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2009/02/10

春が来るのか来ないのか

春が来るのか来ないのか

人間ドックで尿に潜血ありと出て、その後も検尿のたびに同じ反応が出ている。かかりつけの医者が「こりゃ、ガンだ」と(おそらく)心配して(推測です)、それらの患者がよく行くK病院行きの紹介状を書いてくれた。

一週間前にまず、泌尿器科で下半身のCT検査をした。造影剤を血管から入れられて、15分くらい輪切り撮影した。体がかあっと熱くなる。造影剤の流れてきたところの状態でガンがわかるらしい。

それから1週間後の10日に結果を聞きに行った。その結果、腎臓はのうほうがあれどもきれい。尿管部分も特に異常なく膀胱もまたきれいであるとのことだった。自分の輪切り写真を見ていると、なんだか人ごとのようだ。

「うーん、わかりませんね」。尿からガンを調べる細胞診でもそのようなものは見あたらないという。「困ったな」。そういうものなのかどうか疑問だが、K病院の泌尿器科医は、それではですね、と私の顔を楽しげに(イメージですが)のぞき込んだ。そして言った。

「ここまで来たのですから、いっそ、膀胱の中を見てみましょう」。そして、「すぐできますが、時間いいですよね」。

気の弱い私は当然ながら「痛いのいやだな」と言うと、「それを言うとみんな逃げちゃうしなあ」などと答えつつ、痛くないとは言わないのが怖い。「麻酔しますよね」。すると、間髪を入れず「麻酔をすると、傷ついちゃって返って痛いんですよ」とのたまう。

10分後に私はあられもない姿で施療台の上に仰臥していた。もっとも下半身はカーテン越しで見えない。女性の看護師さんが一回軽くしごいてくださったので、これは極楽(のはずはない)。個人的には発情してもよさそうなのだが、それどころではない。

「5分ぐらいで終わりますから」。そう言って、尿道から内視鏡が突入モードになった。痛いです。重ねて言います。痛い!!!!!!です。事前に排尿しておいたのですが、膀胱の中にカメラが入ると、尿意がひどくなります。「オシッコしたいのですが」と言うと、「器物が入っているからで、尿はでませんよ」などと答える。

足を立てているので、なんだか、尿道の先から赤ちゃんが生まれないかなどと妄想する。

痛みにもだえているうちに終了。チンチンの先のガーゼは血に染まっている。あっ、恥ずかしい。下着をはく時なんて、すっかりおかまモードのあたしなんです。(ここだけ宇野鴻一郎センセのマネ)

しばらくして診察室に入ると、「膀胱の中を見ても、特に悪いところはありませんね」との診断。「じゃあ、潜血は?」と聞くと、「調べても分からないことも結構あるんですよ」。あっ、そう。頭の中に井上陽水が流れた。「さがし物はなんですか?……さがしたけれど見つからないのに、まだまださがす気ですか」「さがすのをやめたとき、見つかることもよくある話で」とかなんとか。夢の中へ。

トイレに行くと、尿道がやけるようだった。力むと特にひどい。潜血ならぬ鮮血が出た。なるべく排尿したほうがいい。というが、やっぱり痛い。少しずつピンクになるが、痛い。感染症が危ないので薬(クラビット錠、1回3錠2日分)をもらって飲む。この原稿を書いている今もトイレが怖い。

原因不明だから、と言って腎臓を調べるには、針を刺して組織を取って調べる方法もあるらしい。だが、腎臓は血液の塊だ。結構、危険らしい。そこまで深追いする必要なし、ということで、灰色決着、「まあ、このまま様子みましょう」ということになった。いかにも自分らしい不透明な人生だ。

泌尿器科とは別に、近く大腸カメラ検査をする。年を取るのは鬱陶しいことだ。

先日、ガンで危篤と書いたお世話になったガソリンスタンドの会長は翌日、静かに息を引き取った。68歳だった。きれいな顔だったという。病院の検査があって葬儀に行けず香典を送った。弔電を打とうかと思ったが、だしそびれた。下書きを載せさせてもらう。

<Jさん、突然の悲報に心が痛んでなりません。あなたは若輩者の私にも本当に優しく接してくれました。ダンディで、気取らない人でした。おいしいワインごちそうさまでした。闘病中も私のコラムを気にかけてくださっていたとも聞きました。なんのお返しもできなかったことが悔やまれてなりません。あなたの「おれっちさあ」と言いながら、はにかむ笑顔が今も昨日のように目に浮かびます。本当にお疲れ様でした。さようなら。ありがとうございました。>

外に出ると、雪まつり真っ最中の大通公園では横断歩道で氷割りや雪割りをしていた。春が一瞬顔をのぞかせている。

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