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2011/03/14

星野智幸著「俺俺」(新潮社、1680円)を読む

実家のドアを開けると、現れたのは俺だった。「誰だおまえ」「おまえこそ誰だ?」
なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎてもう何が何だかわからない。電源オフだ、オフ。壊れちまう。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。現代社会で個人が生きる意味を突きつける衝撃的問題作!

作者紹介:星野智幸(ホシノ・トモユキ) 1965年ロサンゼルス生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年「最後の吐息」で文藝賞を受賞。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞を受賞した。著書に『ロンリー・ハーツ・キラー』『アルカロイド・ラヴァーズ』『われら猫の子』『植物診断室』『無間道』『水族』などがある。(新潮社HPより)

星野智幸著「俺俺」(新潮社、1680円)を読む


現代社会は「俺(私)」が希薄でありながら、実は「俺(私)」という個へと引きこもる社会である。ひょんなことから他人の携帯電話を手にし、「オレオレ」詐欺を働いた男にやってくる「俺(私)」の崩壊と「俺(私)」の増殖の物語だ。

それ自体固有性の希薄な「俺」が社会に溢れかえるというのは、悪夢である。それは実は架空の物語であるようで今生きている世の中自体であるのだ。

物語は「俺」が増殖した果てに、自家中毒を起こし「消去」しあうことになる。

不思議な観念小説であり、現代批判小説である。面白いが、いささか「俺」表現が過剰なのに疲れた。

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