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2010/01/09

真幸(まさき)くあらば

奥山和由製作。御徒町凧監督。尾野真千子。久保田将至。ミッキー・カーチス。佐野史郎。

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遊ぶ金欲しさに空き巣に入った家で、居合わせたカップルを殺害した南木野淳。一審で死刑を宣告され、控訴を取り下げ死刑囚となった彼のもとを、クリスチャンの川原薫が訪れる。薫は淳が殺した男性の婚約者だった。薫は婚約者の不実を暴きそれを裁いた淳に惹かれ、一方、愛を知らずに育った淳も薫によって生きる喜びを知る。互いに求め合う二人は、薫が差し入れる聖書に小さな文字で書き込み、思いを伝える秘密の通信を始める。(goo映画より)

小説家で歌人の小嵐九八郎さんの小説の映画化だ。小嵐さんとはちょっとだけ知り合いである。有間皇子の万葉秀歌として知られる「磐代の 浜松が枝を 引き結び ま幸くあらば また還り見む」「家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る」を題材に、不可能な愛を生きた青年と女性の物語である。音楽は森山直太朗。

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せつない。何がというと、「わが心のよくて殺さぬにはあらず」という親鸞の言葉がある。その関係の絶対性と対極の場所で、青年はまさに、心が悪いわけではないのに人をあやめてしまったのだ。そして、自ら死刑を受け入れていく。そのぎりぎりの場所で、一瞬の生命の高揚を見いだすのだ。これは決して、一人の人間の固有の物語ではなく、世代の影を落としている寓話だろう。

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