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2008/01/24

村上春樹はくせになる

村上春樹はくせになる
清水良典著。朝日新書、本体価格720円。
清水さんはとっても優れた文芸批評家である。この人の書くものはだいたい当たっているというか、むしろ鋭く本質を突いている。本書も素晴らしいが、帯に「近し!ノーベル文学賞 世界中の読者をなぜ魅了したのか」とあるのは、いささか時局便乗のそしりを免れない。
「村上春樹の長編小説は、暗い過去を抱えながら悲観的に生きている『僕』が不思議な事件に巻き込まれていくという作風が多い。だから同じような小説ばかり書いているように思えるのだが、よく読むと一作ごとに必ず文体や方法が変化していることがわかる」
「そんな村上春樹がこれまでの作家生活で最も大きな変化を示したのが、他でもない九五年に起こった地下鉄サリン事件の被害者たちに取材したルポルタージュ『アンダーグラウンド』である」
エグザイル・リターンとはかつて近代主義者たちが日本に戻ってくる呼び方であったが、村上春樹にもそのような「冒険」があった。そして、「僕」の呪縛を超えた文学の実験が始まろうとしているという予言の書でもある。
おもしろかった。また、作品分析はとっても説得力があったと思う。
同時に、春樹の世界がなぜ圧倒的大衆的支持を受けながら、売れたものが勝ちというふうにはならなかったのかも、そうとは書かれていないが整理することができた。

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