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2010/09/30

桜木紫乃著「硝子の葦」(新潮社、1680円)を読む

爆発不可避――身構えても、吹き飛ばされる、“怪物的”傑作、誕生!
母の愛人だった男が、私の夫。愛なんて最初からなかった、はずなのに。夫の事故ですべてが狂い始めた――。善悪の彼岸へ近づく日常。私たちの“仮面”は崩壊し“怪物”が顔を出す。死ぬって、恰好悪いこと? 忘却不能の最後まで、あなたの心は震え続ける! 2010年必読のミステリー。読み逃せば、後悔する。間違いなく!

桜木紫乃は北海道釧路市生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。2007年、デビュー作となる単行本『氷平線』(文藝春秋)で注目を集める。他の著書に、『風葬』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)。(以上、新潮社HPより)


桜木紫乃著「硝子の葦」(新潮社


「官能作家」と(勝手に)思っていた桜木紫乃さん。だが、それは仮の姿? いまやミステリー系作家になってしまっていたことである。確かに、根室を舞台にした「風葬」にしても、釧路湿原を彷徨う「凍原」にしてもすっかりミステリーのような「謎」が濃密な人間関係の中にまとわりついている。

「湿原に凛と硝子の葦立ちて洞(うつろ)さらさら砂流れたり」。

焼死した女性幸田節子が残した一冊の「歌集 硝子の葦」。そこに込められた想いとは、何か。複雑な母子関係、そして愛人関係の中で、死を選んだのか。それとも……。愛人の税理士、澤木昌弘は節子の世界に近づいていく。そして、もう1人の短歌を愛する女性の存在、佐野倫子を知る。2人の秘密とは何か。だが、澤木の動きに共振するように、厚岸警察署の刑事、都築も真相に迫ろうとしていた。女たちはどこに消えたのだろうか?

うまくまとめられませんが、なんというのか、これって犯罪小説でしょうか。正義じゃなく、生き方のスタイル、それも個人を超えた、女たちの集合意思のようなものに迫った作品と言えるような気がします。そして、映画ように、ラストシーンも思い浮かびます。本当に、ちょっと映画にしたいような物語です。

走れ、逃げろ、自由へ。

そんな言葉が浮かびますね。

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