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2010/05/05

光岡幸治「一原有徳 -版の冒険」を読む

光岡幸治著、ミュージアム新書「一原有徳 -版の冒険」(北海道新聞社、1155円)を読む。

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一原有徳は1910年生まれ、徳島県出身、小樽在住の版画家である。若い時は登山家であり、俳人でもあった。41歳の時、フランス絵画の展覧会を見て、これくらいの抽象画なら自分にも描けると思う。それならと絵の具をプレゼントされ絵を描いてみたらいきなり入賞する。すごいね。高校や大学で絵の勉強をしている人にはショックな話だ。

どんどん絵画の腕があがるが、50歳の時、版画を発表したら、その世界に衝撃を与えるデビューとなってしまう。それから、独自の世界を作り続け、気がついたら99歳、まもなく100歳である。なんという桁外れの人生だろう。

もちろん、いわば独学者であるから、前半生は日の当たる人生を歩んでいたわけではない。縁があって入った小樽の貯金局というのが良かった。そこで、徐々に勤め人としての才能を発揮していく。趣味の山登りをすれば、一流となる。だが、遭難してやっと救助され、手術の結果、片足が短くなる。版画用の電動機械を買っては指を損傷してしまったり。

でも、貯金局にいたからこそ、版画に開眼するし、最後にはひそかに版画のための仕事場を貯金局の中に獲得してしまう。強運であることもまた、才能である。

量感と物質感のある版画を一度見ると目を奪われてしまうだろう。僕は昔、ある政治家だっかた政党だったか忘れたが、その推薦者となっているのを見て、なんでそういうことをするのか、短絡性に違和感を持ったことがあった。今はそんなことどうどうでもいいから、深く感動する。

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