« 久保俊治「羆撃ち」 | トップページ | 橋本治「巡礼」 »

2010/03/12

乾ルカ著「メグル」

乾ルカ著「メグル」(東京創元社、1680円)を読む。

「あなたはこれよ。断らないでね」奇妙な迫力を持つ大学学生部の女性職員から半ば強要され、仕方なく指定されたアルバイト先に足を運んだ大学生たち。そのアルバイトは、彼らに何をもたらすのか? 五人の若者を通して描かれるのは、さまざまな感情を揺り動かす人間ドラマと小さな奇蹟の物語。小説の楽しみを存分に詰め込んだ愛すべき傑作、鮮やかに登場!(東京創元社HPより)

乾ルカ「メグル」

収録されているのは「ヒカレル」「モドル」「アタエル」「タベル」「メグル」の5作品だ。いずれも大学の学生部厚生課奨学係の女性職員ユウキ(悠木)さんに斡旋されてアルバイトに行くと、「目からウロコ」の体験をするという内容である。

「本来ならあなたは行くべきじゃないわ。後悔しないでね」と言われて行く「アタエル」を除き、ほとんど世話物らしいちょっと「いい話」である。個人的には幽霊物語が私にはお気に入りであった。1人では死にたくないという「引く手」を持つ死者と添い寝して道連れになる人を防ぐという「ヒカレル」、そして、家の庭木に思いを残して現れる幽霊の片付け仕事を手伝う「メグル」は、なんとも心に染みる優しさがある。なによりも、ユウキさんがミステリアスで、控えめな主人公で、なんとも気になるのである。後を引く作品集である。

乾ルカさんは1970年札幌生まれ。2006年「夏光」で第86回オール讀物新人賞を受賞した。先日、佐々木譲さんの直木賞受賞を祝う会で初めてお会いしたが、とてもチャーミングな女性作家である。

|
|

« 久保俊治「羆撃ち」 | トップページ | 橋本治「巡礼」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87302/47792271

この記事へのトラックバック一覧です: 乾ルカ著「メグル」:

« 久保俊治「羆撃ち」 | トップページ | 橋本治「巡礼」 »