2016/05/27

しずしずと復活へ

そうか。
もう2年もブログを書いていないのか。
死線を彷徨っていたり、いろいろあったからなあ、と思う。
でも、ツイッターやフェイスブックはやはり好きになれない。
もっともホームページを作り直すほどの元気はない。
だからブログをやろう。
遠からず、復活へ。未踏の荒野へ!!!

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2014/06/15

千早茜著「男ともだち」(文藝春秋)を読む

千早茜さんの最新刊「男ともだち」(文藝春秋、本体価格1550円)を読む。本作も千早茜らしい緊張感のある凜とした文体で、若い男女をめぐる「愛」のかたち、生きていることの切なさを伝えてくれる。

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整理します。主人公は京都の左京区で暮らす29歳のイラストレーター神名葵。大学を卒業してさまざまなアルバイトをして自由業のような暮らしをしていますが、ようやく自分の本が出せるようになっています。恋人の彰人と同棲していますが、堅気の勤めをする料理人でもある彼は食事の支度をしてくれるほかはゲームを一人でしたり干渉はしません。神名にはお互いに不倫関係の愛人がいます。医者の真司です。大学病院でアルバイトしているときに知り合いました。真司は女に慣れた性格の悪いイケメンです。神名の大学時代の友人が何人かいます。1歳上の堀之内先輩。同学年の辻田美穂というきれいだけど、やはり性格に難のある女性もいます。学生の頃、美穂には「あんちゃん」という親密な男性がいたが、今は別の男性と結婚し、浮気もしています。2歳上に秀才肌の岩佐、その相棒のハセオ(長谷雄)がいます。ハセオとは学生時代から一緒に暮らす「兄弟」のような仲良しですが、性的関係はありません。ハセオは福岡の出身ですが今は富山の薬売りをしています。そのほか、昔大阪のSMクラブの女王様をやっていた露月さんがやっている三日月のバーがあり、そこにはアキラというゲイの店員がいます。

以上。
この物語のポイントは「対幻想」です。ひとりの人にとってひとりの人(もうひとりの自分)とは何かということです。そのことが「男ともだち(あるいは女ともだち」という鏡のような関係の主人公とハセオを通じて多様に浮かんできます。美穂とあんちゃんも同じはずです。

もう一つ、神名は小学一年生のときに、年上の男の子にいたずらをされた原体験を持っている。そこにセックスに対する(セックスをする、セックスをしない)考え方の歪みがある。ちなみにハセオの愛読書は世阿弥の「秘花」。おそらく瀬戸内寂聴の文庫本だろうか。渡辺淳一なら「秘すれば花」だろうから。神名はその本に興味を持つが、「秘花」とはセックスでもあろう。

さて、いろいろあって神名とハセオはどうなるか。私はどうかなってほしかったとだけ言っておこう。

ちなみに、千早茜さんの作品については以下のように書いている。
http://takaoudo.cocolog-nifty.com/takaoudoism/2014/01/post-91d3.html

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2014/02/07

西村健さんの「ヤマの疾風(かぜ)」を読む

筑豊を舞台にした男たちの躍動を描き続けている作家、西村健さんの「ヤマの疾風(かぜ)」(徳間書店、本体価格1600円)を読んだ。

同作の第16回大藪春彦賞受賞の記事を読み(梓崎優さんの「リバーサイド・チルドレン」(東京創元社)が同時受賞)、遅まきながら読ませてもらったのである。

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昭和44年、次第に炭鉱の衰退が進む北部九州。ひょんなことから賭場荒らしをやってのけた飛車松こと菱谷松次、それにマッコリ(金永浩=金田永浩)、ゼゲン(俊藤忠虎)、キョーコ(江原京子)の痛快4人組を軸に、嵐を呼ぶ「任侠(おとこ)」たちの命を張った活劇が展開される。主人公・飛車松の父親で「猛牛」といわれたヤマ男の五郎、快男児・広岩繁郎(三代目神岳会会長)、中場杜夫(二代目海衆会会長)、桂次太郎親分(悪役)、叔父貴の「風治食堂」矢中睦二といった一途な筑豊男たち。一方、ドテラ婆ぁ、猟銃爺ぃなど脇役陣もにぎやかである。

