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2010/06/14

苫名直子「画家たちの札幌」を読む

苫名直子著「画家たちの札幌--雪と緑のメモワール」(北海道新聞社、本体価格1000円)を読む。

道立近代美術館編集のミュージアム新書19である。本書は帯によれば「三岸好太郎など道内外の画家たちが愛し、キャンバスに描いた古きよき時代の札幌をたどりながら、この街を舞台に盛んになっていった美術活動の歴史や画家たちのエピソードを鮮明に描き出す」とのことだ。

Gakatati

北海道美術界には欠かすことのできない画家たちの歩みがコンパクトに紹介されている。大変わかりやすい本である。一方で、いささか地味である。風景や建物を描いた作品を中心に選ばれた絵はどれもすばらしいものであるが、心の内奥にずばりと迫ってくる衝撃はない。巻頭の有島武郎の「やちだもの木立 1914」は見ごたえがあっても、やはり彼の小説ほどには訴えるものがない。書くスタイルの問題と北海道美術界の問題と両方がかかわっていると思った。

それはともかく面白いと思ったのは、道展のアイデアが、北海タイムス(現北海道新聞)記者竹内武夫、画家の兼平英二(英示)、漫画家で北海タイムスに務めるようになった加藤悦郎という3人の話し合いの中から生まれたものであったということだ。1925年のことである。この加藤悦郎なる人物は当時25、6歳である。新聞に道展見物記を漫画入りで掲載したりする名物人間で、北海道初の漫画専門誌「北海道漫画」を創刊したかと思うと、上京して、北海タイムスから読売新聞に入社して活躍している。若いこと、エネルギッシュであることに時代の気分が伝わってくる。

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