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2008/03/07

探求者の魂- 山田昭夫の書斎から

探求者の魂-<br />
 山田昭夫の書斎から
探求者の魂-<br />
 山田昭夫の書斎から
北海道立文学館特別展示室。3月23日まで。観覧料一般400円。

中島公園の北海道文学館に寄ったついでに、開催中の企画展を見る。

山田昭夫は1928年生まれ、2004年死去。近代文学研究者・文芸評論家。札幌市生まれ、北大文学部国文科を経て東大大学院修士課程修了。中学・高校教諭などを経て1973年から1993年まで藤女子大文学部教授を務めた。「『悲劇的精神系譜』の探求を」(1960年6月、北海タイムス)はその後の北海道文学研究をリードした記念すべき評論となる。「位置」同人として「晩年の本庄陸男」をはじめ「私の有島武郎体験」などを発表。(企画展チラシの経歴を参照)

山田氏は私の大先輩であるが、まったく接点はない。たぶん北大には戻らず、隣の藤女子大にいたせいか。展示から伝わってくるのはそのまじめな研究者ぶりである。よくも悪くも学者であるなあ、とあるいは教育者だなあ、と思った。たくさんの袋に資料が収められ、ノートには几帳面に研究のメモが書き込まれている。パソコン時代の現代、研究者たちはどのようにメモを書いているのだろうか?

山田の文学論は小林多喜二や有島武郎や本庄陸男や久保栄らの文学者に着目しつつ、彼ら近代文学の傍流と思われる存在こそ北海道文学の極北性を示す営為であったことを明らかにする。そのうえで、彼らの持っていた優れた部分を学びつつ、一方で夢を果たせず終わっていった活動の中の問題点を克服しようというものであったろう。おそらく、彼らの失敗を教訓にしぶとく生き延びた者こそ、わが伊藤整であったろう。これらを通じて、北海道文学を考える作業は確かに不可欠だったろう。

並んでいる写真の中で一番印象的なのは、澤田誠一の書斎でのツーショットだろう。ずらりと並んだ書物の前で酒を飲みつつ文学論議でも交わしていたのであろうか。かなり酔いがまわった二人は気を許し恋人同士のように肩を寄せ合い笑顔でおさまっている。いうまでもなく、澤田誠一は「北方文芸」の発行人であり、北海道の同人誌文学の頂点を勝ち取る。若い文学者たちの天真爛漫ぶりが伝わってくる。そして、現在に至ってはそうした幸せな時間は決して訪れることはないだろう。

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コメント

重箱の隅的なことで恐縮ですが、「本庄陸男」です。


もう「北海道文学」という認識の枠組みは破産していると思いますが、かつてそのような観念があった時代の記念碑として、彼の「石狩川」は偉大な作品であったなあと思います。

投稿: ねむいヤナイ@北海道美術ネット | 2008/03/14 09:11

スミマセン。直します。

投稿: 席亭うど | 2008/03/14 11:30

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