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2008/11/26

チロの仇を討って、どうする

新聞各紙の報道によると、元厚生次官ら連続殺傷事件の容疑者の小泉毅容疑者が、出頭前に山口県柳井市の父親に送った手紙の中で、「1974年4月5日(金)に、飼い犬の『チロ』が保健所に殺された。その仇をとった」と書かれていたという。

なんだかよくわからない事件だが、ますますわからないうえに、少し困惑している。別に珍しい話ではないだろうが、私もその昔、「チロ」という北海道犬の雑種を飼っていたことがあるからだ。

Photo_3


うちのチロは生まれてまもなく、友達の家からもらってきた。私が小学4年生の時だった。小さいのでネコが親代わりになって育てた。外に出してからは、私が毎日散歩に連れて行った。夕日の大好きな犬で、一緒に胆振の山々に落ちていく太陽を何百回となく眺めたものだ。

ずっと長生きしたが、私が社会人になってまもなく、失踪して、そのまま帰って来なかった。少し前から、おそらくガンを患い、ずいぶん痩せてきていた。きっと、鎖で拘束されて生活している自分に耐えられなくなって、自由を求めて旅に出たのだろうと思った。オンボロの犬小屋は数年間はそのまま残してあったが、いつしか壊れてしまった。

チロは死んだのだろうと思いつつ、でも、いつか、やっぱり家がいいな、と戻ってくる気がしていた。それは空しい願望だった。

忘れていたチロが、ひょんなことから蘇った。小泉容疑者はおかしいところが多すぎるが、でも、チロという犬を本当に好きだったのかもしれないと思う。だからと言って、人間を殺傷して、本当に仇を討ったことになるのか。父と子の関係の奈落を含め、飛躍しすぎている。成長の止まった心の氷点が痛ましい。

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