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2008/08/22

レオナール・フジタ展。

レオナール・フジタ展。
札幌・道立近代美術館。9月4日まで。

素晴らしい作品展だった。天才画家の作品の変遷がわかると同時に作品の持つ訴求力に感動を覚えた。原色ではない淡い色で描かれた裸婦というものに不思議なエロチシズムを感じた。幻の大作のダイナミズムには圧倒された。

小品も良かった。私はネコ好きではないが、なんだかとっても可愛かった。動物は人間のようだ。それから、フランスの女の子の顔が不思議なバイアスがかかって描かれていて、奈良美智さんのロッタちゃんのように面白かった。

本展で残念だったのは、藤田嗣治の年譜から第2次大戦期がすっぽり抜け落ちていることだ。言うまでもなく、藤田は戦争画を最も多く書いた「国民画家」の1人である。「聖戦」をことほぐ美術展への出品者である。終戦の日をはさんだ展覧会で、そこが少し奇異だった。

彼の作品はキリスト教の影響を引いて「殉教画」と指摘する向きもあるが、その評価は見た人に任すべきことだろう。戦争画を描いた作家の本当の気持ちは違うと、弁護することはできるだろう。とすれば、戦争画=殉教画であり、戦争遂行者=反戦家という何がなんだかわからないことになる。結局、悪いのは戦争があったあの時代だ、という天災論で終わる。それでいいのか。

一連の「争闘」の激しいエネルギーは戦争画の前哨であったのだろうと思う。その後の宗教画を含めて、表裏一体で評価することが本当は芸術のために必要なのだと思った。

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» ■レオナール・フジタ展・1 (9月4日まで) [ 北海道美術ネット別館]
 中世から現代までの重要な美術家500人をひとり1ページずつ掲載した「世界の美術家500」というコンパクトで便利な本がある。英国のPHAIDON社から出ているものを邦訳して美術出版社から出版したものであるせいか、西洋中心であることは否めず、日本人は4、5人しか収録されていない。しかも、明治以降は藤田嗣治(1886-1968)ただひとりである。  「国際的に活躍する」というのはよく聞かれる枕詞であるが、そういうふうに経歴でうたわれている作家がほんとうに海外でよく知られているかどうかは別問題である。その... [続きを読む]

受信: 2008/09/03 22:41

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