« 星野智幸著「俺俺」(新潮社、1680円)を読む | トップページ | 角田光代著「ツリーハウス」(文藝春秋、1700円)を読む »

2011/03/16

吉村昭著「三陸海岸大津波」(文春文庫、460円)を読む

人々に悲劇をもたらす大津波はどのようにやってくるのか。前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに再現した震撼の書(文春HPより)

吉村昭著「三陸海岸大津波」(文春文庫、460円)を読む

作家、吉村昭が北海道とともに訪ね親しんだ東北地方を歩いているなかで、生まれたドキュメンタリーである。初版は昭和45年というが、今なお衰えぬ迫真の記録文学と言える。

「或る婦人の体験談に、津波に追われながらふとふりむいた時、二階家の屋根の上にそそり立った波がのっと(3字傍点)突き出ていたという話があった。深夜のことなので波は黒々としていたが、その頂きは歯列をむき出したように水しぶきで白くみえたという。/私は、その話に触発されて津波を調べはじめた。そして、津波の資料を集め体験談をきいて廻るうちに、一つの地方史として残しておきたい気持ちになった。……それが、この一書である」と前書きにある。

「明治29年の津波」「昭和8年の津波」「チリ地震津波」(昭和35年発生)の3つの大きな災害が取り上げられている。「よだ(2字傍点)が来た!」という言葉に津波の恐怖が伝わってくる。さらに、感受性豊かな子供たちの作文紹介が自然の猛威を浮かび上がらせてくる。記されている地名を読むと、平成23年の出来事の重さを強く感じることだ。

◇◇◇
3月11日午後2時46分、東北から関東にかけて起きた巨大地震はその後、マグニチュードが9.0と変更された。気の遠くなるような地球エネルギーの爆発に気持ちが萎えてしまいそうである。そして、福島原子力発電所では大量の放射能漏れが続いている。政府と東電は相変わらず被害状況を「軽微」であるとか「収束」しているかのように発表しているが、放射線量の増加は300キロ圏に及んでいるのには言葉を失う。一刻も早い事故の停止を願っている。

|
|

« 星野智幸著「俺俺」(新潮社、1680円)を読む | トップページ | 角田光代著「ツリーハウス」(文藝春秋、1700円)を読む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87302/51136693

この記事へのトラックバック一覧です: 吉村昭著「三陸海岸大津波」(文春文庫、460円)を読む:

« 星野智幸著「俺俺」(新潮社、1680円)を読む | トップページ | 角田光代著「ツリーハウス」(文藝春秋、1700円)を読む »