世界のクロサワが描く椎名ワールド
関西テレビの深夜番組「DRAMADAS」シリーズで作られた作品DVDを見る。
「もだえ苦しむ活字中毒者 地獄の味噌蔵」(黒沢清監督、大杉漣、諏訪太郎、松島誠、加賀賢崇、沢田亜津佐)。
「よろこびの渦巻」(黒沢清監督、松田ケイジ、田辺博之、徳尾明美、中井曜子)。
椎名誠の原作の映像化であるが、はっきり言って荒唐無稽の極みである。ナンセンス漫画を見ているようなあほらしさが楽しめる。
活字中毒者のほうは大杉漣が狂気の作家を怪演している。とにかく、笑ってしまう。一方の渦巻のほうは若干、社会批評(占いブームを唯占論、それに対する反発を反占論として戯画化)するものがある。ロングショットがあって、結構、見せるし、助監督には青山真治が入っており、ミュージカル部分の音楽も担当したそうだ。もっとも、あまりしゃきっとはしないが。
渦巻ではヘルメット姿の反占活動家たちがザ・タイガースのというより加橋かつみの歌でヒットした「廃墟の鳩」(山上路夫作詞、村井邦彦作曲)を合唱するシーンがある。「人は誰も悪い事を覚えすぎたこの世界 築き上げたユートピアは壊れ去ったもろくも」という言葉と曲が60年代末の時代を二重写しに思い出させてくれた。
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