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2010/09/24

サン=テグジュペリ著 堀口大學訳「夜間飛行」(新潮文庫、580円)を読む

宮崎駿監督がもっとも影響を受けた、サン=テグジュペリの代表作の一つ。
第二次大戦末期、地中海上空を偵察飛行中についに消息を絶ったサン=テグジュペリ。不時着を繰り返しながらも飛びつづけた彼は、『星の王子さま』『人間の土地』など、飛行士たちの物語を、優れた文学作品として書きのこした。『夜間飛行』は、郵便飛行事業がまだ危険視されていた時代に、事業の死活を賭けて夜間飛行に従事する人々の、人間の尊厳と高邁な勇気に満ちた行動を描く。(新潮文庫HPより)
映画のような「夜間飛行」

本書には「夜間飛行」とともに処女作の「南方郵便機」が併録されている。ともに冒険小説であり、現実と理想の狭間を思考する哲学小説でもある。

それにしても、現在は当たり前のことになっている空の旅(空輸)が、草創期にはいかに哲学的自問を不可欠とした挑戦であったかがよくわかる。ライバルは鉄道であり、貨物船であったろうが、昼夜をおかず開拓された路線を急ぐ飛行家たちの内面をこれほどリアルに描けるのは同じく空の勇士であったサン=テグジュペリでなければできなかったことであろう。

面白さといったら「夜間飛行」のほうが、映画でも見るように、ある意味、あわただしくドラマチックである。「南方郵便機」は苦いファンタジーの物語か。これらの作品を読んで、「星の王子さま」は書かれるべくして書かれたのだなあ、と思わされることであった。

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