« 道尾秀介「月と蟹」(文藝春秋社、1470円)を読む | トップページ | 荻原浩「砂の王国」上下(講談社、各1785円)を読む »

2011/01/19

貴志祐介「悪の教典」上下(文藝春秋社、各1800円)を読む

「思考」は殺され、「記憶」は見つめつづける――。とびきり有能な教師がサイコパスだったとしたら、その凶行は誰が止められるのか──ピカレスクの輝きを秘めた戦慄のサイコ・ホラー(文春HPより)

生徒に絶大な人気を誇り、PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、惨劇へのカウントダウンが始まった。
英語科教諭・蓮実聖司、32歳。
暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに犯行を重ねていく。 (特設サイトより)

Akunokyoten

第144回直木賞の候補作の一つである。大変な作品であった。いや、「このミス1位」だそうだが、ミステリーなのかどうかなあ。とにかく、徹底的にアンチ・モラルであり、デストラクションのトリガーが引かれっぱなしで、下巻に全面展開される「学級崩壊」劇には面白く読んでいたものの、いささかやり過ぎに呆れてしまうほどであった。確かに、完璧主義者のサイコパスならば、しっかりと任務を果たさなければ気が済まないのだろうが、それにしても普通はそこまでやるのは体力が持たないでしょうに。

しかもである。本作でへ現在展開されている殺戮劇とは別に過去の家族内や学校での犯罪も織り込まれており、殺された人の数は膨大である。そして、幸いにも事件は生き残った生徒と記録されたテープによって無事解決するのであるが、主人公はおそらく刑務所を抜け出して次の犯罪に手を染めるのは確実(というか期待されている)のである。

映画になった「バトル・ロワイアル」を思わず思い出すのであるが、いやあ、こちらは主人公が完璧な殺人鬼ですから、続編も十分楽しめるのではないだろうか、などと第1作が映画化されていない前からも想像しちゃうのである。まあ、直木賞は取らなくて当然というか、良かったと思う作品である。

|
|

« 道尾秀介「月と蟹」(文藝春秋社、1470円)を読む | トップページ | 荻原浩「砂の王国」上下(講談社、各1785円)を読む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87302/50630928

この記事へのトラックバック一覧です: 貴志祐介「悪の教典」上下(文藝春秋社、各1800円)を読む:

« 道尾秀介「月と蟹」(文藝春秋社、1470円)を読む | トップページ | 荻原浩「砂の王国」上下(講談社、各1785円)を読む »