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2009/04/24

田中綾さんの短歌月評終わる

北海道新聞夕刊文化面に掲載されていた田中綾さんの道内文学「短歌」月評が4月23日掲載分で最終回となった。田中綾さんの短歌月評は1997年1月スタートで、途中2年ほどの中断をはさんでいるが、約12年間で幕を閉じたことになる。

田中綾さんは、もともと「アジアにおける戦争と短歌」で、1995年の現代短歌評論賞を受賞しており、スケールの大きなパースペクティブを持つ評論家である。道内で同賞は「敗北の抒情」で恩師、菱川善夫が第1回授賞以来の快挙であり、稀少気鋭の俊才である。

その文章には女性らしい細やかな感性が光っているのはもちろんであるが、アジアやアイヌ民族や、さらには看過したり光当たらぬ存在領域に目配りをしつつ、漂流する日本人の根基を探ろうとする批評意識にあふれていた。そうした大きな土俵の上で、実にしっかりと道内作家の収穫を論じていたのである。

連載中にも、評論活動は続けられており、2003年には道銀文化財団が道内のすぐれた若手芸術家に贈る道銀芸術文化奨励賞に選ばれている。一方で、2007年12月には恩師である菱川善夫さんを失うという哀しい出来事もあった。だが、仄聞する限り、恩師の死を見事に弔ったのも、愛弟子であったことは間違いないと思っている。

私的なことを言えば、「新札幌市史」第5巻(通史5・下)にて、小生の過去のつたない評論活動を書き留めてくださったのも、田中綾さんである。誠に感謝に堪えないが、ストライクゾーンに入っていれば、もっとファンになっていたなあと思う馬鹿者である。

田中綾さんは東京紙にも執筆の場を持っているはずだし、恩師の後を継いでの大学教員の仕事も忙しいことであろうが、連載がひとつ減ったのを機に少しはゆっくりとされるといい。女性に齢のことを言うと叱られるが、評論家としてさらに飛躍する転換点(チェンジオブペース)として、胆力を蓄えるのもまた善きかな、と思うのである。

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