物語は北部九州を支配下に置こうとする全国組織との抗争の様相を帯びつつ、飛車松の壮絶な最期を回想する形で終わる。つまりは疾風怒濤の青春記なのだ。「ヤマの疾風(かぜ)」と聞き、思わず「ハリスの旋風(かぜ)」の石田国松を思い出してしまったのは、漫画世代の宿命か。任侠映画は時代遅れかもしれないが、ぜひ映画化していただきたい。

なお、傑作「地の底のヤマ」についての拙文は以下に。ご参照を。

http://takaoudo.cocolog-nifty.com/takaoudoism/2012/04/post-66fa.html

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2014/01/22

渡辺淳一さん 直木賞お疲れ様でした

作家の渡辺淳一さんが先の第150回直木賞を最後に選考委員を退任されると、21日主催の日本文学振興会から発表があった。
直木賞の選考委員は1984年から30年間に及んだそうだ。渡辺淳一さんももう80歳、激務は大変だ。150回は選考会を欠席していたので健康面が心配されていた。
選考委員から北海道生まれの人がいなくなるわけで、ちょっと残影である。
いろいろなエピソードもたくさん残してくれた。本当に長い間ありがとうございました。

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2014/01/21

異界への誘い-。不定型な心模様をつなぐ千早茜さんの世界  千早茜作品9作ガイド

1月16日に開かれた第150回直木賞選考会で、江別出身の千早茜さん(34歳)の「あとかた」は残念ながら受賞には至らなかった。しかし、これを機にほぼ全作を読み直してみたが、いずれも文句なしにすばらしい作品ばかりだった。現実のあわいを擦り抜けて、物語は小さな「異界」に続いていく。文章は不思議な透明感にあふれている。選考委員の浅田次郎さんは「文章が上手で読みやすく、とても才能があるが、読み終わった後に印象が残らない」と批判的に紹介したというが、それは受賞に至らなかったが故にそう言わざるを得なかったのだろう。千早茜はストーリーテラーでもある。小学生時代の大半をアフリカのザンビアで過ごしたということもあって、同じ現実を見ても複眼的に見られるのかもしれない。そうした重層的な作品世界も魅力である。北海道人であるから、少し北海道的なバイアスをかけて読んでしまうが、とにかく構想力もすごいし、驚かされる。千早茜を推す。

