クロサギ

石井康晴監督。山下智久。堀北真希。加藤浩次。市川由衣。大地真央。竹中直人。哀川翔。山崎努。
原作は少年雑誌連載漫画。黒丸・原作、夏原武・原案。
詐欺師(シロサギ、アカサギ)をだます詐欺師をクロサギというのだそうだ。初耳です。
かつて詐欺師のために家族を失った青年・黒崎は復讐を果たすべくクロサギとなった。家族のかたきである御木本を追っているが、情報源としているフィクサーの桂木から、詐欺被害にあったレイコを紹介され、新たなターゲットを告げられる。贈答詐欺を生業としているが、手形にからんだ大型犯罪を手がけている石垣である。ITベンチャーの社長やPC販売員として石垣に近づくが、電子マネーによる罠をかけたところ、石垣の子分がやくざに殺されてしまう。殺人に間接的に関わったことにショックを受けるが、石垣を追いつめる気持ちに変わりはない。一方、身辺には警視庁の知能犯担当の刑事・神志名の影もちらつき始める。高飛びを謀る石垣を追いつめられるか。
テレビの人気ドラマを映画化したらしい。アイドルの山下智久主演ということで、なかなか格好いい青年だし、テレビで宣伝しているので期待して見たが、見事に裏切られた。フィルムノワールのつもりだろうが、なにからなにまで中途半端。花もなければ嵐もない、ましてや身も蓋もないのだ。薄暗い画面は陰気なだけで、逆光の中に浮かび上がるような情念の輝きのようなものは感じられない。困っちゃったな、ホント。
テーマにあるシェークスピア。ブルータス、おまえもか。新劇のようなセリフがなんどもなんども出てくる。若者たちの芝居まである(実際には演じられないが)。だけど、信じていたものに裏切られるというモチーフ。きちんと整理されていないから、それは桂木と石垣の関係か、桂木と黒崎の関係か、はたまたサムワンエルスなのか、よくわからない。人間は影か。そうだけど、それゆえに行動が問われるはずだ。悩める黒崎、それもいいけど、じれったい。
黒崎をいぶかしく思いながらも彼を慕っている氷柱の関係も、ぜんぜんだめだ。二人の間の心の通い合いは中途半端で、単なる隣人か! みたいな腹立たしさを覚えるほどだ。悩める黒崎がサインを見せない以上、名前=名字も覚えられないのも仕方がない。ヒーローとヒロインであるはずの二人のうそ寒さは見てられない。堀北真希。なんだか出ているだけという感じだ。
詐欺師をだます詐欺師の超絶技巧を期待してみているが、学芸会レベルの引っかけしか出てこない。歴戦の詐欺師がちょっと変装しただけのIT社長とPC営業マンを見分けられないなんてのは、まずあり得ない。少なくとも人を信頼させてだます人間が一番見るのは相手の目であり表情のはずだ。電子マネーカードの話でいきなり、2億円をマネーロンダリングする奴は死んでも仕方がない馬鹿だろう。納入品のパソコン箱がからっぽなんてのは詐欺どころか単純な犯罪だ。
アイドルの山下智久を支えるために山崎努や竹中直人らの芸達者がそろっているのだろうが、演技が勝手に空転して、真っ正面から絡んでいるようには見えない。期待の山下智久は格好いい青年であることは間違いないが、私の目にはオーラが映らない。シェークスピアなんて大時代的なエピソードを持ち出さず、アイドル映画として単純明快につくったほうがはるかに面白かったはずだ。なんで、そうしないのだろう。芝居の中で、急に場違いなアイドルの歌が流れるのも、なんだか不自然だ。
黒崎=山下智久と氷柱=堀北真希。生き方の違う二人がどう青春をシンクロさせるか。それをメーンテーマにしたアイドル映画にするね、ワシなら。そして、クロサギというブラックな生き方の宿命を桂木=山崎努と黒崎の擬似親子関係として映し出して、サブテーマとしてアイドル二人を遅う障害とする。後は、2つのテーマに絡めたエピソードとしてつなげていく。
山下君、いい素材なのに、もったいないなあ。明快な脚本、演出による次回作に期待したい。
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コメント
ふ~~む
やっぱり赤影・青影・白影の方が面白い。
・・て、関係ないか。
投稿: クロエ | 2008/03/10 00:57
正解!
「だいじょ〜ぶ」(青影)のとぼけた味も欲しかった
投稿: 席亭うど | 2008/03/10 10:58