« ザック・エフロン主演の「きみがくれた未来」を見る | トップページ | 小嵐九八郎「日本名僧奇僧列伝」を読む »

2011/01/24

歌人・笹井宏之さん死去から2年

1月24日は2009年に26歳という若さで亡くなった歌人、笹井宏之(本名・筒井宏之)さんの命日である。笹井さんを有名にしたのは2006、07年に2年連続での佐賀新聞読者文芸年間賞の受賞であった。

・すずむしの鈴盗まれし十六夜に甍(いらか)鳴らせる足袋の四、五足
・冬ばつてん「浜辺の唄」ば吹くけんね ばあちゃんいつもうたひよつたろ

2007年1月にも佐賀新聞で1席を得ている。

・初春(はつはる)のよろこびなしと言ふひとへ迎へらるるがよろこびと説く

歌人・笹井宏之さん死去から2年


平易な歌い口で、しかし、現代青年でいて、さらに深い優しさのようなものがにじんでいた。歌集「ひとさらい」にはそうした感性があふれていた。

・えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい
・内臓のひとつが桃であることのかなしみ抱いて一夜を明かす
・しっとりとつめたいまくらにんげんにうまれたことがあったのだろう
・いつもより遠心力の強い日にかるくゆるめたままの涙腺
・骨盤のゆがみをなおすおかゆです、鮭フレークが降る交差点
・胃のなかでくだもの死んでしまったら、人ってときに墓なんですね

歌集あとがきによれば、「重度の身体表現性障害」で長く療養生活を続けていたという。作品に身体感覚が盛り込まれているのは病気に関係しているのかもしれない。穂村弘さんや枡野浩一さんらの影響を受けての作歌だったそうだ。インフルエンザをこじらせて急性心不全が命を奪ったとのことである。私は彼が亡くなってからの読者であるが、早い死が惜しまれる。

◇◇
100年前の同じ1月24日には天皇制下での社会主義・無政府主義思想弾圧(謀略及びフレームアップ=冤罪)である「大逆事件」により幸徳秋水ら11人が処刑され、25日には管野スガが処刑されていることも忘れてはならない歴史だろう。

|
|

« ザック・エフロン主演の「きみがくれた未来」を見る | トップページ | 小嵐九八郎「日本名僧奇僧列伝」を読む »

コメント

はじめまして(だと思います)。笹井の父です。

宏之のことをご紹介いただきありがとうございました。
本日、『些細』のブログに紹介させていただきました。事後報告となり申し訳ございませんが、ご了承ください。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 筒井孝司(笹井の父) | 2011/02/06 15:51

筒井孝司さま、ご丁寧なご連絡ありがとうございます。

笹井宏之さんの作品はこれからも読まれ続けるでしょうし、その作品に励まされたり、新しい創作意欲を刺激される人もでることと思います。

文学の力とは凄いものです。

投稿: 席亭うど | 2011/02/06 20:48

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87302/50675470

この記事へのトラックバック一覧です: 歌人・笹井宏之さん死去から2年:

« ザック・エフロン主演の「きみがくれた未来」を見る | トップページ | 小嵐九八郎「日本名僧奇僧列伝」を読む »