■「魚神」(集英社、2009年1月、本体1400円、文庫版=2012年1月、本体476円)
本作は2008年の第21回小説すばる新人賞と2009年の第37回泉鏡花文学賞(金沢市主催)の受賞作。文庫本では宇野亜喜良さんが解説を書いている。幻のような遊郭島での美貌のきょうだい白亜とスケキヨの物語。いつのことなのか、どこのことなのか判然としない。つまりはそういう世界なのだ。だけども、禁断の愛が不思議な感覚(官能)の中に起ち上がってくる。
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■「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」(集英社、2010年8月、本体1400円、文庫版=2013年8月、本体480円)
西洋のおとぎ話「みにくいアヒルの子」や「白雪姫」「シンデレラ」など7編をモチーフに作者の縦横な想像力がここでも発揮される。冒頭の「迷子の決まり」は「ヘンゼルとグレーテル」を原話としたものだが、母親の子ども(きょうだい)へのネグレクト、児童買春、子どものシンプルで残酷な犯罪などが少し遠回しに(おとぎ話風に)描かれる。作者のセンスが光る短編集だ。
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■「からまる」(角川書店、2011年2月、本体1500円)
直木賞候補作の「あとかた」は人間の孤独と絆を描いた作品集である。そう言ってしまってから「しまった!」と思った。「からまる」を読んでいなかったからだ。そう、千早茜さんは人間の絆というよりも「からまり」を描く作家だったのだ。本作は帯によれば「もがき迷いながら”いま”を生きる7人の男女たちが一筋の光を求めて歩き出す」という7編の連作短編集。筒井武生を中心に、ちょっとずれた登場人物(たとえば、蝸牛を飼っている野良猫のような女=実は女医など)たちはそれぞれにせつない。武生の姉で蒼真の母の恵の物語(「あししげく」)でわかったのだが、恵は「私の母は北海道生まれで、小さい頃むかでを見たことがなかったらしい」と話をする。
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■「あやかし草子 みやこのおはなし」(徳間書店、2011年8月、本体1400円)
「いにしえの都に伝わるあやかしたちを泉鏡花文学賞作家が紡ぐ」と帯にある。どれもすごみのある奇想の物語である。「鬼の笛」は鬼から絶世の美女をもらった笛を吹く男の話。美女は人間の屍から作られており、百日前に触れると元の死骸に戻ってしまうという。だが、アンビバレンツな心の中で、男はついに禁を破ってしまう…。奇跡を起こす笛の音の秘話か。「ムジナ和尚」では人間の、というか古ムジナの孤独と絆が描かれる。
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■「森の家」(講談社、2012年7月、本体1500円)
「水の音」「パレード」「あお」の3編で構成される「森の家」に住んでいた佐藤さんと、恋人の美里、佐藤さんの息子のまりも君の3人の擬家族の物語。寂しさの果てる場所はあるのだろうか。さて、千早茜さんはあまり具体的な地名を書かない作家であるが、本作で「からまる」に続き北海道が顔を出す。佐藤さんは昔、修学旅行で北海道に行った時に「まりものキーホルダー」を買ってきた。佐藤さんはそれを幼いときから親しかっ果穂子にあげた。だから、子どもの名前は「まりも」君になったのだ。
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■「桜の首飾り」(実業之日本社、2013年2月、本体1300円)
桜をめぐる7編の短編集。冒頭は「春の狐憑き」という作品。尾崎さんは「この管にはね。狐が入っているのですよ」と公園のベンチで言う。「狐はね、人の正気を喰います」とも言う。美術館に務める孤独な若林さんはついに桜見の約束をする…。ちなみに「あとがき」で千早茜さんはアフリカで見た紫の花の「ジャカランダ(紫雲木)」が初めて見た桜だった。「遅い北海道の春は花よりも鮮やかな新緑が目をひく。桜も最初から葉桜になってしまう」と書いている。少し残念な感想である。北海道にもきれいな桜はあるのだけれど。まあ、一緒に桜見には行ってくれないだろうし。もう一つ。本書の著者紹介が良い。「幻想と現実のああわいに、人への温かい視線も感じられる作風で、多くの読者を得ている」。そのとおりだね。担当編集者の温かさも伝わるよ。装丁も含めて、本当にすばらしい本です。
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■「あとかた」(新潮社、2013年6月、本体1400円)
第20回島清恋愛文学賞(日本恋愛文学振興会主催)受賞作。第150回直木三十五賞候補作。6編の連作短編集。本当に人間の絆って、きれいごとじゃなく、もがきながら結ばれているのだろうと思わされる。千早茜さんは「水」の人だな。流れているし、よどんでいることもあるし、透明なこともある。本作ではフィドル奏者の千影さんを見つめる水草君がいい。「この世は不安定で、何もかもが簡単に壊れてしまう。変わらないものなんかないし、何か遺せたとしても一瞬で消えてしまうかもしれない。それでも誰かを好きになって生きていくのはすごいことなんだって、おれは思うよ」。ストレートだけど、作者のメッセージは優しさを求める中に、きらりと光っている。
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■「眠りの庭」(角川書店、2013年11月、本体1500円)
「アカイツタ」「イヌガン」の二つからなるミステリータッチの愛の物語。ここでも「小波(さなみ)」と「澪」という水に関わる名前が登場してくる。特に、「アカイツタ」の「小波」には人間の心をとらえる不思議な力がある。「イヌガン」で謎はわかるのだが、緊張感の持続、人間関係のゴチック性などは「アカイツイタ」が圧倒的だ。
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■「明日町こんぺいとう商店街」所収「チンドン屋」(ポプラ文庫、2013年12月、本体600円)
人気作家が紡ぐほっこりおいしい物語。スカイツリーを見上げる下町のかたすみに、ひっそりと息づく商店街、さあ、今日も店が開きます…というわけ。千早茜作は「チンドン屋」。「今宵をもって金毘羅屋清治郎、チンドン屋を辞めさせていただきます」。でも、春ちゃんが…。江戸言葉で語る人情の一幕。ほかに中島京子、吉川トリコ、松村栄子、彩瀬まる、大山淳子、大島真寿美。
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直木賞はもちろんだが、もっともっと飛躍してほしい。

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2013/10/16

清水博子さん、さようなら

旭川市出身の作家、清水博子さんが亡くなりました。45歳でした。早すぎる死です。芥川賞候補に2度なりましたが、とても批評的な文章で自らという存在を凝視していました。

