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2011/04/21

東川篤哉著「謎解きはディナーのあとで」(小学館、1575円)を読む

執事とお嬢様刑事が、6つの事件を名推理!
ミステリ界に新たなヒーロー誕生! 主人公は、国立署の新米警部である宝生麗
子ですが、彼女と事件の話をするうちに真犯人を特定するのは、なんと 日本
初!?の安楽椅子探偵、執事の影山です。
 彼は、いくつもの企業を擁する世界的に有名な「宝生グループ」、宝生家のお
嬢様麗子のお抱え運転手です。本当は、プロの探偵か野球選手になりた かった
という影山は、謎を解明しない麗子に時に容赦ない暴言を吐きながら、事件の核
心に迫っていきます。
 本格ものの謎解きを満喫でき、ユーモアたっぷりのふたりの掛け合いが楽しい
連作ミステリです。(小学館HPより)

Nazotoki


2011年の「本屋大賞」の受賞作である。なにしろ売れて売れての大ヒット。札幌のジュンク堂には50万台、60万台に続いて82万部突破のオビ付き本が並んでいる。この分では百万部も軽々突破だろう。

内容は面白い。
まず、水戸黄門じゃないがワンパターンの展開である。事件が起こる、風祭警部がドンキホーテさながらに大騒ぎする。それをお嬢様刑事・宝生麗子が風祭を馬鹿にしつつ推理する。しかし、謎は解けない。そこで、執事の影山が登場する。「失礼ながらお嬢様--この程度の真相がお判りならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」とか「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」とか傍若無人の啖呵を切ってあっという間に「天地明察」(あっと、これは前回の本屋大賞でしたね)してしまう。いわば、この馬鹿、アホ、名探偵のの3人だけがレギュラーメンバー。これに毎回、ゲストが絡んで事件が起きる。

この単純さが明快である。そしてとりあえず、ミステリーだ。執事・影山がすべての材料が公開されている場所で(ヨーイドンの場所で)推理を組み立てる。これが、それなりに「なーるほど」と感心させられるという具合だ。しかも、一話が短編なので読むのがしんどくないというか、すぐ読めちゃうのだな。これは気持ちのいい読書体験となる。読んでいるうちに、もう1編も読もうかという誘因力があるので、それは空気感染してしまう。そりゃあ、売れるわ。そのうち、テレビドラマでシリーズ化もできそうで、キャストを考える楽しみまである。

めでたし。めでたし。でもね。あたしゃ、物足りないですよ。名家のお嬢様とお坊ちゃまの警察官が国立にいて、執事が事件を解決するなんて。やっぱ、文学と言うより文字で書いたコミックでしょ。でも、面白いから、困るなあ。


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