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2011/03/08

フロイトに入門する

誠に体調不良である。見たい映画も見ないで寝ている日々が続いた。仕方がないので、本を読んだ。もちろん、やっと、である。

難しい本はダメなので、哲学というか精神分析の入門書を選んだ。

1・
小此木啓吾著「フロイト その自我の軌跡」(NHK出版、本体価格970円)。

精神分析学に新境地を開いたフロイトの人間像を、精神分析学者の著者が、フロイト的精神分析法によってその実像に迫る。偽似実存主義時代の現代に於て、フロイトの真の遺産とは何かを解明する。 (NHK出版HPより)

Okonogi

2・
竹田青嗣・山竹伸二著「フロイト思想を読む 無意識の哲学」(NHK出版、本体価格1070円)。

欲望の葛藤として心を考える
フロイトは「無意識」の発見者として名高い。しかし、現在では抑圧された性的欲望・親子関係にすべてを還元する時代遅れの治療論とされている。本書では、現象学的な視点からその本質に迫り、現代思想にまで影響を与え続ける優れた人間論としてフロイト思想を読み直す。 (NHK出版HPより)

Furoit

要するに、フロイトにあらためて入門したのである。フロイトは面白い、本当に。
とりわけ、小此木啓吾さんの本は1973年初版と、極めて古いがまさしくフロイト学の第一人者らしく説得力が秀でている。

「そもそも、フロイトの『医師としての分別』や中立性、ひいては彼自身のいう『科学的世界観』とは、世界を統一的に説明する特定のイデオロギーではない。むしろそれは、特定集団とそのメンバーが共有するいかなる集団幻想からも自由で、『個』としての自我と知性を保つ、主体的な自立の精神そのものである」(p156)

これはマルクス主義とナチズムの跳梁に対する孤独なフロイトの場所をよく示すものだろう。モラトリアム人間についても本書では触れているが、「山アラシ・ディレンマ」も懐かしいことであった。

2の「フロイト思想を読む」は現象学の立場からのフロイト解読である。わかりやすく現代思想を整理しているが、フロイト自体の面白さ、雑ぱくさを楽しむなら、小此木さんのほうがいいだろう。

それにしても、フロイトがコカイン依存の不当治療医だったというのは、極めて現代的な立ち位置である。


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