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2010/09/06

若松孝二監督の「キャタピラー」を見る

キャタピラー


若松孝二監督。尾崎宗子プロデューサー。黒沢久子、出口出脚本。寺島しのぶ。大西信満。吉澤健。粕谷佳五。増田恵美。河原さぶ。石川真希。飯島大介。地曵豪。ARATA。篠原勝之。

第2次世界大戦中の日本。シゲ子の夫・久蔵にも赤紙が届き、勇ましく戦場へと向かったが、戦争から戻った久蔵の顔は無残にも焼けただれ、四肢を失っていた。村中から奇異の目で見られながらも、多くの勲章を得た久蔵は「生ける軍神」として崇められ、シゲ子は戸惑いながらも久蔵の尽きることのない食欲と性欲を埋めていく。やがて日本に敗戦の影が色濃く迫り、久蔵は自ら戦場で犯した悪行に苦しみ始める。第60回ベルリン国際映画祭で、寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞した。(映画.comより)

さて、ずいぶん評判となり、観客が入っている。それは素晴らしいことではある。でもなんだろうなあ、若松監督は反戦映画を作ったのかどうか。映画のコメント関係者からはそういう評価が出されているが、よくわからない。エンドクレジット直前のあわただしい記録映像やコメント、さらに主題歌(?)などを一気に見せられたり、聞かされたりすると、なんだか、そんな映画なのか、と、ますます気持ちが本当に萎えてしまうのだ。

寺島しのぶは文句なく熱演です。彼女はほかの映画でも大胆に脱いでおりますから、本作が特別に凄いというわけではないのですが、時代状況の中で呻いている女性存在とそのエロスみたいなものを、いわゆる「存在感」あふれる演技で表出しているのです。それは本当に熱演というわけで、文句はありませんね。

Kyatapira

最初の中途半端な物言いでありますが、どうも反戦映画という括りで語られていることに関して、どうなのか今ひとつピリッとしないのですね。人間関係の原初である男と女にはもっと凶暴なものが潜んでいるのでしょうし、そこを徹底的に描いてほしいとも思うのですが、後半に行くにつれていささかプロパガンダに走ったのは困ったものでありました。と私は思っているわけです。諸般考えることあって日和っておりきっちりとは言えませんが、私的にはそんなに高い評価を与えられない映画でした。思想的な言葉で言えば同伴的であり、若松監督のラディカリズムがあるとすれば、その地平からの進歩的な退行でしょうか。

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