清水さんとは彼女が「処方箋」で野間文芸新人賞を受賞した2001年12月、贈呈式の開かれた東京のホテルでお会いしたのが初めてでした。その後は取材で北海道に戻ってきたなどで、電話をくれ、「あなたのボトル飲んじゃったわよ」とか「おいしい寿司屋を紹介せよ」とか、楽しそうでにぎやかでした。一度、お礼なのでしょうか、日本酒を送ってくれたこともありました。一方で、東京の出版界の人間関係に苦労していたようで、「文壇バーを出入り禁止になったの」などと弱音を吐くこともありました。

2回目の芥川賞候補となった小説「Vanity」は清水さんの関西との遭遇の趣もある作品で、谷崎潤一郎のように清水さんには「内地」の中の「内地」が新鮮に映ったのだと思いました。東京という疲れる世界から新しい場所に踏み出していく作品に期待しておりました。

今年は喜多由布子さんという可能性を秘めた作家も5月に53歳で亡くなっています。私は「なんで!」と叫びたい気持ちで、とても残念で悔しいことが続きます。

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2013/09/07

悲しいことが続きました

親しくさせていただいていた、ジャズライターの森田さんが急死(でも本当は大往生なのかもしれませんが)しました。突然で言葉を失いました。ご冥福をお祈りします。

誤解が増幅している事象もあります。理解をいただく努力や反論や説明もできますが、とても悲しいことで今は言葉になりません。一人の表現者として、吉本隆明のように赴く決意はできています。

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2013/07/20

道立文学館で「絵本・カムイの物語」展

札幌市中央区中島公園にある北海道立文学館で、企画展示の<ファミリー文学館「絵本・カムイの物語」>が20日から始まった。

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アイヌの人たちは古くから動物や植物、自然現象などを神様(カムイ)とし、主人公とした多くの物語をはぐくんできた。そのカムイ・ユカラ(ラは小さく)にスポットを当てて、版画家の手島圭三郎さんの絵本シリーズ「カムイ・ユーカラの世界」(四宅ヤエ・語り 藤村久和・文)、アイヌ文化を紹介する絵本を制作してきた横山孝雄さんの「知里幸恵のユカラ絵本」、それから「幼児向け絵本」から鈴木隆一さんの「かわうそものがたり」などを紹介している。

会場入り口には横山孝雄さんとゆかりの深い赤塚不二夫のフジオ・プロの代表取締役社長の赤塚りえ子さんからお花が贈られていた。
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展示の中では、「銀のしずくふるふるまわりに 金のしずくふるふるまわりに」のふくろう神の歌で知られる「アイヌ神謡集」をつづった知里幸恵さんについても詳しく紹介している。

会場ではアイヌ文化振興・研究推進機構がつくったアニメーションのアイヌ語での放映もあり、「カムイの物語」の世界を楽しく知ることができる。

入場は無料。期間は8月25日まで(月曜日休館)。時間は午前9時30分から午後5時まで。

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2013/07/18

桜木紫乃さん おめでとう第149回直木賞


札幌市中央区中島公園の北海道立文学館常設展示室で「おめでとう第149回直木賞 桜木紫乃さん 文学の歩み」展が開かれている。


桜木さんが最も影響を受けた作家の原田康子さんの「挽歌」から、釧路の市民文芸誌「釧路春秋」や有力同人誌の「北海文学」への発表作品、ペンネーム「金澤伊代」を名乗っていた詩人としての活躍、2002年のオール讀物新人賞受賞作「雪虫」掲載号、それから5年後の単行本デビューとなる「氷平線」、次々と話題をよんだ「風葬」「恋肌」「凍原」「硝子の葦」「ラブレス」などの著書が並んでいる。


これらの作品はその場で手に取って読むこともできる。

常設展示室は観覧料が一般400円、高校・大学200円、中学生以下と65歳以上は無料。


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2013/07/13

札幌市の芸術の森美術館で、「大北海道マンガ展」


札幌市南区の芸術の森美術館で「大北海道マンガ展」が7月13日から始まった。


初日は午前9時30分からエントランス・ロビーで開会のセレモニーが行われ、100人近い関係者が出席し盛況であった。

展示されている70人の漫画家を代表してのいがらしゆみこさんが「北海道の漫画家を応援してくれたらうれしいことです」と挨拶した。


会期は9月8日まで。入場料は一般が1000円、高校・大学生600円、小・中学生400円。


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