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2010/03/20

大崎善生「Railway Stories」

大崎善生著「Railway Stories」(ポプラ社、1470円)を読む。

Rail


ポプラ社のHPによると「故郷の鉄道の行き交う波のような揺れの中、青春時代の儚い記憶がふんわりと浮かび上がる。大崎善生の新境地、鉄道を巡る短編小説集、発車します。」とのこと。

列車を入り口とした私小説的で幻想のような短編集である。収められているのは「夏の雫」「失われた島たちの夢」「橋または島々の喪失」「不完全な円」「もしその歌が、たとえようもなく悲しいのなら」「フランスの自由に、どのくらい僕らは、追いつけたのか?」「さようなら、僕のスウィニー」「虚無の紐」「キャラメルの箱」「確かな海と不確かな空」の10編。

大崎さんは札幌出身だ。作品の舞台には北海道がずいぶん顔をのぞかせる。とりわけ巻頭の「夏の雫」は中学生時代に病弱な美少女とのまぼろしのようなひと夏の思い出である。透明感が高く、切ない。また、78歳で亡くなった父親に対する愛情のようなものがしみじみと伝わってくる。恋愛の小説集であるとともに、家族をめぐる作品集でもある。

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