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2008/03/16

ノーカントリー

ノーカントリー
アメリカがよくわかる映画だ。
ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン 監督・脚本。トミー・リー・ジョーンズ 、ハビエル・バルデム 、ジョシュ・ブローリン 、ケリー・マクドナルド。

第80回アカデミー賞作品賞・監督賞・助演男優賞など8部門受賞。原作はコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」だそうだ。

メキシコ国境に近い砂漠でハンティング中に、偶然、死体の山に出くわしたルウェリン・モスは、大量のヘロインと現金200万ドルが残されているのを見つける。危険を承知で大金を奪ったモスに、すぐさま追っ手がかかる。必死の逃亡を図るモスを確実に追い詰めて行くのは非情の殺し屋アントン・シガー。そしてもう一人、厄介な事件に巻き込まれたモスを救うべく老保安官エド・トム・ベルが追跡を始めるのだった。(映画gooより)

さて、頭痛がひどいのですが、作業療法代わりに今春一番の話題作を見ることにしました。それにしても怖い映画でした。エアガンで人間の頭を打ち抜く冷徹な殺人マシーンは人間にはどうにもなりませんね。それでも運命に逆らうように、大金を奪った男は徹底的に逃げようとし、わけのわからない犯罪が増えたと嘆きながら、老保安官は追跡をやめません。(まさに「追跡者」だ)。言ってみれば、死は運命のようなものです、この映画では。それでも、なにかをしようとするのが人間です。だから、死に神を間に挟み、逃げる者は徹底的に逃げ、追う者は追い続けるのです。当然ながら、運命を変えることはできません。それでも、人間の抵抗の前で、死に神もまた運命を狂わされるのです。ほんの少しだけれど。

個人的には本来の主人公である老保安官にもう少しがんばってもらいたかった。つまり、いくぶんか評論家になりすぎて、語りすぎているのですね。老人にはもうまともな国なんかないぜ、と言ったって、あなたもまた同時代人であるのですから。逃げる人間と追う人間がどこかで結び会えば、殺人マシーンだって、退散するかもしれないのに。

いずれにしろ、アメリカにはベトナム戦争以来、殺人の風土ができあがってしまったということでしょうか。大金を持ち逃げしたモスはベトナムに2度出征した帰還兵だというのが、象徴的です。年齢は不明ですが、シガーがベトナム戦争と無関係に機械のようなルールを持った殺人者になれるとは思えません。

そして、このクライム・フィルムの根幹にあるのは「麻薬とマフィアと汚れた大金」です。そして、富と貧困の格差と銃社会です。これが1980年代のアメリカであるという過去形で、私たちが語ることを禁じられているとすれば、私たちもまた殺人マシーンに追われているのかもしれません。

ノーカントリー - goo 映画
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コメント

毎日、楽しく読んでいます。ここ最近の体調不良と頭痛が心配です。映画や読書もすばらしいですが、少し休息を。マッサージに行ってツボを押してもらっては。私は頭痛の時に自分で足ツボマッサージをします。けっこう効果がありますよ。

投稿: 神保彩 | 2008/03/17 02:05

ご心配かけております。痛くても頭痛では簡単に死なないそうで、楽観しております。本当に痛いと手遅れというのが頭痛業界の常識だそうです。早くおいしいお酒を飲めるように、マッサージもしてみます。春先になると、悪いところが出るそうです。ということは、頭痛はその始まりであって、お楽しみ(本番)はこれから、ということになりますね。ぶるる。

投稿: 席亭うど | 2008/03/17 13:10

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