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2010/12/17

柄谷行人著「世界史の構造」(岩波書店、3675円)を読む。

資本=ネーション=国家が世界を覆い尽くした現在,私たちはどんな未来も構想し得ないでいる.しかし本書は,世界史を交換様式の観点から根本的にとらえ直し,人類社会の秘められた次元を浮かび上がらせることで,私たちの前に未来に対する想像力と実践の領域を切り開いて見せた.『トランスクリティーク』以後十余年の思索の到達点。(岩波書店HPより)

柄谷行人著「世界史の構造」(岩波書店、3675円)を読む。


マルクスの読み替えでラジカルな文芸・思想論を展開してきた著者が放つ交換様式論による世界同時革命の可能性である。もちろん、柄谷は世界同時革命が可能だなんて言っちゃいない。要するに、原理的には世界同時革命しかないということを断言しているのである。旧来の生産の様式から交換の形態の変遷を革命論の軸に据えた。まあ、昔から共同体論こそが革命の内実に不可欠ですよ、と言ってきた部分からすれば、今頃なんじゃ、とは思うが。もちろん、共同体論の基底には国家を突き破る社会の成熟と階級形成という組織論と国家論が絡み合っているから、柄谷の交換様式論とは違うが、それはそれで面白い。

弁証法的に高度に再建される互酬的交換が世界共和国のシステムというわけだが、ちょっとマルクスである。まあ、原始共産制が高度に再建されるのがもともと共産主義の理想であったのだから。世界共和国のために、柄谷はカントの永遠平和論と国際連合というものを復権する。ありゃりゃ、とは言うまい。

「世界同時革命は通常、各国の対抗運動を一斉ににおこなう蜂起のイメージで語られる。しかし、それはありえないし、ある必要もない。国連を軸にするかぎり、各国におけるどんな対抗運動も、知らぬ間に他と結びつき、漸進的な世界同時革命と革命運動として存在することになる。一方、各国でこのような対抗運動がないならば、国連が無視され、その結果、世界戦争が生じる。実際には、その可能性が高い。しかし、悲観的になる必要はない。カントが考えたように、世界戦争はより高度な諸国家連邦を実現することになるだけだからだ。」

これはひどい。現代世界における平和運動を無視して、世界戦争を評価するのだから。観念的哲学者のカラ騒ぎにはご用心ということか。

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