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2010/07/14

万城目学「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(筑摩書房、本体価格860円)を読む

万城目学著「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(筑摩書房、本体価格860円)を読む。第143回直木賞候補作読書シリーズ第4弾である。


「ホルモー」「鹿男」「トヨトミ」の輪を飛び出して、万城目学が紡ぎ出す、新たな物語の世界!--元気な小学一年生・かのこちゃんと優雅な猫・マドレーヌ夫人。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。書き下ろし長編小説。(筑摩書房HPより)

万城目学(マキメ・マナブ)さんは「1976年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。2006年、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。二作目『鹿男あをによし』は第137回直木賞候補、『プリンセス・トヨトミ』は第141回直木賞候補に。いまもっとも活躍が期待される気鋭の若手作家である。ほかに『ホルモー六景』、エッセイ集『ザ・万歩計』がある」とのことだ。

Kanoko


「プリンセス・トヨトミ」は直木賞候補であったが、そのときは「おもしろさナンバーワン」と勝手に直木賞1番手に挙げた私であるが、残念ながら(いかんせん?)北村薫さんの「スキップ」じゃなかった「鷺と雪」に決まってしまった。意外と私の予想は当たらない。

さて、本作。猫好き、犬好きの読者には評判がいいようだ。なにしろ、猫のマドレーヌ夫人と老犬の玄三郎は夫婦である。犬の言葉(外国語)をマドレーヌは解する優雅なアカトラの猫なのだ。「猫又」の話を玄三郎に聞かされると起きる奇跡はもちろん最高のエピソードであるが、猫たちと犬たちと、そして鹿の声を聞いた父親が名付けた「かのこちゃん」がすずちゃんたちと過ごす学校生活などに、やさしい愛が漂っている。さわやかなメルヘン、児童読み物としてもとってもいい。

奇想天外なおもしろさがいっぱいの万城目ワールドの中で、本作はいささかおとなしく、気品のある凛々しさのあふれた作品である。それをプラスと考えるかマイナスと考えるのかは難しい。しかも、なんだか教養書のような新書本である。なんという型破りであろう。形式論で言うと、ちょっぴりつらいことではある。独断で言ってしまえば、「文句なく、うまい書き手だ。でも、もう1作くらい見たいなあ。とりあえず、今回は待ってもいいんじゃないかな」ってなことになるのではあるまいか。そう、思うのであるが。

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