「かたちだけの愛」(中央公論新社、1785円)を読む

事故で片足切断の大怪我を負った女優と、偶然彼女を救ったデザイナー。心を通わせていく二人は、それぞれに見失っていた「愛」を取り戻そうとするが……。切なく美しい、著者初の恋愛小説。(中央公論新社HPより)

Hirano

自動車事故で片足を切断することになった美脚の女王・叶世久美子(かなせ・くみこ)。偶然、現場に駆けつけたデザイナーの相良郁哉(あいら・いくや)。この2人がさまざまなトラブルに巻き込まれながらも、最後には穏やかな愛を見つけていくというラブ・ストーリーだ。

物語のスタイルは新聞連載小説であったこともあって、読みやすい。さらに適度に同時代的意匠を加えてあり、情報小説であるとともに、一種の風俗小説のように読めるのである。面白い作品であるが、少しどこかでゴチックというか構築的世界観があり、その中で、登場人物が人形的に動かされるのがどんなものか。ある種の典型を追求したのだとも言えなくもない。

主人公の名前も少しこだわりすぎのような気もする。「相良」「叶世」という一種の判じもの的な名前が不思議な語感である。「愛」が「叶う」という連想ばかりが浮かんで、しかも前衛ジャズのアルバート・アイラーが重なりあって、ちょっと落ち着きが悪かった。

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