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2010/09/26

塩野七生著「生き方の演習 -若者たちへ-」(朝日出版社、1155円)を読む

本当に大切なことは何か?「ものの見方」が変わる21世紀型の自分磨き術。
人生という大海へ第一歩をふみだす若者たちに、塩野七生が伝えたい、生き方のアドバイス。なぜ読書・教養は大事なのか、外国語教育のありかたは? 文明が教えてくれること、男と女について……。孤独だった高校時代...
人生という大海へ第一歩をふみだす若者たちに、塩野七生が伝えたい、生き方のアドバイス。なぜ読書・教養は大事なのか、外国語教育のありかたは? 文明が教えてくれること、男と女について……。孤独だった高校時代やイタリアでの子育てなど自らの若き経験をもとに、停滞する世界を生きるコツを教える、塩野流の人生レッスンです。傷つくことを恐れずに歳を重ねた著者が21世紀型の自分磨き術を説きます。装幀・安野光雅。
(朝日出版社HPより)

Ikikata

「ローマ史家」塩野さんの講演や短い文章をまとめたもので、全部でも90ページほどの小著です。

サッカーのワールドカップに対する日本人の「よくやった日本」的な「高校野球」感覚がいかにプロの現実から遊離した空論であるかから始め、「クールな目配り」で「現実を正確に知ること」の大切さを述べます。そして、外国語を話せるというのは所詮道具のレベルの問題であり、母国語で「論理的に」話せることが国境や年齢を超えて世界に向き合える基本だとも語ります。さらには大人と子どもの対立・断絶は当たり前であり、そのことを曖昧化する大人を批判します。断絶の2つの世代は論理的であることの同じ土俵でぶつかりあうことが大事だとも言います。このほか、看板だけの学歴ろいうものの無用を主張します。

おおむね言っていることは面白く、参考になります。特に外国語と母国語のくだりに、私はあらためて地道な努力をしなければ-と思いました。ただ、若干「タカ派」「(外側からの)上から目線」ということが気になりました。文章の中に、少女時代の孤独が顔を出しているところに、精神分析的な素材を見ることができるかもしれませんが。

ペルーの日本大使館での人質事件を例に最初から「平和的解決」を指向したことを「選択肢」を狭める愚策として批判します。しかし、どんなときでも平和的解決を前提に対処していくことが長い目で見たときに重要だということは日本が戦争から学んだ最良の財産だと私などは思うのです。塩野さんがグローバリズムを推し進め日本をダメにした小泉純一郎の支持者であるというのも宜なるかなと思いました。

どんな本も批判的摂取が求められるということを自ら教えてくれていますね。

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