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2009/01/16

芥川賞と直木賞 決まる 如是我聞

東京で15日夜行われた芥川賞と直木賞の選考会(日本文学振興会主催)について、現地から情報が入電したので転載する。あくまでも間接情報なので、厳密ではないことをあらためてお断りしておきます。

以下、リアルタイムのリポート。

まず、第140回芥川賞は「ポトスライムの舟」の津村記久子さん1人だった。

選考委員の宮本輝さんによる選評。

<最初に墨谷渉、山崎ナオコーラ、吉原清隆が落ちた。次に鹿島田真希が落ち、田中慎弥と津村になり両方強く押す人がいたが「ある差」をもって津村記久子になった。
女性たちの何でもない慎ましやかな生活やその中で生まれる縁を書いている。今の時代に合わせたわけでもないだろうがあえてドラマを書かずある意味文学的に普遍なものを書いた 作家として成長した 文学、小説の組立ともに文句なし>

田中さんが届かなかった理由。
<しかけをたくさん用意したにもかかわらず文学としては玉砕した>

ナオコーラさん。
<前のほうが良かった 今回のっぺりしていた>

墨谷さん。
<こういうフェチの話を書いても、扱った以上はそこから派生してくる人間のミステリアスさを書かないといけない。これは文学になってない>

鹿島田さん。
<これまでの作品の中で一番良く推してもいいとも思ったが、ある時は正気なのか、ある時は狂気なのか、その恐さが書けてない?この女に概念はあっても肉体が伴ってない 途中から繰り返しで退屈>

吉原さん。
<この主人公、その同級生がある一つの類型から出てない。よくある小説になっちゃってる 一番点が低かった>

宮本輝委員の総括。
<今回の傾向。これまで「そこそこ小説」 が多かった。
そこそこの大学を出てそこそこのいい仕事に就いて付き合って…というような。
今度はもっと何か派遣、契約の人たちを登場させて何らかの新しい形を呈示している
「ポトスライム」のような何の変哲もない観葉植物の舟に乗って生きるよるべない人たちを書いているいい小説を選べて大変良かった、と私は思っています>

第140回直木賞は天童荒太さん「悼む人」、山本兼一さん「利休にたずねよ」の2人。

選考委員の井上ひさしさんによる選評。
<3回投票した。天童荒太、道尾秀介、山本兼一の三人が残った>

天童さん。
<この作品ほど書いている作家の姿勢と作品が重なっているものはない。いまは心の時代で、亡くなった人の数ではなく、人間の一番大事な、生と死と愛を前にして「文学は何が出来るか」という芸術のいちばんのテーマに挑戦した。作品としては多少破綻があったけれども>

山本さん。
<現代にも通じる日本人の美意識を創った利休の秘密をえぐり出したのではないかという評価>

道尾さん。
< たいへんな怪作。一人では生きたことにならない、人の罪は許される、お互いに信頼しあわないと生きていけない>

井上ひさしによる総括。
<直木は候補の中から一本を選ぶという慣例がある。だから二本出す時はかなり議論する。最初の投票では山本が一番良かった。
まず天童が決まったが、それだけでは芥川っぽくなって狭いかなと思った。
天童-八年もかけて頼まれもしないのにちゃんとした成果を出している-と、エンタメの山本、この二作で直木の幅が深まったり広まったりするのがいいのでは、と思った。天童さんはよくがんばりましたね>

恩田陸さん。
<こういうコンクールに出てはいけない小説(笑)二人称であるとか。すごく面白いさすが恩田。でも締め括りが弱い。恩田さんは実力から言ってももう直木は三回くらい獲っていてもいいんだけど(笑)>

重ねて井上ひさし委員の分析。
<時代物が書かれる時というのは二つある。世の中が分からない時と、世の中がいっせいに動いてるとき。今は前者。
現代は「個」の時代。他人が何と言おうと自分で判断しなければ。受賞作にも出てる どんなつらくても選んだ人生を生きていく>

津村記久子さんの記者会見。
Q 作家と会社員の二足のわらじですが?
A 今後もできるかぎり正社員として働きたいです。働いてることは創作上でも大事なこと。今回の作品も働いてるからこそ書けた、ということがあるので。

天童荒太さんの記者会見。
<悼む人は賞を「獲った」のではなく「授かり」ました。
これからも痛みを感じているような人、辛い立場にある人にどういう視線を寄せることが共生ということになりうるのかを問うような小説を書きたい>

山本兼一さんの記者会見。
<「強く生きる」ことの大切さ。
「志の高さ」と「自己犠牲(人の為に何ができるか)」つまり「良く生きる」ということ。私は人には貴賎があると思っています。つまり貴い人と賎しい人。最近はそういうことを言わない傾向があるが、ちゃんと言ったほうがいいと思う「人の為に何かできる人はえらい人だ」と。
若いころ、インドやら外国旅行をして帰ってきたら、日本て粘っこくてイヤな国だなと思った。でも私にとっては日本しか帰る所はないし、日本しか見つめ直す所はない。素晴らしい考え方、物が埋まっている。それを探りあてていきたい>

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